橋本聖子五輪担当相の答えが支離滅裂で驚く

       

支離滅裂──。

橋本聖子五輪担当相の言葉を何度読み返しても意味がわからなかった。

1月19日、橋本五輪相が記者会見を行なった。その内容を『デイリー』が記事にしていたのだが、私には橋本大臣の発言の意味が理解できなかった。

『デイリー』の元記事は次のリンクにある。私は記事のタイトルが苦労の末につけられたものだと予想している。

●デイリー(1/19)
橋本聖子五輪相が見解 「コロナに打ち勝った証」は「やり遂げること」
https://www.daily.co.jp/general/2021/01/19/0014016359.shtml

『デイリー』の記事を読むと、橋本大臣のコメントはなんとか意味が通っていそうな雰囲気でまとめられている。それでも、よく読むと日本語として意味が通じない。記者の質問への回答になっていない。本当は記事になっていない言葉があるはずだ。そう私に確信させるほど、橋本大臣の言葉が意味不明な記事だった。

このまま放っておくのは気持ちが悪い。そこで私はこの記者会見の原典に当たることにした。

橋本大臣の記者会見動画は『政府インターネットテレビ』で公開されている。そこで、この記事のもとになった質疑応答を動画の中で探してみた。

●政府インターネットテレビ「橋本大臣記者会見(令和3年1月19日)」
https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg22015.html

問題の質疑は動画の3:55から始まっている。記者の質問はシンプルで「『人類が新型コロナに打ち勝った証としての大会』とは、どのようなイメージか」である。

この「人類が新型コロナに打ち勝った証としての大会」という表現は、前日1月18日に行われた菅義偉首相の施政方針演説でも使われていた。具体的にはどういうことかと聞くのは記者として当然だ。

私はこの動画を実際に見て、改めて驚いた。橋本大臣の説明は『デイリー』の記事よりも意味不明かつ支離滅裂だった。あまりにもびっくりして文字起こしをしたら、答えの中に「。」は2つしかなかった。

せっかくなので私が起こした会見の文字起こしを皆さんにも共有する。

   ***
記者:施政方針演説にもあったんですけれども、「人類が新型コロナに打ち勝った証としての大会」というのはどのような大会をイメージされているのか。たとえば、観客をフルに入れるのか、すべての国から選手を受け入れるのか、そのあたり、大臣のご見解を教えていただけないでしょうか。
(事務方が橋本大臣の前にサッとメモを入れる)
橋本聖子五輪担当相:はい、あのー、私といたしましては、やはり、バッハ会長もおっしゃっておりますけれども、人類がコロナウイルスに打ち勝った証となるべく、大会を目指していくということで、これから、総理も含めてでありますけれども、ま、政府一丸となって、この東京大会の実現に向けて努力をしていくということであります。
あのー、思いは全く変わらずに、この夏の東京大会の開催を目指していくわけでありますけれども、あのー、私の見解といたしましては、やはり、このコロナ禍において、あるいはアフターコロナを見据えていく中で、あのー、一つの東京大会のレガシーとして、あのー、私は、この世界が、あらゆる危機に、あのー、直面している、自然災害であったり、あるいは、感染症という、この、大きな問題もあるわけですけれども、そういった世界が直面している課題というものを、あの、この、東京大会を通じてしっかりと課題解決、先進国という立場で、世界のトップランナーとなるべく、この成熟した国家として、やるべき、この東京大会をしっかりとやり遂げていくということが、あの、重要であると私は思っておりまして、あの、この困難を乗り越えていくことができる日本だからこそ、世界が一つになって、あらゆる、感染症をはじめとする、世界が直面する大きな課題に、解決に向かって、一丸となってやっていくべき時が、今年なんだろうというふうに、私は考えています。
   ***

私は正直言って、この橋本大臣の答弁を記事にまとめられる自信がない。いや、勇気がない。『デイリー』はよく記事にまとめたと思う。

そもそも橋本大臣は日本語で相手に伝える気持ちがあるのか。それくらい記者の質問に答えていない不誠実な答えだと私は思う。

大臣の会見要旨は、後日、内閣府のホームページに掲載される予定だ。その時には、どれほど読みやすく編集されているのだろうか。

みなさんも注目してほしい。

以上

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次の取材につなげたいと思います。よろしくお願いいたします。