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「透析なら死んだ方がいい」と言っていた父、先週の息子との会話

同世代と話をする時、30代の時と明らかに変わったことがある。

親の健康問題。

40代は明らかに、深く、そして確実に死に近い話題に差し掛かる。
「末期」「覚えてない」「施設」「手術はもうできない」

驚くというよりはあるある的な感じに、人は順応する。

橋本家も例外ではない。

脳梗塞(初期で後遺症0)、その入院中の検査で癌が発覚、その手術に向けた検査で5センチ強の大動脈瘤が見つかり開腹手術。

この5年くらいの父の実話。初犯でひかかってから余罪が止まらず。

70代終わりで腹を切った後、かなり体力的にも厳しそうだったが人間どっからでも復活可能なことも証明、すごい。

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不可避なこと


その父には、じわじわと迫る別の健康問題があった。腎臓だ。

腎臓は血液をろ過するところで、基本的に一度機能が低下すると戻ることはない。低下すると体に酸素を供給しづらくなるので疲れやすくなるし、日常生活がしんどくなっていく。

対抗策は病院の指導に基づきタンパク質を極力抑えるなどの食生活で機能低下に抗うのが基本。

橋本家は個人の裁量を尊重する文化であり、食事は本人に任せた。本人が日々喜びのない食事と感じるのであれば強制はできない。

栄養管理士さんに知られたら怒られること間違いなしな食事もしながら、何故か小康状態が続いていた。


ただ、一気に悪化はしないが良くなるわけではない。

医者も「このままいくといずれ透析が必要ですね」と挨拶のように言ってくる。


「人工透析するぐらいなら死んだ方がマシだ」

以前父はずっとこう言っていた。

僕の正直な気持ちは「同感」。頭では否定しないけど本音は死んだ方がマシと体の一部が思ってる。


「じゃあそうなったら死ぬかー」

って言えていたらまたこの記事も違う展開があるのだけど、そこまでドラマみたいじゃない&一応息子。
でも個人を尊重する橋本家の文化にも反する。


「そうなる前にぽっくり死ねるといいのにね」なんてことは冗談混じりで父と話したりもした。


ただ、父の腎臓の機能は昨年末あたりから少しづつ低下、真剣に検討する必要が迫ってきているのは明らかだった。


親父、83で考え改める

僕は親父を「いわおちゃん」と呼んでいる。小さな子供の頃からだ。理由は不明、多分親戚が呼んでいるのをみて響きが良かった、くらいの理由。
ちなみに亡き母は、やすこちゃん。


いわおちゃんはこの状況で、僕が思っている以上に彼の不都合な真実に向き合っていた。


以前は人工透析という未体験の存在を、「週3日拘束されて自由を奪う延命機能」と捉えていた。が、彼は考えを改め一度フラットに人工透析の実態や可能性みたいなものに目を向けて知り合いに情報収集もしていた。

いわおちゃんは僕の仕事、コーチングについてはあまり理解していない。

ただ息子をプロのコーチにした(?)だけのことはある。

もしやってみたらどんな可能性があるのか?
という王道とも言える未来志向な拡大質問を自分に聞いてみたりしていた。


正直見直した。

そこまで期待もしてなかった。でも人はいつまでも自分で決めていくことをするんだなと。何にも諦めてない。

そしていわおちゃんは人工透析することを決めた。家族や医者のススメではなく自分の人生を諦めなかった結果、自ら決めた。

そこからは透析用に血管の手術をし、様々な準備を経て、7月から週3回の透析が始まった。


透析してわかったこと


世田谷で一人暮らしの父にとって、週3回、早朝からの透析昼ぐらいには終わる、これは生活のリズムを作っている。

透析の日は火木土のゴミの日にも完全に対応、一生捨て忘れ無し。

何より人工透析のよって血液から酸素がより取り込めるようになるので、歩く気力、そして覇気が戻った。歩くと筋力も戻る、だから歩く。


80過ぎても人の活力は戻る。Quality of Life、これもいわおちゃんを見て学んだ。


先週、シリコンバレーで買ったGoogle Tシャツのお土産を渡したついでに夕飯を食べた。

息子「透析、慣れた?」

いわおちゃん「おー、慣れた、慣れた」

息子「体調良さそうに見えるよ」

いわおちゃん「そっか?ま、体調もあるけど、定期的に社会との接点があるのは大きいよ。毎日家でテレビ見てるのも限界があるしな」

いわおちゃん「おれ、もう少し体重落ちて元気になったら、月水だけ働こうと思ってんだよ。年齢少し誤魔化したらなんとかなるだろw 」

83歳がどのくらいサバを読んだらいいのか、シニア採用市場への知見がないけれど、彼の生きる活力は確実に響き始めている。

こういう時、息子は最低限のサポートで基本本人に頑張ってもらおう。

心では我武者羅応援団並みに応援してます、いわおちゃん。

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