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自分のこえを、やっと好きになりはじめた

はじめて自分の声を好きじゃないと思ったのは、そういえばいつの頃だっただろう。

定番ではあるが、小学生低学年のカセットで録音した声というのを初めて聞いた時か。
それとも音楽の授業で、女の子たちが歌える歌を地声で歌えず、恥ずかしかった時か。


私の声は女にしては低い。

オーケストラでソロパートが始まった時に
その音色がはっきり届くものと、一瞬どこから鳴っているか迷う、そういう楽器があるが、
その後者だと思う。

私の声は、
ちょうど雑音に紛れやすい音程で、声質だ。

飲み会の時など、聞こえにくそうにされるし、
自分で話していても、周囲の音に紛れているなぁと感じている。

コンビニやスーパーのレジで、
レシートいりますか?お箸いりますか?と聞かれる時は
必ず身振り手振りをつけるようにして。 ボディランゲージで補う。

飲み会の時は少し前のめりで。
騒音が目立つ場所では、大切な話をする時はタイミングを考えて。

そうやってやっていた。


そして、だからといってもよいか、カラオケは避けてきた。

一曲もちゃんと地声で歌える気がしないし、高い声が出ないということを受け止めにくかった。

たまにどうしても断りきれず行っても、女子の高い歌声を同じように出せないから端っこでタンバリンを叩いてた。

けど歌わないのは、
ああいう場では「ない」のは知っている。

ので、できる限り断るようにしていた。

「女の子のような可愛い声が出せない」
「まして、男性歌手が歌う音も出せない」
それはけっこう劣等感だった。

とは言っても「歌う」はきらいではない。

ただ私は自分の唄声が人に聞かせられるものではないと知っていた。

たぶん音痴ではなさそうと思っていたけれど
「音を出す楽器」としての、
この楽器である私自身が好きでなかったのだろう。

歌うのは、人気がない自転車運転中か、家で一人の時だった。

そんな私の楽器を
なるほど嫌いにならなくてもいいのかもと思わせてくれた出来事がある。

それは音楽で活動している人のイベントのお手伝いに行き、
その道で何十年活動しているプロの方に挨拶した際に、
「いい声だね」か「面白い声だね」とか言ってもらったと言う、たわいのないことだ。

正直、前過ぎて、言葉の内容はあんまり覚えていないのだけど。

「面白い」だったとしても、その言葉に蔑みは感じられず。

音楽好きの人が、それで生きてきた人が、
音としてのこの声に興味を持ってくれている。

そのことで、
あ、私はこの声に卑屈にならないでいいんだ、そう思った。
この楽器も、悪いものではないんだなと染み込むように思えたのだ。

それは少しだけ心の中で安心になった。

ただ、
「こえ」を出すのは面白いことなんだな、
私いう「楽器」を使って私の「こえ」が出ているんだな。

それを意識したのは、この数年だ。

もともと緊張している時の説明は、
声が「張る」感じは昔から感じていた。

弦楽器の高音、サックスとかオーボエとかのリードが震える感じ。
息継ぎが足らんし、私今緊張しているというのがもろにわかる。
喋った後に喉が痛い。

反面、この数年で気づいた。
リラックスして話している時に、話ながら、
(あれ?どこからしゃべってるんだろう)と感じるような話し方をしていたことに。
普段なら人に届かせるために張らせている、
その声帯を使ってない感じで、私は今喋っている、
そう思うことがあった。

なんだろう、不思議だ。


子供の頃は、声って普段使う地声と裏声の2種類だと思ってた。
地声が出なくなったら裏声を使う。

大人になって、その間にミドルがあると知った。

けど、どうやら、
その3つではないらしい。

楽器も演奏の仕方でその音色が変わるように
声もその奏で方で性質が変わるということ。

息の抜き方、震わす声帯の位置。

なるほど、こういう声の出し方があるのかと思う。
それに気づく。

自転車で走りながら人がいない時に歌うは好きだった。
喉のどの部分を使って歌うかを意識して喉を使ったら、
違う音が出るようになった。

そのことが、楽しい。


ちょうど、音楽て激しい感情を体を使って出せて
なおかつ人は傷つけない、
そして感情に没頭できる最高なものかもなぁと思い始めていたので

私は歌うを求めていた。


ということで、アラサーにして
一人カラオケにハマり始めた。

私の声はどんな音を出せるか。

この曲のココは喉をこうすると出る。
この声は、私の声質だとなんか、出せなくてイヤになる。
反面この曲は気持ちいい。

私は自分の声を好きになり始めている。



果ノ子
(久しぶりにnoteです。文章自体は夏前のもの。声は長いことコンプレックスがあり、きっと今もまだあるのですが、
「キレイ、可愛い」でなくていい、なんか楽しいを目指しつつ、過程を面白がれると違うもんだなと思っています。)

(声を出すが楽しい、ってなんだか素敵だよなぁと書いていて思います。)

(また定期的に文章書いていきたい所存です(・ω・))

(一人カラオケは抵抗があったのですが、夜行バスを待つ間にいる場所ないから仕方ないなぁを自分への言い訳にして(笑)一回行ったら次から大丈夫でした。小心者です。)

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