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二度寝

久しく会っていなかった友人と何夜も遊び明かした私は窓から差し込む昼下がりの日差しに起こされた。
どうも私は晴れ晴れとした夏の空に対し、苦手意識があるように思う。
というのも、どのような形であれ、夏の青空を臨むと、私は得を言われぬ焦燥を感じるのである。

せっかくの晴れがもったいない、というのは決まった文言らしく、一世代前の世間の母親はそういって子どもを外に追いやったらしい。
ただ、そんな言葉は今更になって私に強く突き刺さる。
これは室内で怠惰に過ごし、晴天を生殺しにすることに罪悪感を覚える、ということであると思う。
もしくはただ、少年期の夏休みの終わりが思い出されただけかもしれない。
だからむしろ雨が降ってくれた方が免罪符になってありがたく感じる。
雨が降ると安心するという、一件矛盾したような心地もきっとこんな理屈なのだろうと思う。
 
そのうち私も胸を張って、夏の空を臨むことができるようになるだろうか。
そんなことを想いながら、まぁ、まだ夏休みで明日は休みだからよいかとか、明日から頑張ろうとか遺言を残して今日も私は二度寝を楽しむこととした。

#夏の1コマ


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