毎年、夏の暑さを忘れている。
東海道線昼小田原行き
つり革につかまっている。
弱冷房車じゃないことを確かめて乗ったから、とても涼しい。
混み合う駅で発揮する電車のパキッとした冷房が好きだ。
休日の東海道線、東京駅から乗ってきたであろう旅行客とその大荷物で車内が大変混み合っているのだが、たまに乗る電車はなんでも楽しい。
ふと前に座った年配のおじいさんの手元を見下ろす。
「盛岡⇆東京」と書かれた新幹線のチケット、それにピンクの大きな付箋が貼ってあるのを見た。
その付箋を大事そうに貼ったり剥がしたりしている。
付箋には、
「
”8:50盛岡 → 11:04東京”
“12:24東京 → 12:52横浜”
・
・ 」
掠れた鉛筆で、事細かに駅名と時刻が書いてあった。
好奇心が勝って、文字をジロジロと盗み見ると、
そのおじいさんは、今朝、盛岡から東京に来て、
次の乗り換え地の横浜へ向かう途中だということがわかった。
一駅一駅の間が長い東海道線内で、おじいさんは、
付箋を取り出し、確認しては、しまって、また確認、
それをずっと繰り返していた。
そんな姿を見てるうちに、
旅がうまく行くといいなと、自然と思っていた。
順調に乗り換えられているだろうか、
目的地では何をするのだろうか、
だれに会いに行くのだろうか、
応援したくなるというのはこういうことなのだろうと思った。
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