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【CoClog】Empty your love.

シナリオ制作者:糾イチカ様
PC:和達 銀治(30歳・刑事) PL:銀月
PC:工藤 有佑(34歳・元刑事/現用心棒) PL:ハト
KP:ハト

それでは「Empty your love.」はじめます
 

——————————

 
夏。
厭になるほど暑い、熱い日差し。
わんわんと鳴り響くアブラゼミの合唱の中に、ぶくぶくと水泡が上がっては小さな手は宙を掻く。
水面の向こう側で風鈴が鳴っていた。

 

【風鈴】
 

夢。
きっと夢だったんだろうと思う。 
ぼやけた視界、泡立つ水面をまだ鮮明に覚えている。
焼けそうに熱いアスファルトの上に寝転がっていることに気付いた。
泣いている声が聞こえて、そこでやっと傍に居る誰かが居たことも知った。
 
大泣きする誰かは、俺が触れても顔を上げることはなく、ただずっと泣いている。
その声がやけに耳にこびり付くので、永遠にこの光景を忘れることは無いのだろうと思う。
 
そうして、目眩がするほど遠く高い青空を見上げていたと思ったら、目の前に庭が広がっている。
透き通る風鈴の音が頭上から聞こえた。
 
生ぬるい風の吹く縁側、木陰の揺らめく真夏の午後。あなたはそこに居た。

和達銀治:「……?」
和達銀治:「…あれ…、ここは…」
和達銀治:きょろきょろあたりを見渡します、全く知らない場所ですか?

目の前には知らない家があった。
家は木造の古い家で縁側がついている。
中に人影は見当たらず、縁側の日蔭には白いアサガオが植えられている。

和達銀治:「お、お邪魔します……?」

あなたがいる庭には夏の日差しが降り注いでいる。青々と茂る芝生の匂いが鼻を突く。生垣が先を遮るせいで、外を窺い知ることは出来なかった。

和達銀治:「…何で知らない人の家に勝手に入ってるんだ…?」
和達銀治:「まあいいか、だれかいませんかー」縁側から中に入っていきます

家の中から返事はない。
廊下に足を踏み入れると、軋む木板の感触が古めかしい。
通り道には半開きになった風呂場の扉が存在を主張しているように邪魔をしている。
その先には、台所へ向かう少し薄暗い廊下が見える。

KP:<聞き耳>を振ってください

和達銀治:CCB<=57 聞き耳
Cthulhu : (1D100<=57) → 10 → スペシャル

KP:ではあなたは、ぽたり、ぽたりと蛇口から落ちる雫。
KP:そして重なるように響く、水没した何かに打ち寄せる微かな漣が風呂場の方から聞こえた気がする。

和達銀治:(開いてる…)
和達銀治:不自然に思うのでずかずか入ってお風呂場に向かいます

風呂場はタイル張りの濡れた床、深い浴槽があった。
その浴槽フチから小さな腕が、ぶらりと力なく垂れ下がっている。

和達銀治:「!?」
和達銀治:急いで近寄ります

浴槽を覗くと、黒い髪が湯船に柔らかく、ふわりと藻のように広がっている。
生きているのか死んでいるのか分からない。幼く、顔色の悪い、5、6歳くらいの少年だった。
浴槽の水の中には、ビー玉や魚のおもちゃが沈んでいる。
湯船を覗き込むようにして、うつ伏せになって男の子は沈んでいた。

和達銀治:「!」
和達銀治:溺れてるのかと思うので水から引き揚げます!

水から引きあげた体は冷たく、呼吸が止まっているようだった。

KP:<医学><応急手当>がふれます。

和達銀治:CCB<=64 応急手当
Cthulhu : (1D100<=64) → 35 → 成功

冷え切った身体に処置を施すと、小さな咳と共に口から溢れ出した水道水が胸元を濡らした。
虚ろな目の焦点がゆっくりとこちらに交わる。

男の子:「……?」
和達銀治:「君、大丈夫か」
男の子:「~~」

小さな口元は確かに言葉を紡いでいる。でもあなたの耳にその声は届かない。

和達銀治:「???」
和達銀治:「なに…?」

KP:あなたは男の子の声が聞こえないことに気付くだろう。
KP:<目星><アイデア>が振れます

和達銀治:CCB<=78 目星
Cthulhu : (1D100<=78) → 58 → 成功

KP:「ありがとう」ということを言っているのが分かる。

和達銀治:外の音とかは普通に聞こえるんですか?

ぽたり、ぽたりと蛇口から落ちる雫の音だけが聞こえる。外の世界の音は、どうしてか遮られ、屋内には届かないようだ。

和達銀治:「…?」眉を寄せました
男の子:「――?」
和達銀治:「…えっと、わるい…声が聞こえないみたいだ」
男の子:「………」

男の子は少し考える素振りをして、浴槽に沈んでいるくらげのおもちゃを取り出してあなたに渡す。

和達銀治:「痛いところとかは無……?」
和達銀治:「クラゲだ…」
和達銀治:受け取ります

クラゲを裏返すと、マジックペンで書かれた不器用な文字、誰かの名前だった。
しかしあなたはその文字をなぜか読むことができない。発音しようとしても出来ないだろう。

和達銀治:「……」
和達銀治:「……???」
男の子:自分を指さします
和達銀治:「あぁ、名前が書いてあるんだろうとはわかるんだが…」
和達銀治:「……こまったな…」

