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中国で小牛(niu)電動バイクを買いました

中国、上海にて通勤用に小牛 niuの電動バイクUQi+を買いました。中国では普通に走ってる免許不要なバイクで日本だと原付一種扱いのものです。今回、バイクを選んだり手続き等を通じて各種法律の枠組みや機種選びのポイントや応用などをまとめます。機種選びには各種中国の動画サイトでスペックを比べたりした他、実際にレンタル店も利用しました。使ってみた感想に加えて法律や規制関連についてはお店の人のコメントなど、改造や違反は「実際にどの程度順守されているか」についてもまとめます。電池の種類や性能についても調べました。使ってみた感想等今後も使いながらも適宜アップデートしていくつもりです。Youtubeの動画もアップしておきますので運転の様子などはそちらをご覧ください。

動機

2022年4,5月私の住む上海では市全体がロックダウンとなり市民全員が家で過ごすことになりました。この間、病院に行く機会があったものの病院がとても遠く、レンタルサイクルで1時間くらいかかったことから緊急時の移動手段確保としてバイク購入を考えました。もともと通勤はシェアサイクルでしたが朝は争奪戦になるし雨が降った時はバイク+レインコートの方が快適に通勤できるのでそれも電動バイク購入のきっかけとなりました。個人的には昔2003年のニューヨークの大停電や2011年の東日本大震災などを経験しており、こういった非常事態だと自動車よりバイクや自転車の方が移動しやすく、非常用に使おうとの考えも一部あります。ただその時は長距離運転ができることが前提ですが。

中国のバイク事情

中国の電動バイクの多くは原動機付き自転車扱い(非机动车)で日本の原付と違い免許不要。日本の原付二種や自動二輪に相当する普通のバイク(机动车)は免許必須でスピードが出せる他、自動車と同じレーンを走ったり、大人二人乗りなどができます。実際には、免許不要タイプの方が市内で圧倒的に多く見かけます。普段通勤をしていて見ている感覚として多い順番としては電動バイク>シェアサイクル>個人所有の自転車といった具合でしょうか。中国の道路は自動車用と自転車用とわかれており電動バイクは自転車用のレーンを走ります。あくまでも自転車扱いなので最大スピード等各種制限があります。2021-2023年は新国際標準という規制の移行期でこの基準にあうバイクでないとナンバープレートが入手できないなどの条件があります。

短期滞在ならレンタルがお勧め

上海市内であれば月極のレンタル店が利用可能。私の場合はMute Garageというお店を利用。英語も通じ、車種にもよるが1か月280元前後より。私はNiuのUQi (略称UI)を借りたが1月350元。
Mute Garage

Mute Garage店内

単純にバイクに乗ってみたいのであれば地方都市に旅行のついででレンタルバイクに乗るという手もあります。大都市では見かけませんが私は嘉興、石家荘、鄭州、長沙、南昌などで利用可能なのをみたことがあります。レンタルバイクと同じ要領で、外国人も利用可能、私も何回か利用しました。美团,哈罗のレンタルバイクを普段利用しているのであれば新たなアプリ等は不要。(詳細は割愛)

長沙でのシェア電動バイク、借りる容量はシェアサイクルとほぼ同じ。


電動バイクの法規制


2021年に新規制が導入され、原付自転車はペダルとチェーンがあってちゃんと漕げるようになっていること、制限速度25km/h、重量55kg以下といった条件が加わり、条件にみたない車両はナンバー取得ができません。2021-2023年は移行期間だそうで、それ以降は新基準を満たさないバイクは乗れないと言うことになるかもですね。実際にあの重いペダルを漕いでいる人は見たことありませんが。多くの電動バイクは上記から建前上は自転車の延長なので免許は不要。持ち主の登録は必須。
二人乗りは違法、12歳以下の子供は合法。但し違法とはいっても二人乗りは罰金30-50元を払えばそれ以上のお咎めなしなので現実には結構街中で乗っている人を見かけます。昨年からヘルメットが義務化されており、街中で走る人はほとんどヘルメットをつけている様子。

