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人生で初めて「歌ってみた」動画を投稿するまで

普段はTwitchでゲーム配信をしているはさんちゃんです。
数日前、人生で初めて憧れの歌ってみた動画を投稿したので投稿にいたるまでの流れを書き留めていくよ。

「歌ってみたを投稿してみたいけど、MIXとか難しそうだしそもそも大声で歌える環境なんて無いし…」って人の参考になればいいなと思う。


歌ってみたを投稿したいけど…

歌ってみたの投稿を「やりたいことリスト」に仕舞い込んで十数年。
社会人になり機材はある程度揃えることはできたものの、そもそも歌える場所がない。

戸建て住みなのである程度騒音問題は回避できているものの、流石にどデカい声で歌ったら家中どころか外のおじさん達にも私のノリノリなアカペラが垂れ流しになってしまう。
しかも隣の家には従姉妹が住んでいる。知らないおじさんにアカペラが聞かれるのは我慢できても、従姉妹の家に垂れ流しになるのは耐えられない。
世の中の歌い手達は一体どうやって収録しているんだ…全員防音室を持っているとでも言うのか…。

もちろん社会人なので簡易防音室の設置も考えた。よく配信者が使用しているYAMAHAの防音室を調べてみる。

なんと0.8畳でお値段77万円。

たっっっっっっ…
まあ社会人なので背伸びすれば出せなくもないが、0.8畳だ。0.8畳。歌ってみたの収録だけなら十分だと思うが、当然配信機材は0.8畳に入るわけがないので別に用意する必要がある。
(そもそも冷房なしの防音室じゃゲーム配信なんて出来るわけがない。)

あーあ。歌の収録もMIXもめんどくさいことぜ~んぶやってくれる所ないかな~。お金なら払うからさ~。

あった。

収録もMIXも全部やってくれる神スタジオ

録音屋アルティメットスタジオ世田谷

歌ってみたの収録&MIXで1曲19800円。
やっっっす………

スタジオに行き、収録・MIXまでやってくれて19800円。
右も左も分からない私がまさに求めていたものだった。
ちなみに私は都内在住なので世田谷スタジオさんにお世話になったが、大阪にも店舗があるらしい。

若干HPに怪しさがあるのか気になったが、SNSでパブサしてみても全然問題なさそうだったので取り敢えず問い合わせメールをしてみることにした。

数日で丁寧なメールの返信があった。
予約希望日の確認と共に、「歌ってみたが初めてでもサポートするので安心してくださいね」的なことが書かれていた。

なんて温かいんだ……。
温かさに感動しつつ、まだ投稿する動画の選曲も済んでいなかったので取り敢えず練習期間も考え1ヶ月程度先に予約することにした。
ちなみにタイミングにもよると思うが、その週に予約しようと思えばできそうな感じではあった。

余談だが、予約していた日の数日前になり1年に1回あるかどうかというレベルの風邪を引いてしまったため、結局そこから3週間程延期することとなった。
あまりに度重なる延期にキャンセル料を払う覚悟でいたが、快く延期していただくどころか温かい言葉までかけていただき感謝してもしきれない。

選曲をする

とにかく何もかも初めてなので、難易度が高すぎずシンプルな曲でいこうと決めていた。
また、できることなら私が配信でアバターとして使用しているシャチ娘(私は「シャチ子」と呼んでいる)に因んだ曲がいいなとも。
説明は省くが私は厄介オタク故Vtuberを名乗っていない絵を被った配信者である。

シャチの曲なんて無い。
なかった。いや、あるのかもしれないが私には見つけることができなかった。

そんなに時間もないので3曲ほど候補を出した後、カラオケで歌ったものを携帯で収録して一番まともに歌えてそうな曲を選ぶことにした。
歌の実力は可もなく不可もなく人並みだと自己評価していたが、この作業は心が折れるほど悲惨だった。

結局歌う曲はKanaria様の「デーモンロード」に決定した。
理由は下記だ。

  1. シンプルで短めの曲

  2. 本家から動画用素材が配布されている

  3. 動画の構成がシンプル

  4. シャチの学名がOrcinus orca(冥界からの悪魔)なので実質デーモン

最後のはこじつけだが。
後々動画としてアップすることを考えると、動画の構成がシンプルなのは初心者にとってはとてもやりやすかった。

曲を決めたらメールで曲名とオフボーカルの音源を添付し、当日までひたすら本家や他の歌ってみたを聞いてはイメージトレーニングをしていた。

収録当日の様子

収録当日はあいにくの雨。
2月の大雨で寒かったが、事前に収録部屋は暑いので薄着で来るように連絡があり、薄着の長袖に冬用の上着を着て向かった。

持ち物

持ち物は下記の通り。

  • ペットボトルの飲み物

  • 歌詞を印刷した紙(2枚)

  • 財布

本当は収録前にカラオケにでも行ってから向かうつもりだったが、全くもってそんな余裕はなかったので、飲みものは道中で温かいのと冷たいのを買って向かった。
後述するが収録は結局1時間程度で終わったため、1度も飲み物を飲むことはなかった。(1本は収録を担当してくださった方に渡した)