男の子はまた考える素振りをして、そしてあなたの服を引っ張ってどこかに連れて行きたそうにしている。

男の子:「―――」
男の子:くいくい
和達銀治:「?あっちに行くのか??…いいけど、水で遊ぶときは親御さんと一緒に遊ばないと駄目だぞ危ないから」といいつつついていきます

男の子に服を引かれついて行くと、小さな部屋に連れて行かれる。
そこは子供部屋のようだ。おもちゃ箱や本棚、カラーボックスがある。
男の子は本棚の中からスケッチブックを取り出し、クレヨンで何か書きはじめる。

和達銀治:「???」
和達銀治:不安げに見てます
男の子:『たすけてくれてありがとうございます』

KP:と書かれている。今後、筆談をすることで相手の発する「言葉」を正しく認識することが可能。

和達銀治:「!どういたしまして」
男の子:頷いた
和達銀治:「一人で遊んでたのか?お父さんとお母さんは?」

男の子は頷いて口をパクパクさせるが、伝わらないことを思いだしたのかスケッチブックに文字を書く。

和達銀治:へへ
男の子:『でかけてます』
和達銀治:「お出かけか…」
和達銀治:「一人で遊ぶと危ないぞ、もうちょっとで大変なことになるところだった」
男の子:「――~~」
和達銀治:「?」きょと

男の子は困った顔をした。

和達銀治:「次からは気を付けるように」
男の子:頷いた
和達銀治:「よし」
和達銀治:「…それで、ここは君の家なのか?勝手にお邪魔して悪い…気づいたら庭にたってて…」
男の子:『ぼくのへやです』
和達銀治:「それは、…そうだな」頷いた
和達銀治:「おじさんは和達銀治って言うんだ、怪しいものではないんだが」
男の子:「?」

男の子はスケッチブックに『なまえ』と書いて、あなたに手渡す。

和達銀治:「書けばいいのか?」
男の子:頷いて隣に座る。
和達銀治:じゃあ見えるようにしながらひらがなでわだち ぎんじって書きます
男の子:真剣に見ている
和達銀治:かわいいな…
和達銀治:「これ、読めるか?」

男の子:「――」自信あり気に頷いた

男の子が本棚を指さす。

和達銀治:「そうか、偉いな」本棚を見ます

本棚にはひらがなの本、小学校の漢字ドリル、海の生き物図鑑などが並んでいる。

和達銀治:「ふふ、勉強好きなのか?」
男の子:「―――~―」頷く
和達銀治:「そうか、そうか、いいことだな」頭を撫でました
男の子:すこし照れた
和達銀治:かわいい…
和達銀治:「あ、そうだ。君の名前は?もう一回聞いてもいいか?」スケッチブックを渡しました

男の子はスケッチブックを受け取り文字を書く。

和達銀治:見てます
男の子:『●×△■』
和達銀治:「……ふむ…」

確かに文字であることはわかるが、どうしてか読むことができない。

男の子:ちゃんと書けるぞという顔
和達銀治:「やっぱりだめだ…君の名前だけわからないみたいだ…ごめんな」
男の子:「!」
和達銀治:「うん、でもきっといい名前なんだと思う。上手だな」
男の子:「……??」文字を一生懸命見直している
和達銀治:「少し部屋を見てもいいか?」
男の子:頷いた
和達銀治:「ありがとう」カラーボックスを見に行きます

カラーボックスには、夏休みの宿題の図画工作や貯金箱、ぬいぐるみなどが入っている。

和達銀治:ぬぬぬぬぬぬいぐるみ~~~!?
和達銀治:夏休みの宿題を手に取って見てみます
和達銀治:ちゃんとやってるかなぁ

終わった設問ページの上に日付が書いており、一日3ページ進めているようだ。

和達銀治:(偉いな…)
和達銀治:絵日記とかないですか?

KP:<幸運>どうぞ

和達銀治:CCB<=60 幸運
Cthulhu : (1D100<=60) → 21 → 成功

KP:絵日記を見つける。

和達銀治:やったー!
和達銀治:中を見ます

夏休みの宿題の絵日記のようだ。天気のことや育てているアサガオを描いている日が多い。
一ページだけクラゲの絵が描かれている。
家族で水族館に行った日のようだ。

和達銀治:「水族館にいったのか?」
男の子:「――!」

男の子はあなたが日記を読んでいるのに気づいて日記を引っ張る。

男の子:「~~!!」だめー!って顔
和達銀治:「なんだよ、よくかけてるんだから見てもいいだろ?」
男の子:「~~~」首を振る。ぶんぶん
和達銀治:「せっかく上手なのに」返してあげます
男の子:ページを閉じていそいそと机にしまいに行く。
和達銀治:ぬいぐるみは何のぬいぐるみですか?

KP:choice[猫,くま,クラゲ,ニャンダくん]
Cthulhu : (CHOICE[猫,くま,クラゲ,ニャンダくん]) → 猫
KP:ねこのぬいぐるみ

和達銀治:「猫好きなのか?」

男の子は振り向いて、頷く。

男の子:「――~~――」
和達銀治:「うんうん、おじさんも猫好きだ」
男の子:「~~――?」
和達銀治:「??」きょと
和達銀治:「…まあでも、犬もうさぎも好きだけどな」

男の子はスケッチブックに何かを書いてあなたに見せる。

男の子:『ねこかってるんですか?』
和達銀治:「猫?」
和達銀治:「犬を飼ってる」
男の子:『いぬ』
和達銀治:「わんって鳴くやつだぞ?」
男の子:知ってます、という顔
和達銀治:「知ってたか」うんうん
和達銀治:おもちゃばこを見に行きます