小牛について

小牛はファーウェイの元副総裁だった李一男という人が起業した会社で中国の電動バイクメーカーの中ではハイエンドのクラスに相当。同社のウェブサイトを見ましたが既に欧州、米国、韓国などにも販売網があるようですね。またニューヨークで上場もしています。会社の詳細は決算資料もあるでしょうし各種他にもまとめられているのでここでは割愛します。
https://www.niu.com/en/
同メーカーを選んだのは単純に多く売れているかつ高機能だから。パーツやサポートが得られやすいのも大事な利点の一つ。
中国のバイク市場は他にも雅迪、爱玛といったメーカーが大手でハイエンドの機種になると今回の小牛他、九号(Ninebot)もよく見かけます。ninebot社はセグエウィを買収した会社でも有名ですね。
中国バイクブランドランキング: https://www.maigoo.com/maigoo/042zxc_index.html
同社は6位とそこまで高くないものの、都市部ではよく見かけます。これは場所によって本当に違ってて上海で私が住むアパートに停められているバイクでは小牛のバイクをそこらじゅうで見かけるのに対し、フードデリバリーのお兄ちゃんが乗るのは航続距離のためか別のメーカーのものが多く、また田舎にいくと小牛はあまり見かけません。

UQi+(U+)を選んだ理由

人気機種であること。また日本のスクターにはないアプリとの連携やGPSによる盗難防止など高機能を試して見たかったこと、それから拡張性。 Uシリーズはもう一つUQi(UI or Us?)という機種がありこれもよく見かけます。見た目はよく似てますが最大の違いは電池の容量。レンタルで借りたUQiでは最大25Ahで航続距離にして65km程度。もともと電池ケースの大きさに制限があるのです。他方UQi+は別のMシリーズをベースとしており大きな電池を使っています。

類似機種との電池の大きさの違い

あとは足を置く部分にさらに荷物スペースを設けることができるのも魅力。現によく見かけます。
中国国外ではUQi GTの名前で売られているようですね。私が買ったのは動力版7,099元ですがおそらくヨーロッパなどではその2.5倍くらいの価格水準になると思います。バイクの評価の動画についてはYoutubeにて各種動画が出回っているのでそちらを参考にするといいと思います。UQi GT で検索すると色々出てきますね。各バイクのスペック等はその道の専門家が解説した動画の方が頼りになります。

NIU UQi GT Pro review : ハンガリーの人によるバイクの解説(英語)
Virtual Showroom - NIU UQI GT Pro Presentationイギリスのバイク販売員による解説(英語)

購入手続

レンタルバイクをしばらく試してみて使い勝手を把握する一方、タオバオ等で各種バイクを研究します。私は結局近所に乗っている人が多いから、の理由で小牛を選びました。その後、小牛のバイク店を訪れスペック等を確認。アプリの充実度やモーターや電池、省エネ技術とかもいろいろと興味を引きました。
外国人がバイクを買うにはパスポートと居住証を持って最寄りの交通警察に行きます。バイク店に必要な証明書を預ければ彼らがやってくれますが百元ちょっとの料金がかかります。購入当初は(漕げるようになってないとプレートもらえないので)ペダルやチェーンがついていましたがプレート取得が終わるとお店の人がバイクを改造してくれます。というかこれが標準装備なのでしょう。ペダルとチェーンを外して足を乗せるステップをつけたり、二人乗り用の座席と荷物入れを取り付けたりしました。

外国人もオンラインで居住証の申請ができる
ナンバープレート受け取れました
交通警察
手続きはアプリでもできるはずだが外国人はうまくいかず
この台の上で重さをはかる
ナンバープレート取得後、お店の人がガッツリ改造してくれる

後で直線のところでスピードを出して見ましたが購入したU+は41km/h位までスピードが出ました。レンタルしたUIの方は最大37km/h位。

駐輪場は?充電はどうするの?

