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モダンホライゾン3後の【ケシスコンボ】を語る

再来する【ケシスコンボ】

さて,今回は私が愛用しているモダンの【ケシスコンボ】について,語っていこうと思う。随分ニッチなデッキではあるが,ありがたいことに「最新のデッキリストはどうなってる?」「モダンホライゾン3(以下,MH3)後のケシスはどうなんだ?」とお声をいただくことも増えた。なぜか海外から多い。もっと他にやることあるだろうに,心配だ。

本記事では,そんなMH3の中でも,特に試し甲斐のあるカード達をご紹介します。【ケシスコンボ】を長く使った者ならではの視点を交えた解説の他,それらを採用したサンプルデッキリストも挙げておりますので,併せてお楽しみください。

デッキの概要については,拙著ながら,こちらの解説記事をどうぞ。

デッキの動きから細かなカード採択まで,ある程度網羅的に記載しております。2万字程とそれなりのボリュームですが,読みものとして併せてご一読くだされば幸いです。上記の記事は一部有料設定となっておりますが,本記事は全文無料となっております。ですが,もし気に入って頂けましたら,本記事につきましてもフォロー・サポート頂けると大変うれしく思います。次回以降の記事の励みになります。

それでは,どうぞお楽しみください。

簡単なデッキの概要

上記の記事にもありますが,以下はデッキリスト(少し前のものですが)とデッキのごく簡単な動きの図解です。

少し古いですが,骨格は変わりません
これだけ簡単【ケシスコンボ】


主役。生きる《ヨーグモスの意志》

《隠された手、ケシス》はその性質上,デッキの多くを伝説カードで構成する必要がありますが,逆にいれば制約はそれだけ。デッキの自由度は非常に高く,色構成からサイドボーディングに至るまで,調整のし甲斐が非常にあるデッキです。

今回のMH3のように,大規模なカードプールの増加は言わずもがな。将来的にも様々なカードが検討でき,長く遊べるデッキとして,ぜひとも皆様にもお試しいただきたく思います。

モダンホライゾン3の新規カード達

《知りたがりの学徒、タミヨウ》

1マナの変身PWクリーチャー。【ケシスコンボ】においては,《モックスアンバー》がフル投入されている手前,早期に伝説クリーチャーを展開する意義が大きいです。《アンバー》が《ハーフリング》と同様,最序盤のマナソースとして使える点も大きいですね。

《タミヨウ》は,攻撃時誘発に《手がかり》を生成し,《エムリ―》の早期着地を強烈にアシストしてくれます。もちろん,《手がかり》自体がリソース源となる他,《ローナ》《テフェリー》《ジェイス》とドロー手段もそれなりに備えているため,変身も容易。【ケシスコンボ】においては,表面だけで非常に強力です。

誰?いや,強かったんですよ…(アルケミー)

メインボードの時点では,変身後の《タミヨウ》の[-2]はややうまみが少ないですが,サイド後まで含めても《致命的なひと押し》《思考囲い》の採用枚数を調整するだけで事足ります。ヒストリック時代の《暗黒時代の後継,ジャーシル》を彷彿とさせますね。

え,そんなカード知らない?そんなはずは…

《大食の幼生、グリスト》

1マナの変身PWクリーチャーその2.《グリスト》は,《ラガバン》《野生のナカティル》《縄張り持ちのカヴー》と言った地上の高速アグロへの壁役として非常に優秀です。
《グリスト》の最大の強みは,《タミヨウ》と異なり自身が緑の1マナ生物のため,《グリスト》+《アンバー》→《ハーフリング》/《ニッサの誓い》,と緑マナを有効に使った2アクションを可能にしてくれる点。変身能力はもちろん,《ケシス》によって容易に達成可能。《タミヨウ》とは異なり,対面によってはほぼバニラになる点はマイナスですが,元々苦手としてた《ラガバン》を擁するフェアデッキに有効であり,マッチアップ相性の改善には一役買ってくれそうです。

《エーテリウム造物師,ブレイヤ》

新イラストが好み

現代モダンで【ケシスコンボ】を使う際,最大の障壁となるのが《ダウスィーの虚空歩き》。これを取り除くために,《致命的な一押し》をメインに少量採用する等,随時調整を施してきました。ですが【ケシスコンボ】はその能力から,デッキの大半を伝説カードで占めることを強制されます。ユーティリティ枠としての除去を入れれば入れるほど,コンボ達成を見込めなくなるため,「盤面を触れる,伝説のカード」を求めていました。《時を解す者,テフェリー》は便利ですが,バウンスでは根本的な解決とはならず,苦しい箇所でした。

その中で今回の《ブレイヤ》はやや重いものの,盤面形成と驚異の除去をこなしてくれる存在です。【ケシスコンボ】は多色化によりショックインの回数が多く,【果敢アグロ】【ボロスバーン】に不利を強いられがちでしたが,《ブレイヤ》の壁役生成+ライフゲイン能力は,その回答としても有用です。また,「伝説の“アーティファクト・クリーチャー”」のため,《エムリー》で墓地から再利用できる点も見逃せません。

さらに言えば,起動型能力を持つため,《アガサ》とも噛み合います。一見ふざけたマナシンボルも,《城塞の大広間》 《ジェガンサ》によってそれほど負担にもなりません。前述した《タミヨウ》の《手がかり》生成ともシナジーがあるので,かなり強力に運用できるでしょう。

サンプルリスト1(《タミヨウ》+《ブレイヤ》型)