おもちゃ箱には知恵の輪、トランプ、色とりどりのアクリルの宝石、キラキラしたビー玉。
埋もれるようにして紛れる小瓶が一つだけある。

和達銀治:「?」小瓶を手に取ります

小瓶には花の種のようなものが一つだけ入っている。持ち上げると、それがカラカラと音を立てた。黒い小さな種の中心には白いハートの模様がある。

KP:<知識><博物学><生物学>が振れます

和達銀治:CCB<=19 博物学
Cthulhu : (1D100<=19) → 59 → 失敗
和達銀治:CCB<=60 知識
Cthulhu : (1D100<=60) → 81 → 失敗
和達銀治:CCB<=1 生物学
Cthulhu : (1D100<=1) → 77 → 失敗

KP:何の種だがさっぱりわからない。

和達銀治:「…???」
和達銀治:「変わった種だな…」
男の子:「――」
和達銀治:「?」
男の子:『めずらしいたね』
和達銀治:「拾ってきたのか?」
男の子:頷く
男の子:『あげます』
和達銀治:「でも瓶に入れてたら花になら…くれるのか?」
和達銀治:「大事なものなんじゃないか?」
男の子:『おれいです』
男の子:『すごいはながさく』
和達銀治:「そうか…?わかった、それは見てみたいしそう言うことならありがたくもらっておく」
和達銀治:「ありがとう」

男の子は満足げに頷く。

和達銀治:「ビー玉は?集めてるのか?」
男の子:「―――」頷いた
男の子:『じぶんでかいました』
和達銀治:「おじさんも昔集めてた、…ラムネとかの?」
男の子:うんうん頷く
和達銀治:「そっかそっか」
男の子:『みずのなかみたいできれい』
和達銀治:「水か、確かにそういう風にも見えるな」

男の子はビー玉を一つ持って目の前にかざす。

和達銀治:「おじさんは宇宙みたいだなって思ってた」
男の子:「――~?」
和達銀治:「見えるって、本当だぞ」
男の子:『くろいびーだまですか』
和達銀治:「うーん…そうかもな…まだちょっと君には早かったかな」
男の子:「?」首をかしげる
和達銀治:「ふふ」
男の子:『ぼくもみたいです』
和達銀治:「そうだなじゃあ、後で教えてやる」
男の子:へへ…
男の子:頷いた
和達銀治:「…うーん、お父さんとお母さんいつ帰ってくるんだ?」
男の子:『よる』
和達銀治:「夜?」
和達銀治:「ずいぶん遅いんだな…」
男の子:『いつも』
和達銀治:「そうか、寂しいな…」
男の子:「?」
和達銀治:「……。じゃあ今日は帰ってくるまでおじさんと遊ぼう、勝手に入ってしまったの謝らないといけないしな」
男の子:「!」嬉しそうな顔

男の子は何か思いついたように、スケッチブックをもったまま部屋を出ていく。

和達銀治:「あ!おい…!」追いかけます

台所の方へ向かったようで、すぐに何かをもって戻ってくる。

和達銀治:「?」

それは鍵だ。

和達銀治:「鍵?」

男の子は頷いて、縁側の扉を閉め、玄関へと向かう。

和達銀治:「外で遊ぶのか?」
男の子:「――~」
男の子:手を引っ張ります
和達銀治:「?」首をかしげる
和達銀治:「帽子とかなくて平気か?」ついていく
男の子:『へいき』

そのまま男の子に引っ張られて、あなたは家の外に出る。
男の子は玄関に鍵をかけ、あなたに向き直る。
これで大丈夫だと言っていそうだ。

和達銀治:「そうだな、えらい」頭を撫でた
男の子:「――……」恥ずかしそうにした
和達銀治:「それで、どこか行きたい場所があるのか?」
男の子:「………」

男の子は困った顔であなたを見上げる。

和達銀治:「?」きょと
和達銀治:「…なるほど…」
和達銀治:太陽を見上げました

太陽は真上に登っている。
確かに暑さ感じているが、どこか夢心地のように現実味が無くて、汗をかくほどでは無いように思う。

和達銀治:「……」
和達銀治:「どうしようか、とりあえず庭の外に出てみるか」
和達銀治:大通りに繋がってそうなところを探します家をぐるーって

【風鈴】

庭を出る。シンと静まり返った路地に人影はなく、蝉の声がいつまでも聞こえているのみだった。夏の匂いがする。
蜃気楼の揺れそうなアスファルトの道を2人でひた進んだ。
すれ違う人は誰も居なくて、ただ蝉の声だけが聞こえていたような気がした。

 
和達銀治:「夏だな…」道路側を歩きます
和達銀治:「夏休みなんだよな?」
男の子:頷く
和達銀治:「どこか行く予定があるのか?お祭りとか、プールとか」
男の子:『プールいきました』
和達銀治:「そうなのか!泳ぐのは得意?」
男の子:『もぐるのがすきです』
和達銀治:「ん、一緒だな」
和達銀治:「おじさん息を止めとくの得意だぞ」
男の子:『ぼくもまけません』
和達銀治:「本当か?でも無理はしちゃだめなんだぞ」
和達銀治:「きょうみたいな」
男の子:「――」
和達銀治:「潜るのが好きなのは、水の中が綺麗だからか?」
男の子:頷いた
和達銀治:「ふ、そうかなぁって思った」
男の子:『おにいさんはどうして』
男の子:『もぐるのがすき』
男の子:『ですか』
和達銀治:「俺か…?」
和達銀治:「うーん」考える
和達銀治:「なんか水の中にいる時って、時間がゆっくり過ぎていくみたいな気がして。落ち着くからかな」
和達銀治:「ずーっと急いで動かなきゃいけないのって疲れるだろ?」
男の子:『おちつきます』
和達銀治:「あといっぱい潜った方が冷たくてきもちいい」
男の子:うんうん頷きます
男の子:『ぷーるでやるとおこられます』
和達銀治:「そうなのか?バレないようにやるんだよ」
男の子:難しいやって顔
和達銀治:「しゅっしゅって感じだ」
男の子:スケッチブックを脇に抱えた
和達銀治:ふふ
男の子:「??」首をかしげた
 
