かぐや姫@バリラジ編

むかし、あるところに、きのちゃんとよばれるおじいさんが住んでいました。

ある日のこと。
きのちゃんは山で、ひかる竹をみつけました。
ふしぎに思って切ってみると、
そのなかには、ちいさくてかわいい女の子がはいっていました。
 
きのちゃんは、
「きっとこの子は、わしが育てんにゃいけんのんじゃろう」
と、家へつれてかえりました。
 

きのちゃんは、その女の子をあんこ姫と名づけ、
大切にそだてることに決めました。
 
あんこ姫は成長し、とてもうつくしいむすめになり、
たくさんの男のひとがあんこ姫と結婚するためやしきへ向かいます。
 
しかし、あんこ姫は、だれとも結婚する気はなかったのです。
 
それでもあきらめない男たちが五人いました。
 
あんこ姫はしかたなく、五人にいいました。
 
「わたしが頼んだものを見つけてくれたら、その人の妻になりましょう」
 
ひとりめのやーまんは、アメリカ合衆国フロリダのオレンジを持ってくるよう頼まれました
 
しかし、コロナ禍では外国に行けないので、やーまんは旅にでたふりをして、ちかくの畑で採った柚子を持っていきました。
 
しかし、あんこ姫は言いました。

「フロリダのオレンジは、英語を話すのです。これは違うものです」
 
うそをみやぶられたやーまんは、すごすごと帰っていきました。
 
ふたりめのストロングは、鹿児島にあるという
かるかんをたのまれました。
 
しかし、ストロングは、とおい鹿児島へ行ったように見せかけて、
職人(しょくにん)ににせものを作らせ、
 そのうそがばれたので、帰っていきました。
 
さんにんめのサクラジマシュオンは、遠い草原にあるという
スライムをたのまれました。
 
サクラジマシュオンはたいへんおかねもちなので、
インターネット販売でスライムを手に入れました。
 しかしこのスライムもニセモノだったので、
それがバレてしまい、
 サクラジマシュオンは、とぼとぼと帰っていきました。
 
よにんめの、だうんは、プロのジャズ歌手の喉にあるという
上手に歌える筋肉をたのまれました。
 
だうんは自分のちからでとりに行こうとふねにのりましたが、
あらしがやってきて、船はしずみかけてしまい、
 命からがらみなとへかえっただうんは、
それきりあんこ姫のもとへむかいませんでした。
 
ごにんめのRMPは、富士宮焼きそばが入っている焼きそばパンをたのまれました。
 
しかし、RMPは、富士宮焼きそばを作ろうとして、フライパンを振り回して
間違って頭に当たってしまい、二度と目覚めることはありませんでした。
 
こうして、けっきょく、だれもあんこ姫を妻にすることはできなかったのです。
 
ところがさいごに、あんこ姫のうわさは大金持ちの午前の黄昏にまでとどきました。
午前の黄昏は、
「あんこ姫がうちの息子の嫁になったら、
きのちゃんに一生食べられる分のお米をあげよう」
と、つたえました。
 
しかしあんこ姫は、きのちゃんのそばをはなれたくない、と泣きだしてしまいます。
きのちゃんは、午前の黄昏の申し出をことわりました。
 
そのころから、あんこ姫は月をみあげては涙ぐむようになります。
きのちゃんがわけをきいても答えません。
 
やがて、2021年の5月10日がちかくなり、
やっとくちをひらきました。
 
「実はわたしは、レストユアマインドプラネットというの星から来たのです。
5月10日に、レストユアマインドプラネットからむかえがくることになりました」
 
あんこ姫はさめざめと泣いています。
 
「でも、わたしは、きのちゃんにお別れをするのが、かなしくて……」
 
きのちゃんも、なげきかなしみました。
 
そしてその日がやってきました。
レストユアマインドプラネットからの迎え、それは、
ひかりにつつまれたErika109でした。
Erika109がマイケル・ジャクソンの
アイジャストキャントストップを歌いながらおりてくると、
あんこ姫は、最後に、きのちゃんに向かって、
声をふりしぼって言いました。
 
「オッケー!バリラジ!」

こうして、この日から、平日の夜は毎日、
午後9時にバリエーションラジオ、略してバリラジの
放送が始まったのでした。

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