演舞中の旗のトラブル(旗布が竿に絡む)に関する益体もない話 

お久しぶりです。旗やです。
更新をさぼっているうちに北海道でも長い冬が終わり、桜も散り、きがつけば第31回YOSAKOIソーラン祭りまで一ヶ月。北の短い初夏が近づいてきました。
投稿のさぼり・・・ゲフンゲフン。遅筆のお詫びもかねて久しぶりの更新。
演舞中に大旗に起こるトラブル「旗(布)が竿に絡む」ことについてお話ししたいと思います。ちゃんと統計をとったわけではないのでわかりませんが、演舞中の旗に関するトラブルで(多分)一番多いのは「旗布が竿に絡んでしまう」事じゃないかと思います。これが演舞中に起こると非常に厄介です。
本稿ではこれに関する対処や原因についてお話ししたいと思います。
なお、こちらあくまで私個人の私見です。絶対に正しいわけでも万事に通じるわけでもありません(オッサン、すでに逃げ腰である)

旗布が竿に絡むのは方の振り手にとって非常に怖いことです


基本は「速やかに降ろす」「諦める」

旗が竿に絡んだ時の対応策は原則としては
「速やかに旗を降ろして絡みをとる。その上でタイミングを見計らってあげ直す」もし演舞の進捗によっては「あげることをあきらめる」ことだとおもいます。
ポンジ(化学繊維)のように布地が比較的軽量で表面が滑りやすい旗であれば、絡みの初期やその程度が軽い場合、旗を揚げたまま前後左右に振るなどして絡みが解ける場合も無いわけではありません。
しかし、「トラブル」として認識されるような深刻な状態になると、大概は旗を揚げたままではどうにもならないものです。
そのまま無様に絡んだ旗を上空でジタバタさせるより、速やかに降ろしてしまった方が「今は旗を降ろすタイミングでした。なにかありました?」とすっとぼけることができます(場合による)
もし、演舞のオーラス近くなどで旗が絡んでタイミングや尺的に回復が間に合わない場合は「素直にあきらめる」というのも一つの手段です。
せっかくの盛り上がっているのに、、布が絡んで棒状になったままの旗を無理にあげて振り続けるというのはなんとも無様でしまらないですし、風を失った旗布というのはそれだけで重たくなるので、そんな「布製の棍棒」を無理に振り回すのは安全上もこのましくありません。

こうした状態でクライマックスにあげるのはなるべくなら避けたいです

旗布が絡む原因

旗布が竿に絡む原因としては大きく以下のことが考えられます。

①「基本の動きとなる8の字の描き方がおかしい」
②「軌道が一方通行(一筆書き)ではない」
③「旗の長辺が長く、結果として旗先と旗尻が接近やすい」

ひとつづつお話します

①「基本の動きとなる8の字の描き方がおかしい」

旗は原則「右旋回の8の字」(これを「内回し」と呼びます)を描くことを意識すると理に叶った動きになりやすいです。
「内回し」は、旗先の後に旗布がついていくため、旗尻との距離がひらいて旗布が竿に絡みにくくなります。
言葉や図にするのが難しいため、内回しの軌道については次の動画をご覧ください。

この動画では旗の軌道は右から左へ流れています。
途中に異なる動きもはみられますが、それは何らかの必要性があって行われており、基本の軌道が「内回し」で組み立てられていることがわかります。この動きが逆(左旋回・外回しとよびます)になると、同じ8の字でも旗布が竿に巻きついたり絡みやすくなります(意図してやっている、何らかの対策があるなら話はまた別です)
そして演舞中、旗士は際限なく旗を振り回し方向変換を繰り返します。そうすると、最初は「内回し」ではじめたはずの旗の軌道が気がついたら「外回し」になっていた・・・なんてことは往々にしてあるのです(経験者談・笑)
したがって旗を振る時は自身の旗の軌道が今どうなっているのか注意を払うことが大切です(おまいう)

②「軌道が一方通行(一筆書き)ではない」

初心者、旗に不慣れな人にありがちなのですが、力強さ・激しさをアピールしたいがために旗を無闇に激しく振り回したり、あるいは小さい軌道で急旋回(あるいは急制動)するなどの挙動をすることがあります。
そのような挙動は一気に旗先と旗尻が接近(衝突)を招き、当たり前の話ですが旗布が竿に絡みやすくなります。また、絡み方も複雑で大抵は降ろさないと処置ができない状態になってしまいます。
したがって前述の「内回し」を基本に旗の軌道はなるべく大きくゆるやかに、一筆書きで組み立てていれば旗は絡みずらくなります。
とはいえ、作品の曲調や演出の関係で急旋回や急制動の必要に迫られる場合もありますし、小型軽量の大旗をブンブン振り回すタイプの旗の演舞では激しい動きによる旗の「魅せ方」というのもあるでしょうから一概にはいえません(実際、小型軽量の大旗を振り回す旗士さんはその辺の方の挙動や機動を十分に計算してパフォーマンスをしているはずです)
ですので時と場合にはよりますが、基本「旗の軌道の原則は一筆書きにしる」ということ頭において旗の軌道を組み立てることが大事だと思います。

③「旗自体の長辺が長く、旗先と旗尻が接近やすい」

これは旗の構造的な特性といえるかもしれません。
長辺の長い(たとえば横6m超)の旗は振り回し方や軌道によっては先に旋回を終えた竿先が旗尻と接触する(蛇の頭が自分の尾に食いつくような)状態になり絡みが発生する危険があります。
個人的に主観ですが、ポンジ(化学繊維)の旗は軽量で反応が良い分、竿先の旋回速度が上がり、旗尻が回り切らないうちに竿先が旗尻に接触して絡みが発生しやすくなるように思います。
特にYOSAKOIソーランでは使用される旗の素材はポンジが圧倒的に多く、また曲調が激しいため、旗の動きも早くなりがちで、長辺が長い旗は竿先と旗尻の接触による絡みが発生しやすくなります。

「偶然に」「突然に」旗が絡むことは少ない

これまで述べてきたように「旗布が竿に絡む」にはいくつかの原因があり、決して「偶然に」「突然に」旗が絡むということは少ないように思います。
旗が絡むときというのは、往々にして振り手が理にかなわない動きをしたり、旗の構造や挙動の特性を考慮にいれていなかったりする、ある意味において「人為的な事故」であるケースの方が多いのではないでしょうか?
また、旗は素材によって性質や挙動の特性(絡みやすさ)は少しづつかわります。ですので旗をつくる時点でチームさんが素材の特性や大きさ、その長所や弱点等なども頭の隅に置いておくことも必要かもしれません(見た目の派手さや舞台映えだけに目が行っていたり、演出を仕切る人間の思い付きと気まぐれで旗を作ると実際の振り手が苦労することもあります)
また、旗を預かる方々も自分の処の旗の動きにどんな特性があるのか、どうやったときに旗が絡むのか等を頭に入れておくとよいとおもいます。

まあ、今回はこんなところで。

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