しばらく歩いていくと、蝉の声に紛れて聞こえる花火と笛の音が、いつしか路地から外れて迷い込んでいた、森の奥から聞こえてくる。

薄暗い森の奥の通りには露店が広がり、豆電球の灯る大きな看板が見える。
街中には居なかったはずの人々がごった返している。
見る人見る人、全ての顔にモザイクがかかったように窺えなかった。ここに居るのは誰でもないし、見たこともない人たちでしか無かった。
奇妙な文字列の看板がそこには掲げられている。

KP:<聞き耳>を振ってください

和達銀治:CCB<=57 聞き耳
Cthulhu : (1D100<=57) → 64 → 失敗

KP:何か森の奥で聞こえた気がしたが、気のせいだったようだ。

和達銀治:そんなわけあるか~!;;;
和達銀治:「…!?」
和達銀治:「あれ…」

男の子は露店を見てはしゃいでいる様子で、走って露店のほうに行ってしまう。

和達銀治:「あ!こら」追いかけます!!

男の子を追いかけて人々の間をすり抜けていく。
彼らが話す言葉を何一つ理解できなかった。
早回しのビデオを聞いているようで、耳障りな玩具の立てる不快な音色のようで、それは言葉ですら無かった。
男の子はキラキラした品物が並ぶ露天の前で、商品を眺めていた。
露店には見たことも無い不思議なものが並べられている。

和達銀治:「っつ、勝手に行ったらダメだろ」不安になってきた
男の子:「――……」
和達銀治:手をつなぎました
男の子:「!」
男の子:露天のほうをちらちらみている。
和達銀治:「…なんだここ」
和達銀治:「…気になるのか?」
男の子:頷く
和達銀治:じゃあ一緒に見てみます

KP:<目星>を振ってください

和達銀治:CCB<=78 目星
Cthulhu : (1D100<=78) → 94 → 失敗
和達銀治:?

金の万華鏡、星屑、宇宙のネックレス、機械仕掛けの蝶、雫の髪飾りなどに目を引かれる。

和達銀治:「なんか珍しいものばっかりだな…」

店員らしき人物の顔にはモザイクがかかっており、やはり言葉は理解できない。

和達銀治:「…」
和達銀治:なんて言ってるかわからないけどとりあえず星屑を手に取って見ます

トゲトゲしたそれは、淡い光を放つ星屑のような物体。
触れたあなたは、それがどのような物かがわかる。
地面に向けて叩きつけると30秒だけ時間を止めることが出来るようだ。

和達銀治:「…?」
男の子:じー
和達銀治:「何屋さんなんだここは…」
和達銀治:万華鏡も見てもいる
和達銀治:見てみる!

望遠鏡のような形をした、不可思議な万華鏡。
触れたあなたは、それがどのようなものかわかる。
覗き込むと、写した相手の未来が5秒間だけ見えるようだ。

和達銀治:「君は何か気になるものあるか?」

男の子:「~~…―!」

男の子は星屑を指さす。

和達銀治:「これ?」
男の子:頷いた
男の子:『めずらしいいし』
和達銀治:へへ
和達銀治:「ふ…うんそうだな…?」
和達銀治:そういえば持ち物を確認していなかったなと和達は気付く…
お財布とか持ってますか?

KP : 普段身に着けているものは持っているだろう。

和達銀治:ふむ
和達銀治:「あのこれ欲しいんだが…」星屑をお店の人に渡します

品物を渡すと、店主は手を差し出してくる。

和達銀治:「いくらですか?」聞いてみます

店主の言葉は早回しのビデオを聞いているようで、耳障りな玩具の立てる不快な音色のようで、それは言葉ですら無かった。

和達銀治:「うーん…」目を細めた
男の子:腰の裾を掴んでいる
和達銀治:とりあえず1000円渡してみます

店主は出された1000円を受け取ると、星屑ともう1つ、おまけにネックレスを手渡してくれる。
それは宇宙を閉じ込めたような半球形をしていた。

和達銀治:「?」
和達銀治:「くれるのか?」

店主は何か言っているようだが聞き取れない。

和達銀治:「そうか、よくわからないがありがとう」

宇宙のネックレス。宇宙を閉じ込めた不思議なネックレス。半球系の硝子で出来ている。中心に煌くのはブラックオパール。

和達銀治:受け取ります
和達銀治:「はい、これでいいか?」とりあえず星屑を渡します
男の子:嬉しそうに受け取ります
和達銀治:「…」それを見てた
和達銀治:嬉しくなった

男の子は星屑をポケットにしまうと、いそいそとスケッチブックに『ありがとう』と書く。

和達銀治:「どういたしまして」ネックレスもかけてあげます
男の子:「――……?」
和達銀治:「よくわからないがもらった、あげよう」
男の子:「………」ネックレスを眺めている
和達銀治:「俺はもうつけてるからな、おそろいだ」