自動車と違って電動バイクは車庫の契約等不要、勝手にアパート地下の自転車・バイク置き場を使えます。バイク置き場には充電ステーションがあり、お金を払えば充電できるしくみ。4hで1元。
充電時に火を吹いたりしないかも電動バイクの多くの懸念点かと思います。中国のアパートではそれゆえか電動バイクのエレベータ利用は禁止。充電の際は上記ステーションを使うかもしくは電池を家まで持ってきてそこで充電するかどちらかです。私のバイクはそこそこ航続距離がある上、職場までは5キロ程度なので充電は一週間に1回くらいで大丈夫そうです。

リチウム電池について

バイク用の電池は鉛を使用したものとリチウムイオン電池と主に二種類あるそうです。リチウム電池を使用したものは普及しつつあるもののまだ半分にも満たないそう。多くはコストの関連から安い鉛蓄電池を使用。リチウム電池のメリットは軽量化。先に述べた通り新規制で55キロ以下の重量にしないと行けない他、普段の持ち運びも関係します。
デメリットは高価なこと。確かに同じバイクでもバッテリーの要領によって全然値段がちがっており、私が買ったU+シリーズでも都市版(20Ah)で5999元、長距離版(42Ah)で9599元と電池の違いだけで1.5倍くらいの値段の開きがあります。
一方、サードパーティからのバッテリーもあるようで68Ah 150kmなんてのもあります。中国版Tik Tokをみると大きなバッテリーで航続距離を実際に走って試している人が何人もいますが大体メーカーが言う距離の8掛くらいで見た方がいいと思います。スピードをガッツリ出すと走行距離が縮むそうです。
非常用に買うのもいいのですが普段使わない電池に日本円で10万円出すのは勿体無い気もします。

リチウムイオン電池。パナソニックのものが入ってるらしい

リチウム電池は正極剤の種類によりさらにリン酸鉄リチウム電池,マンガン酸リチウム電池,三元リチウム電池といった系統に分かれており、バイクでよく使われるのはマンガン酸リチウム電池。コスパ、安定・安全性、低音性能、エネルギー密度(=航続距離)などが各電池の評価ポイントかと思います。他のバイクメーカーではグラフェン・リチウム・イオン電池(石墨烯锂离子电池)というのを売りにしているメーカーもあるみたいですが評価はよくわかりません。

改造やパーツ

お店にいくと色々と改造したりとか電池をサードパーティーのものにしたりとか色々やってます。携帯ホルダーや各種細々したパーツは揃え、多少自分なりにパーツを足したりしましたがマザーボードをいじってスピードが出るようにしたりとかYoutubeで公開されてます。

長距離ツーリング・雨天時の対応

長距離のツーリングとなるとそもそもスピードが出ないのでバイクとは事情が違うでしょうが、旅行できるくらいのいい季節にやったらやってみたいところです。充電アダプターを持っていけばホテルで充電するなりして遠出できるかと思います。途中同じ道を帰るのが億劫であれば有料でバイクを送ってくれるサービスもあるみたいです。
雨天時はスクター用のレインコートを着て運転します。大きなレインコートなので足もほとんど濡れずにすみます。目的地についたらレインコートをバイクにかけるような形にして停めておけばそこまで椅子が濡れてこまることはありません。

アプリ

小牛のアプリが用意されておりスピードメーターや走行ルートの確認、駐車してあるときに振動を感じた際の警報、電源のOn/Offなどが携帯でできます。

動画

バイクに乗っている時の映像をYoutube等に載せておきますのでイメージを掴むためにも参考にしてください。適宜バイク関連で動画を追加した際などはこちらにリンクを加えてゆきます。

終わりに

本原稿は適宜アップデートしてゆくつもりです。いいねが100個くらい集まったら長距離ツーリングをしてレポートしようと思います。また各種質問受けますし「このメーカーのバイク、乗り心地はどう?」とのリクエストも検討しますのでご興味いただける方はTwitter等でご連絡ください。
またYoutubeの方もいいね等お待ちしております。


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