《神秘ジェイス》&《ジェガンサ》の運用については,前述の記事をご参照ください

《ブレイヤ》のアーティファクトのコストのため,《彩色の宝球》を追加で採用。これはヒストリック時代の【ケシスコンボ】からの流用です。色マナ補正の他,もちろん《エムリー》とも噛み合いますね。土地以外からのマナ源が増えているので,《キナン》を採用しても良いでしょう。

私は【ケシスコンボ】のサイドボーディングではコンボ要素を極力減らし,《フェールス・ロキーリク将軍》を用いたミッドレンジプランを好んでいます。その中で,《ブレイヤ》は《ロキーリク》とも強烈なシナジーを形成し,より明確ゲームプランの成就を後押ししてくれる存在です。惜しむべくは,《ブレイヤ》は「人間」なので,除去能力が《スランの医師,ヨーグモス》にあたらないことぐらいでしょうか。誤差です。

《六番》

これはまさに,5枚目の《ケシス》。回顧によって《アンバー》や《ニッサの誓い》を拾うことでリソース増幅&コンボのアシストを担う他,2/4到達というスタッツは《ドラゴンの怒りの媒介者》等への壁としても悪くありません。

《タミヨウ》《グリスト》の項でも触れましたが,デッキ内に一定数の魂力土地が入る手前,伝説のクリーチャーが序盤に並べやすくなることは明確な強化です。従来の【ケシスコンボ】は,どちらかと言えばPWやエンチャントといった非生物の伝説パーマネントが並びやすく,見た目ほど魂力土地のコスト軽減に貢献してはいませんでした。特に,本来《竹沼 》はデッキに非常に噛み合う性能でしたが,思うように軽いコストで運用できなことがネックでもあり,複数採用が常にためらわれる格好でした。

その点で《六番》は,単に伝説のクリーチャーを並べるのみならず,土地回収自体が魂力土地と非常によく噛みあいます。前述した《竹沼》は言うに及ばずです。

《セヴィンの再利用》

3マナ以下のパーマネントを吊り上げるスペル。《エムリー》《完成化ジェイス》の切削の過程で落ちても,《ケシス》《アンバー》を拾い上げてくれるため,構成上無理なく採用できるパワーカードです。
マナソースが多い都合,フラッシュバックのコスト捻出も容易。適当にフェッチランドを釣り上げてマナを伸ばす動きも,同一ターンで《ケシス》+《完成化ジェイス》と仕掛ける際には悪くない動きになりそうです。今回登場の《グリスト》も蘇生候補の筆頭ですね。

《変容する森林》

《ケシス》のコピーになるはもちろんですが,最大の利点は5枚目の《モックス・アンバー》になれること。【ケシスコンボ】でよくあるシチュエーションの一つに,「《アンバー》の2枚目が見つからず,ループができなくて負け」というケースがあります。《変容する森林》があれば,墓地の《アンバー》をコピー後,《ケシス》のループに突入でき,これなら《アンバー》が一枚墓地にあるだけでコンボスタートが可能。アンタップイン条件はやや気になるところですが,現状はギルドランドがらみは森タイプである程度揃えているので,大きな支障ありません。

【ケシスコンボ】はカードタイプが自然と散っているので,昂揚達成も容易。一度《ジェイス》《エムリー》の切削を挟めば,無理なく運用できるでしょう。何より,土地でコンボパーツを賄えるという点でも,非常に評価できる1枚です。

《再誕の刃,ラエリア》

【ケシスコンボ】は全身墓地利用でありながら,クリーチャー除去・カウンターなども含め,あらゆる手段で容易に妨害されうるコンボです。そのため,妨害が苛烈なデッキ相手には,《ジェイス》《エムリー》などのコンボに寄ったカードは減らし,《湧き出る泉,ジェガンサ》を相棒に据えた“伝説ミッドレンジ”をゲームプランに据えることが多いです。

その際に主軸となるのが先ほども触れた,《フェールス・ロキーリク将軍》。従来から感触の良いカードですが,もう一種,ミッドレンジ攻勢に適した枠を求めていました。その点で《ラエリア》は同様の役割が期待できるカードです。リソースの獲得能力もさることながら,《ケシス》の能力を起動するだけで,勝手にサイズが上がってくれるのが何よりの魅力でしょう。

サンプルリスト2(《六番》+《ラエリア》型)

《六番》《グリスト》《セヴィン》を採用し,墓地利用を強める方向性。サイド後は相手の墓地対策が苛烈になることを見越し,これらのカードはサイドアウト。同マナ域では既存の《ロキーリク》だけでなく,《ラエリア 》を新たに採用し,サイドで交換します。除去だけでなく,能動的に打てるハンデスとともに,ミッドレンジ攻勢を仕掛ける形をとっています。

これからの【ケシスコンボ】ユーザーへ


本記事は以上になります。

何ご意見ご要望などありましたら,@hateatosibまで気軽にご連絡ください。

今回の【ケシスコンボ】は,自由枠からサイド後のプランまで,人によっていかようにも弄れるアーキタイプです。是非一度手に取って頂き,その奥深さをご堪能ください。

本記事で【ケシスコンボ】に興味を持ってくださった方は,冒頭でご紹介した記事も合わせてお読みください。一部有料ではありますが,より【ケシスコンボ】の理解が深まるような1品に仕上げております。願わくば,【ケシスコンボ】のユーザーが増え,知見の集積とリストが洗練されることを願って。

モダンホライゾン3後のモダン,ぜひとも【ケシスコンボ】で楽しみましょう。

それでは。

モダンホライゾン3後の【ケシスコンボ】について語る,はファンコンテンツ・ポリシーに沿った非公式のファンコンテンツです。ウィザーズ社の認可/許諾は得ていません。題材の一部に、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の財産を含んでいます。©Wizards of the Coast LLC.

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