男の子はハッとしてあなたを見上げる。

男の子:『くろいびーだまです』
和達銀治:きゅんとしました
和達銀治:「うん、そうだな」

男の子はあなたの真似をしてか、大事そうに服の中にネックレスをしまう。

和達銀治:へへ
和達銀治:へへへ
和達銀治:「…さて、どうしようか…」
和達銀治:「他にどこか見たいとこあるか?一人で行くのは駄目だぞ?」

男の子は周りをきょろきょろと見回し、何か見つけたように指をさす。

和達銀治:「?」そっちを見ます

露店の立ち並ぶ奥に、重力を無視したような不思議な形状のドームが見える。
大きな看板には豆電球がぴかぴかと光っており、見たことも無い文字が書かれている。
人々がドームの中にぞろぞろと入っていくのも見えるだろう。

和達銀治:「あそこか?」
男の子:頷いて手を引っ張る
和達銀治:「うーん、しかたないなぁ…」ついていきます

ドームの中はサーカスが行われているようだ。
観客席はいっぱいで座れず、立見として一番後ろに立つことになる。

和達銀治:「サーカスか…?みたいだな」
男の子:なんとか見ようと背伸びをしている。
和達銀治:「見えるか?」
男の子:「――…」
男の子:跳んだ
和達銀治:肩車してあげます
男の子:「——…!」驚いたけど嬉しそうにした
和達銀治:へへへ

熱のこもった静けさの中、スポットライトがステージの上に当たった。
早回しのビデオ音声のような音が舞台から聞こえてくる。
煌びやかな衣装を纏ったピエロは優雅に一礼してみせると、獰猛なライオンが舞台袖から現れて紅蓮の火の輪を潜った。
その咆哮が会場を揺らし、ピエロはシャボン玉を吹く。
虹色に煌く無数のシャボン玉は放射線状に、あるいは不規則に広がって、あっという間に会場を包み込む。

和達銀治:「!」びっくり

あなたの前にもシャボン玉がふわふわと漂ってくる。

和達銀治:息を吹きかけます
男の子:「!」シャボン玉を触ろうと手を伸ばす
和達銀治:「落ちないようにするんだぞ」
和達銀治:なんか触れそうな感じ動いてあげます

あなたがそうしてやると、男の子の手がシャボン玉に触れる。

——————気付くとそこにピエロは居なかった。

無人の舞台を照らすスポットライトが不意にあなたの頭上に降り注ぐ。
瞬間、飛び散る赤、泣き叫ぶ声を思い出す。
アブラゼミの大合唱に掻き消され、蜃気楼に揺れるアスファルトにぶちまけられたあの真っ赤な色が、脳裏に蘇る。

「君の、名前は」

鼓膜を直接震わすように、甲高い急ブレーキの音のあと、確かに俺はそう言った。

――――――――――

永遠とも言えるような時間の静止。
ここがどこなのか、目を開けてからすぐに分からなかった。
ゆらゆらと不規則に揺れる木目の天井と床。
キコキコと羽ばたく機械仕掛けの蝶がヒラヒラと目の前を通り過ぎていった。
 

和達銀治:「…れ…」
和達銀治:男の子を探します

周りを見ると、ここはどうやら木造の小船の上のようだとわかる。
今にも愚図りそうな空の下、淡くかかった霧の向こう、大きな施設が見える。
船の中には2本のオールが並べて置いてあった。
男の子は船の縁につかまり、海を眺めている。

和達銀治:「…なんだ…?」困惑
和達銀治:「…さっきから変だな…」
和達銀治:「大丈夫か?」男の子に
男の子:「!」

男の子はあなたが起きたのに気づくと近寄ってくる。

男の子:おでこに手を当てた
和達銀治:「?」
男の子:自分のおでこにも手を当てる
和達銀治:「…?」きょとん
男の子:大丈夫そうに頷いた
和達銀治:「…あぁ、熱が無いか見てくれたんだな」
和達銀治:「大丈夫だ、君は?」
男の子:「――」
男の子:『げんきです』
和達銀治:「よかった」
和達銀治:船の中は特に何もないですか?

KP:特に目を引くものはなさそうだ。
KP:そうしていると、こつん、と屋根に何かが当たる。

和達銀治:「?」

ころころした丸い小さな球は船の中に転がってきて、次々に屋根に当たっては落ちてくる。

KP:<目星>が振れます。

和達銀治:CCB<=78 目星
Cthulhu : (1D100<=78) → 12 → スペシャル

KP:それは飴の雨だとわかる。

和達銀治:「飴だ…」
和達銀治:一個拾います

KP:拾ったのは紫色の飴玉だ。

和達銀治:「グレープ…?」
和達銀治:いやでもこれ食べていいのかな…
和達銀治:いや…
和達銀治:うーん…
和達銀治:食べるか
和達銀治:食べます

KP:食べるとすっぱい味がする。
KP:<目星>に+1

和達銀治:駄目だった!!酸っぱい!
和達銀治:きゅっとした

不意に、男の子に裾を引かれる。

和達銀治:「?」

どこから持ってきたのか、透明な瓶をあなたに差し出す。

和達銀治:「瓶だ…?」
和達銀治:「飴を入れるのか?」
男の子:『すきないろ』
和達銀治:「なるほど…」

飴玉の色は、赤、青、紫、緑、黄、橙、白、黒。瓶には8つくらい入る。

和達銀治:「カラフルにしよう」
和達銀治:全種類一つずつ入れます
男の子:『きらいないろはないんですか?』
和達銀治:「ないぞ、全部綺麗な色だ」
和達銀治:「君は、青が似合うな」
男の子:『あおはすきです』
和達銀治:「水の色と一緒だもんな」
男の子:嬉しそうに頷いた
和達銀治:へへへ

