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気持ちよく寝ていたら、 「かわいそう」と言われた。

友人の家に泊めてもらった。

そこは、
品川地区にそびえ立ついわゆる、タワーマンションというもので、部屋の玄関にたどり着くまでに3〜4回鍵を開けなければいけない厳重なセキュリティ。

明日の寝床すら分からない浮浪者の自分が辿り着いてしまっていいのか、と不安になりながらも、防音がしっかりした部屋で友だちと騒いだ。

しっかり騒いだので、
しっかり疲れてしまい、
しっかり寝ようと、
床に横になり、そのまま寝た。

「ああ今日も寝るところがある。」

ホームレスを始めてから、
寝れるということが一番の幸せだったりする。

ましてや、今夜は高層マンション。
しかも、クーラーが肌寒いくらいに効いている。

この上ない幸せ。

日中の日差しの名残りで、床が少し熱を帯びていて床暖房みたい。床に張り付いて寝ると肌寒いクーラーも心地よい。

極め付けは、粗めのパイル地のカーペット。

モテる男の部屋のマストアイテムは、
少し掃除しにくそうではあるが、肌触りは格別。

壁あり。屋根あり。クーラーあり。
そして、粗めパイル地カーペットあり。
間違いなく最高に幸せだった。

だけど、

「かわいそう」と言われた。

友人の女友達が遅れてやってきて、
自分が寝ているリビングに入り、
僕を見つけるや否や、
心から漏れ出てしまったような声で

「かわいそう、、」

と確かに言った。

毛布も何も掛けずに、床で寝ている薄汚い男を見て、「かわいそう」と思ったらしい。


かわいそうと、言いながら、僕に毛布を掛けてくれた。

うれしかったがさみしかった。

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