生きづらさを感じているHSPの方へ―その生きづらさ、HSPではなく自己愛性パーソナリティ障害から来る物かもしれません

まずHSPについて簡単に説明すると、「Highly Sensitive Person」の頭文字を取ったもので、「非常に感受性が強く敏感な気質をもった人」として定義されています。簡単に言えば「繊細な人」といったところでしょうか。HSPの人の性格の例として良く挙げられる特徴として、「傷つきやすい」ということが挙げられます。

例えば他人の何気ない一言で深く傷ついたり、逆に自分が何気なく言ったりしたことで他人を傷つけてしまわなかったかを深く心配したり...更にその記憶がいつまでも消えず、ふとした時にフラッシュバックして苦しんだり。そういった傷つきやすい性格であることに悩んでネット上で検索して、HSPという存在を知った人も多いのではないのでしょうか。

しかし、です。

こう思うのは自分がそれに当てはまるからなのですが、HSPだと思っている方の中には、実は本当はHSPではなく自己愛性パーソナリティ障害に当てはまっていて、それで生きづらさを抱えている人もいるのではないか...と思ってしまいます。

自己愛性パーソナリティ障害というと、一般的なイメージとしては「自分大好き、我が身が一番可愛い」「自分のためなら他人がどうなろうと構わない」みたいなどうしようもないクズみたいな非常に悪いイメージが強いと思います。しかし、自己愛性パーソナリティ障害にはHSPと同じ「傷つきやすい」という特徴があるのです。

よくネット上で「傷つきやすい人の特徴」について検索すると、「優しい」だとか「感受性が豊か」など、自分が傷つきやすい分他人には優しくできる...みたいなことが書かれていますが、そういう傾向がある、というだけで自分は傷つきやすいけど他人にも自分が傷つくようなことを平気で言える人は普通にいると思います。

ではHSPを自称している自己愛性パーソナリティ障害の人を見抜く方法についてですが、自己愛性パーソナリティ障害の主な特徴として「自分は特別な人間であり、特別な扱いを受けるべきである」というものがあります。

簡単な例で言えば、HSPを自称している人が怒られたときに「そこまで言うことないんじゃないですか!?」「もっと優しくしてくれても良いじゃないですか!」というような、「自分は傷つきやすいんだからもっとそれに見合った扱いをして欲しい」という態度を見せる人は、HSPよりは自己愛性パーソナリティ障害の可能性が高い人だと思われます。

分かりやすく言えば、「私は傷つきやすい繊細な性格で生きづらいけど、自分なりに努力して生きていこう」と自分の力で頑張っていこうとしている人がHSPの人、「私は傷つきやすい繊細な性格で生きづらいから、周りの人達が自分に配慮して私が生きやすいようにしてください」というような他人への配慮を求めるような人が自己愛性パーソナリティ障害の人、という認識で強ち間違いないと思います。

まだ正式に診断は受けていないものの、自己愛性パーソナリティ障害の気があると考えていると思っている私の意見では(ちなみに年末年始が明けたら精神科に一度行ってみようと思っています)、自己愛性パーソナリティ障害の人も何か相手に悪いことをしたら、悪いことをしたな、という後悔の念は沸く物だと思っています。(ちなみにそういった後悔や罪悪感が沸かない人は自己愛性よりも反社会性パーソナリティ障害の方が近いと思います)

ただそれが、「相手を傷つけてしまった、相手は苦しんでいないだろうか」というような相手を思いやるような気持ちより、「相手を傷つけてしまったことで相手は自分のことをどう思っただろうか、このことが広まって皆が自分を白い目で見るようになったらどうしよう、自分の評価が下がったらどうしよう」というような自分の価値が下がることに対しての恐怖から沸いているイメージがあって、そのあたりが自己愛性パーソナリティ障害っぽいな、と自分では思っています...

自分が他人に傷つけられた!と思ったときに、我慢できずに不平不満を相手にぶちまけてしまうようなこともあるのですが、大抵の場合は我慢します。それは勿論場の空気を壊したくないというのもあるのですが、それ以上に「自分が周りから奇異の目で見られて心象を悪くしたくない」という思いがあるからだと思います...

勿論他人が我慢しているときは直接本人に聞いてみないとそのあたりは分からないですが、自分でこういったときに我慢できる人でも、他人への配慮と言うよりは自分の印象を守りたいから我慢している...という人はHSPだけでなく、自己愛性パーソナリティ障害の線も疑ってみてもいいかもしれません。

では、そんな自己愛性パーソナリティ障害かもしれないHSPの人達が生きづらさを解消するためにはどうすればいいのか?について説明します。

最初に言うと、今の自分のままでもちょっと環境を変えるだけで生きづらさを解消できそうだ、という場合なら自分の努力だけでも生きづらさの解消は可能かもしれません。

HSPはそもそも病気と言うよりは、心理学的に言われているような気質のようなものなので、根本的な治療というよりは「この気質に沿ったこういう生き方をしていこう」「こういう気質なのでこういう環境を選んでこういう人と付き合っていこう」というような、自分を変えずに自分の周りの環境を変えていく、というような解決法がネット上ではよく見られます。勿論本当にHSPなだけで精神障害を抱えていない人であれば、それでも生きづらさを解消することはできるかもしれません。

ですがHSPと違い、自己愛性パーソナリティ障害は心療内科・精神科で取り扱われているれっきとした病気です。言うなれば、脳神経外科で言うところの脳卒中、耳鼻科で言うところの中耳炎というように、病院で治療して貰うような病気と同じ枠に入るような病気であり、命に関わるような外科手術と同様に、大学受験から医学部での勉強を経て医師国家試験、そして臨床研修医と厳しい勉強を重ねてきた医師の元で治療するような病気であるということです。

自己愛性パーソナリティ障害はHSPと違い、自分を根本的に変えるようなやり方でないとなかなか生きづらさを払拭できません。この記事を読んで自分は自己愛性パーソナリティ障害かもしれないという自覚を持ち、「今の自分のままではずっと生きづらいままだ。自分の性格を根本的に変えないと生きづらさを解消できそうにない」というように本気で自分を変えたいと思った方は、自力だけで克服しようとせずに、私と同じように精神科・心療内科に一度かかってみることをおすすめします。

自力での克服でも「人と協力し合う経験を増やす」というような方法は取れますが、医者の元でなら、心理療法、薬物療法などより効果的な治療が受けられます。私も精神科にまだ通ったことがないのでこの辺りは詳しく書けないのですが、また精神科に通うなどして進展がありましたら追加の記事を書こうかと思っています。

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