夢中になって男の子と飴玉を集めていた。ちゃぷんと打ち寄せる波、目の前に広がる岸部。
いつの間にか雨は止んでいて、薄らと視界を覆う霧の中、そびえ立つ施設がある。

和達銀治:「…なんか怪しいところについてしまった」
和達銀治:船から下ります
和達銀治:男の子も下ろしてあげよう

船から降り、少し湿った岸に足をつける。
男の子は眠そうに目をこすりながら降ろされる。

和達銀治:「…眠いのか?」

男の子は目を閉じながら頷く。

和達銀治:「しかたないな」しゃがんで背中を向けます
和達銀治:おんぶの姿勢
男の子:「………!」

男の子はぺったりと背中にくっつく

和達銀治:へへへ
和達銀治:じゃあおぶっていきます!ぎゅ
和達銀治:「眠かったら寝てていいからな」

男の子が頷いたのが肩越しにわかる。

和達銀治:不安に思いながらも施設に向かいます

あなたは施設に向かう。踏みつける地面は苔で覆われているようでが水っぽい。
男の子は眠ってしまったようで、身体をだらんとさせている。
呑気そうな寝息が首筋に当たる。

和達銀治:「…」ほっこりした

進んでいくと、巨大な施設の入り口にたどり着いた。
入り口の大きな鉄扉は見上げていると首が痛くなる。
しばらくそこで待つと、建物の奥からコツコツと響く足音がする。
左右に開いた自動ドアの向こう側に、白衣の女性が立っている。

和達銀治:「!」びっくり
和達銀治:「こんにちは」

女性は言葉を発するが、その言葉は理解できない。
あなたと背中の男の子をみて何かを悟ったのか、頷いて中へ入れてくれるだろう。

和達銀治:「!わるいな、ありがとう」

【施設】

微かな冷気の立ち込める白い廊下に、コツコツと2つの足音が響く。
並ぶ無数の檻の中には鷲の羽、ヘラ鹿の角の生えた少女。
たくさんの動物たちの混ぜられた少女たちが整然と閉じ込められている。
その誰もが虚ろにどこかを見つめるばかりでこちらに顔を向けることは無かった。
どれほど歩いてきただろうか、ここまでに、一体何度角を曲がったか忘れてしまった。
やがて女性は1番奥のスライド扉の前に立って、おぶった少年をこちらに渡すように促すジェスチャーをする。

和達銀治:「……?」
和達銀治:「どうするんだ…?」

女性は早口のノイズのような声で喋るが、何を言っているのかわからない。

和達銀治:「……俺がおぶって行くのじゃ駄目なのか?」

女性は困ったように首をかしげ、再度、渡すようにジェスチャーをする。

和達銀治:「……」ムム
和達銀治:スケッチブックを取って渡します
和達銀治:「わるい、なんて言ってるかわからないんだ」
和達銀治:「書いて教えてくれないか」

スケッチブックを渡すと、女性はさらさらと文字を書く。
『その子の具合が悪いんじゃないのか?』

和達銀治:「…いや、眠いとはいっていたが…そんなことはないと思う…多分…?」
和達銀治:おぶってるので頬をおでこに寄せてみます

KP:熱などは無いように思える。

和達銀治:「…うん、熱とかはないみたいだ」

女性はあなたにスケッチブックを返すと、困ったように笑みを浮かべて、指を鳴らす。

和達銀治:「?」

すると、スライド扉の奥からジャラジャラと何かを引きずりながら、トナカイの角、ライオンのタテガミを揺らして、毛むくじゃらの蹄の脚でリノリウムの床を叩く少女が歩み出てくる。
異様に変形し無数に枝を伸ばす大樹のように巨大なツノが、少女のシルエットを3倍にも4倍にも大きく見せていた。

和達銀治:「!」びっくり

KP:戦闘ラウンドに入ります。

和達銀治:せんとう?
和達銀治:銭湯??
和達銀治:逃げます!!
和達銀治:逃げます!

KP:<幸運>をどうぞ

和達銀治:CCB<=60 幸運
Cthulhu : (1D100<=60) → 40 → 成功

KP:あなたは踵を返し、その場から逃走する。

何度も角を曲がり、分厚い鉄扉に向かって走った。
左右に開いた扉から差し込む眩い白に飛び込んだ瞬間、浮遊感に襲われた。

――――――――――

あなたの前には黒衣をゆったりとはためかせる人影がある。
黒衣の人影は灰色の包帯に覆われた顔を上げ、あなたに手を差し出す。

和達銀治:「……はっ…っ?」
和達銀治:「????」
和達銀治:「な、んだ」ムム
和達銀治:「えっと…」手を見ます

その手に握られていたのは、淡く光る星屑。確かあの奇妙なサーカスで買ったものだった。
記憶が曖昧になる。
あの子が大声で泣き喚く声がする。
穴あきだらけの思い出の中に、あの子だけが居ない。
耳鳴りのような頭痛を感じる。星屑を見ていると、なくなった記憶の大きさを感じる。

KP:受け取りますか?

