だれもいない深夜の赤信号を渡る
誰もいない深夜の赤信号。
自分の呼吸だけが響くほどに、人の気配がない。
この、試されている感じがたまらなく好きだ。
誰も見ていないのに、
車も人も通らないのに、
立ち止まって赤信号を待ってみる。
おれは待っているんだぞ。
と、誰かに見せつけるように赤を見つめながらピタッと止まる。
おれは待つ余裕があるんだぞ
と、自分に言い聞かせながらスマホを触る。
誰も見ていないのに、誰かを意識しているオレに気づく。
たちまち悔しくなって、一歩踏み出す。
そんなオレもかわいいなと、やっぱり待ってみる。
「深夜の赤信号を守るなんて、君は余裕があるね。」
やっぱり自分が一番かわいい。
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