母の愛と搾りたてりんごジュース

子どもの頃熱を出すと母におねだりするものがあった。母お手製擦りおろし搾りたてりんごジュースだ。おねだりすると母はくすんだ色のおろし金を出して、りんごを丸ごと擦りおろしはじめる。擦りおろせたら、りんごをガーゼに入れガラスコップに搾り入れる。お布団で寝ている私に母は「搾りたてに飲んだ方が美味しいから早く飲みよ」と持ってきてくれる。私は寝たままストローで搾りたてりんごジュースを飲む。一気に熱が下がる（嘘）

最後に母のお手製りんごジュースを飲んだのはいつだったんだろうか？

今回子宮全摘手術を受けた後、病室で母や兄姉とグループLINEをしていた。ふと「お母さんのりんごジュースが飲みたいなあ」と送った。母から「身体が弱ってるから欲しくなるんやな。退院したらりんごジュース作りに行くわ」と返信が来た。

退院して２日後、母は最新式のおろし金とガーゼを持参して我が家にバスで来てくれた。母は大きなりんごを丸ごと最新式のおろし金で力強く擦りおろした。そして擦りおろしたりんごをガーゼで包み大きなガラスコップに絞り入れた。母は「搾りたてが美味しいから早く飲みよ」と私に渡してくれた。世界に一つだけの母の手作りりんごジュースの味はやっぱり最高に美味しかった。