和達銀治:「…っつ?」受け取ります

星屑を受け取ると、黒衣の人影の手の中には淡く輝く炎もまた閉じ込められていることに気付く。
それは瓶の中に揺らめく光で、見ていると不安になるだろう。

和達銀治:「……それは?」炎を

黒衣の人影は答えない。
けれどあなたは理解するだろう。それは人の魂の半分だと。
黒衣の人影は、いつの間にかそこに居た男の子の手を握り、ゆっくりとあなたに背を向ける。

和達銀治:「!!?」いつの間に!?
和達銀治:「おい!!」黒衣を掴みます

あなたが引き止めると、立ち去ろうとした黒衣の人影は振り返る。

和達銀治:「どこに連れて行く気だ…」
男の子:「……」

黒衣の人物は答えない。
しかし、ゆっくりとあなたを指差す。あなたの心臓を。

和達銀治:「…?」
和達銀治:「…引き換え、ってことか??」
和達銀治:「何でなにも喋らないんだ?」

黒衣の人物はあなたを見てゆっくり頷くような仕草をした。

和達銀治:「そうか…」
和達銀治:「…」男の子をチラッと見ます

男の子は何が起こったのかよくわからなさそうな顔をしている。

和達銀治:「わかった」
和達銀治:「いいぞ、やるから離せ」手を出しました

あなたが承諾すると、黒衣の人影はゆっくりとあなたの胸元に手を伸ばす。
ずぐり、と青白い細い手が胸に沈む。冷たい指先が体内を探っている。
生理的な嫌悪感か、それとも原始的な恐怖か、身体が芯から冷えてゆく。
指先から吸い取られた生気が、やがて引き抜かれた時、黒衣の人影の手には瓶の中身と同じ青白い炎が揺れていた。

KP:自分自身の魂を目撃したことによりsanチェック1/1D3

和達銀治:CCB<=65 SAN
Cthulhu : (1D100<=65) → 7 → スペシャル

黒衣の人影は瓶の蓋を開け、それを入れると、また栓をしてかき混ぜるように上下に振った。
すると半分ずつだった魂は1つになり、黒衣の人影はそれをあなたに差し出す。

和達銀治:「……」
和達銀治:受け取ります…

――――――――――

それを受け取った瞬間、真夏の青空だった。
無音の世界から突然蘇ってきた騒音の嵐に翻弄される。蝉の声が雨のように五月蝿かった。
 
アスファルトの上に、男の子と手をつないで並んでいる。
男の子は立ち尽くすあなたを見上げて不思議そうな顔をしている。
手にしていたはずの瓶はなく、手の中にあるのはあの星屑だけだった。

KP:<聞き耳>を振ってください

和達銀治:CCB<=57 聞き耳
Cthulhu : (1D100<=57) → 41 → 成功

背後から、アスファルトを通して響く振動と微かな轟音が近づいて来る。

和達銀治:見ます……

振り返ると、大型トラックが。それが、交差点を抜けて物凄い勢いでこちらに迫ってくる。
そうしてそのまま、こちらへ突っ込んで来ようとしている。あの子を、轢き殺そうとしている。

KP:俺は。そう、あなたは、どうしますか?

和達銀治:助けたいです
和達銀治:星屑の瓶を地面に落とします
和達銀治:瓶じゃなかった…星屑を地面にたたきつけます

あなたは星屑を地面に放る。
叩きつけた星屑は無数の破片を散らしてキラキラと真夏の空の下で煌き、辺りを一瞬にして青白く包み込む。
蝉の声が止んだ。

 
トラックの轟音も、何もかも、静止した世界。

KP:そこで息をして動いているのは自分だけ。あなたはこれから、30秒間好きな行動を取ることが出来ます。
KP:星屑が壊れた瞬間、あなたは、忘れていた目の前の人物の記憶全てを一挙に取り戻し、空白が埋まっていくのを感じます。
KP:あなたが忘れていたのは何でしたか。誰でしたか?あなたは、どうしますか?

KP:これは魂の契約です。
KP:あなたは、今まさにここで奪われようとしている男の子の命を助けようとするならば、その対価を用意しなければなりません。
KP:これは、必ず奪われるべきものです。それをただの人間であるあなたに捻じ曲げることは出来ません。

和達銀治:それでも助けます
和達銀治:後悔すると思うので

KP:それでは、あなたは男の子、工藤有佑の身代わりとなって、命を奪われることでしょう。
KP:然るべき時、然るべき運命が、いつかあなたを殺しに来る日まで。
KP:あなたはその手あった【愛】を忘れてはいけません。

――――――――――

叩きつけられた、と思う暇は、果たしてあっただろうか。
身体の半分が猛烈な勢いで打ち付けられて、アスファルトの地面に転がる刹那。
その上を無慈悲に通り過ぎる大型トラックが、そこを一瞬にして真っ赤な血の海に変えた。
飛び散る赤、むき出しの骨。

———夏。

厭になるほど暑い、熱い日差し。
わんわんと鳴り響くアブラゼミの合唱の中に、ぶくぶくと水泡が上がっては小さな手は宙を掻く。
水面の向こう側で風鈴が鳴っている。

 
夢?これは夢じゃない。

ただ、俺の夢でもなくて、これはあいつの夢だったんだと、今頃気がついた。
俺は焼けそうに熱いアスファルトの上に寝転がっている。
泣いている声が聞こえて、そこでやっと傍に居る誰かを思い出す。
大泣きする誰かは、もう動かなくなった俺を見て、ただずっと泣いている。
その声がやけに耳にこびり付くので、永遠にこの光景を忘れることは無いのだろうと思う。

 
男の子:「――――!!」

――――――――――

夏の日差しは蝉と、大泣きするあの声に遮られて、だんだんと白んでいった。まるで真夏の、蜃気楼みたいだった。
目を覚ました時、妙な胸騒ぎがして、あの熱い日差しの余韻の中、まだ早朝の部屋の空気が嫌な予感を喉に流し込んでくる。
思わず身体を起こし、あの人の家へ急いだ。

