いつだって殺されるのはこちら

また、政治家が戦争をするといいだした。いつもおもうことがある。戦争をして殺されるのはいつもこちらだということだ。
戦争をしたら、わたしの弟たちは戦地に送られるだろう。わたしの好きな彼も戦地に送られるだろう。わたしのなかよしのおとこのこたちも戦地に送られるだろう。送られてしぬだろう。いつも犠牲になるのはこちらだ。戦争を主導する政治家たちはいちばん安全なところにいるだろう。いちばん安全な地下シェルターで、膝をくみかえながら、だれがしんだなんて想像しないだろう。しんだ人数だけ数えるだろう。日本の領土も、いとも簡単に燃やされるだろう。わたしたちは逃げ惑うだろう。大切なものを泣く泣く置いたまま、全てを失うだろう。でも、そんななかでも、あいつらはなにも失わないだろう。

こないだ、「“玉砕”の島を生きて〜テニアン島 日本人移民の記録〜」をみた。訳あって、制作された太田直子さんと知り合いだったので、そういう経緯で録画をしていて、8月さいごの日曜日の午後にみた。https://www.nhk.jp/p/etv21c/ts/M2ZWLQ6RQP/episode/te/6MRVJZLRQP/

わたしはずっと、おじいちゃんとおばあちゃんから戦争は絶対にダメだときいて育ってきた。ひとがひとを殺し合う、どんな理由であれひとを殺してもならないし殺されてもならない。憲法でも、戦争をしないことを明記している。なのに、なぜかこの国には軍隊がある。政治家はふつうに戦争をしたいという。77年前、みんなしんだ。みんなころされた。それをもう忘れてしまったのか。その映像をみて、こんな事実があってもなお、戦争をするのかとおもった。こんなことがほんとうにあったのかと、絶望した。むごかった。こんなことは二度とあってはならないとつよくおもう。でも危惧してる。みんなが忘れちゃうんじゃないかって危惧してる。戦争を経験したひとたちがいなくなり、生の声がきけなくなりつつある。過去のものとして、無かったことにされてしまうんじゃないかって危惧してる。当事者の語りをきくというのは、全くかんたんなことじゃない。太田さんというひとをわたしは少し知っているから、あのような語りがきけたのではないかともおもった。でも、映像を媒介して、わたしもその声をきいた。戦争は絶対にしてはいけないと、戦争はひとの心身を傷つけつづけるものであると、改めて知った。みんなにみてほしい。過去の話じゃない。過去に完結したことじゃない。いまも続いていることだ。いまからも起こりうることだ。わたしたち戦争を経験していない世代も、まなぶ必要がある。知る必要がある。知って戦争をしないと声にする必要があるのではないかとおもう。絶対に戦争はダメだ。殺すことも殺されることも容認されてはならない。絶対に戦争はダメだ。

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