玄関には鍵が掛かっていなかった。
部屋は冷房がついておらず、蒸し暑い。窓が開いているのだろうか、閉まったままのカーテンが揺れていた。

和達銀治:「…」中に入って探します

KP:<聞き耳>どうぞ

和達銀治:CCB<=57 聞き耳
Cthulhu : (1D100<=57) → 11 → スペシャル

KP:風呂場から、水の垂れる音が聞こえてくる。

和達銀治:急いでお風呂場のドアを開けます

タイル張りの床は濡れている。浴槽にはいっぱいに水が張られて、工藤が仰向けに沈んでいた。
目を閉じて、まるで眠っているかのようだった。
黒髪が藻のように静かに揺れている。

和達銀治:「っつ」水から引き上げます

声をかけ、手を伸ばせば、水中で彼は目を開けた。
水の中の黒い瞳と、目が合う。
未だまどろみの中にいるような、虚ろな表情だった。
起こした身体は冷え切っていた。ゆっくりとあなたに顔を向けると、ポツリと声を漏らす。

工藤有佑:「夢を、見てた」
和達銀治:「……」息を整えつつ聞いてます
工藤有佑:「……」じっと見つめた
和達銀治:「……死ぬんじゃないかと思った」
工藤有佑:「…しんだのは、そっちだろ…」
工藤有佑:「……どうして、忘れてたんだ、…」ぼんやり水面を見る
工藤有佑:「ずっとまえに、…会ってたのに」
和達銀治:「………」
工藤有佑:「……なまえも、おしえてもらった…」
和達銀治:「…でも、泣いてただろ」
和達銀治:「お前にとって、悲しい思い出だったのなら。忘れていた方がよかったんだ」
和達銀治:「思い出して、どう思った」
工藤有佑:「……俺のせいで、銀治が…しんだら、」
工藤有佑:「……………」
和達銀治:「……悲しいと思ったか?申し訳ないと思った?」
工藤有佑:「……、どうしていいか、わからなかった」
和達銀治:「……」
工藤有佑:「いつも、…そうだ」
和達銀治:抱きしめます
和達銀治:記憶を曇らせる呪文を使いたいです

KP:「記憶を曇らせる呪文」コスト:1d6のMPと1d2のSAN

和達銀治:1d6 MP
Cthulhu : (1D6) → 1
和達銀治:1d2 SAN
Cthulhu : (1D2) → 2

KP:MP対抗ロールに成功で対象は1つの特定の出来事を覚えていられなくなる。

和達銀治:魔力のコインを11枚と使います自分のMPから1使います

KP:では12との対抗どうぞ

和達銀治:RESB(22-12) MP対抗
Cthulhu : (1d100<=100) → 自動成功

KP:何の記憶を忘れさせますか?

和達銀治:夢で誰と一緒にいたのか
和達銀治:です

KP:あなたがそう念じると、工藤の記憶からその出来事が消えていく。

和達銀治:「お前が俺のことで何も気負うことは無い…」
和達銀治:「大丈夫大丈夫」強く抱きしめました

工藤は不思議そうな顔をしてあなたに腕を回す。

和達銀治:「…こんなところで寝るなんて馬鹿だな」
和達銀治:「疲れてたのか?」
工藤有佑:「……」??
和達銀治:「風呂場で寝てたんだぞ?」
工藤有佑:「…潜るのが、好きなんだ……。静かで」
和達銀治:「そっか、うん、…俺もわかる」
工藤有佑:「夢で、会った…人も……そう言ってたな」
和達銀治:「そうなのか」
工藤有佑:「……さっきまで、覚えてたはずなんだが」
和達銀治:「忘れるようなことだったんだ、そんなに大事なことじゃないんじゃないか」
和達銀治:「…起きれるか有佑、少し休んだ方がいい」
工藤有佑:「……いや、大事なことだ…」
工藤有佑:「会いに行かないといけない…そう、思う」
和達銀治:「………なら、きっと、そのうち思い出すよ」
工藤有佑:「……」
和達銀治:「今は少し休憩した方がいい、ずーっと急ぐのは疲れるだろ」
和達銀治:体を起こしてあげます
工藤有佑:「……。…わかった」

あなたはふと、ポケットには飴の入った瓶と、その中に混ざって男の子からもらった植物の種が入っていることに気付くだろう。

和達銀治:「……」

工藤は適当に着替えて、部屋で横になっている。

工藤有佑:「…銀治は、何か用があったのか…?」
和達銀治:「あぁ、いや…。」
和達銀治:「……顔が見たかっただけだ」
工藤有佑:「……」少し笑った
和達銀治:「…じゃあ、ちゃんと寝るんだぞ」
工藤有佑:「…もう帰るのか…」
和達銀治:「そうだな、一応は大丈夫そうだし」
工藤有佑:「……。そうか」
和達銀治:「……。」口を開いたけどやっぱりやめました
和達銀治:「じゃあ、またな」
工藤有佑:「……。」頷いた
工藤有佑:「来てくれてありがとう…」
和達銀治:「…なんだそれ」笑った
和達銀治:「どういたしまして」玄関から出ます

外では日も登り、蝉の声が響いている。
あの夢の出来事は、あなただけの記憶になった。
人のいない朝の道を、あなたは1人で家へと帰るだろう。

KP:これにてクトゥルフ神話TRPG『Empty your love.』を終了とします。

 
和達銀治:おつかれさまでした!

イメージソング「フォトンブルー」
↓銀月さんから頂いたとっても素敵な卓絵

2018/7/28


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