歌詞カードについては、自分用と担当さん用とそれぞれ用意するよう指示があった。
ただ歌詞を印刷するだけだと漢字で躓きそうだったので、漢字にはルビを振り自分用には手書きでいくつか歌う時意識することを記載した。

実際のメモ(自分用)

ゲーミングPCを組んだ時にMicrosoft Officeを入れなかったことを全力で後悔した。途方に暮れていたらMacの標準アプリNumbersでルビが振れることを知り大勝利。ありがとうApple。

現地で支払いをするのに財布も忘れずに。
私が行った時は現金とカードでの決済が可能だったが、これから行く人はキャッシュレスにしたい場合、前もって確認すると安心だ。

スタジオの様子

マップ通りに向かうも全然見つけられず、伝えられていた連絡先に電話。
どう考えても近くにいるはずなのに一向にそれらしきものが見つけられない。
「青い建物見えますか?」
「ブランディアなら…」
「その向かいの…」
色の認識の違いにより数分目の前をウロウロした後、なんとか辿り着くことができた。
ADAMS JAPANと屋根に書かれた階段を登り4階にある。

スタジオはワンルームマンションの1室という感じだった。

確かこんな感じだった


部屋には本日の収録曲、デーモンロードが鳴り響いている。
ソファーに座りながら説明を受ける。他愛もない雑談を挟みつつ、いよいよ収録だ。

いざ収録

0.8畳か1畳ほどの防音室に入り渡されたイヤホンをつける。
入口近くにスイッチがあったので何か聞くと、防音室内に貼られているLEDテープの色制御ができるらしい。
「何か色変えますか?」
「じゃあ赤で…(デーモンロードのイメージ色が赤なので)」
どぎつい赤が目が痛すぎて速攻戻してもらった。

部屋にはスタンドに取り付けられたコンデンサーマイクと、少し右奥に音楽室によくある楽譜スタンドがあった。
このスタンドに歌詞を置き曲に合わせて歌っていく。

「じゃあまずは声出しで通しで歌ってみましょう」
そう言われ、メトロノームのような音と共にヘッドホンにオフボーカルの音源が流れる。

あれ?どこから入るんだっけ!?
カラオケのようにモニターに歌詞が表示されたりはしない。更にデーモンロードは同じ音がしばらく続いた後歌の入りがあるため、聞いてるうちにゲシュタルト崩壊を起こしていく。
私は見事に出だしを入りそびれた。

あまりに不慣れで恥ずかしくなっている私に、「大丈夫ですよ。もう1度いきましょう」とヘッドホン越しに声がかかる。
人前で1人でアカペラの歌を聞かせることを考えると急に恥ずかしくなってくる。しかも相手は沢山の歌い手の生歌を聞いてきているのだ。

声を震わせながら歌っている私の声は聞くに耐えなかったと思うが、笑ったりもせず「高音が綺麗ですね」と褒めてくれた。
これが噂に聞く収録褒めちぎりか…!と感動する。お陰で緊張がとけてきた。
どうやらポップガードにはかなり近づいて良いらしい。
アドバイスを受けてTHE FIRST TAKEくらい近づく。

緊張もすっかりとけて、ワンフレーズずつ区切って歌っていく。
特にどこで区切るかは決めていないので、ヘッドホン越しで相談しながら歌いにくいところは細かく区切って収録する。
収録した前フレーズは自分の声がヘッドホン越しに流れてくるので、入りを見失うことはなかった。

大体ワンフレーズ3回ずつ録音していき、収録は大体1時間くらいで終わった。
今回は短い曲で特にコーラスやハモリの収録は行っていないので早く終わった方だと思う。是非次回はコーラスやハモリにも挑戦してみたいが、自分で音程を考えると思うと気が滅入るのでいつになるかは不明だ。

収録完了

収録が無事終わり、最後に歌を簡単に繋ぎ合わせたものを聞かせてもらう。
大音量でMIXもされていない自分の声が部屋に鳴り響く。

恥ずかしすぎる…

恥ずかしさを紛らわせるためにひたすら自分の歌声の粗探しをした。
やっぱり最初の歌いだしは緊張も残っていて歌声にも現れていたが、どんどん後半になるにつれ慣れていっているのがわかった。

気になるところは多々あるが、MIXする際の方向性をチェックするのが目的とのことだったので特に録り直すことはなく終えることとなった。
若干音程が外れているのが気になった部分もMIXの力でどうにかなるらしい。MIXは偉大だ。

10日程度でMIXは完成するとのこと。
完成したらデータをメールで貰い、チェックをして最終的にMIXデータの納品という流れになるそうだ。

MIXデータの納品

MIXされた確認用データが届き早速チェックしていく。
自分の声が音源に馴染んでいて、音程が迷子になっていた出だしもしっかり直っていることに感動。これがMIXの力だ。

どこまで細かくお願いして良いものか…と悩みつつ、メモ帳にひたすら加工のイメージを記載する。
この際相手への敬意を忘れてはいけない。格安でレコーディングとMIXを受けてくれているのだ。
MIXの知識がないことと、あまりに指定しすぎると失礼に当たるかと思いつつめちゃくちゃ感覚的なテキストファイルをメールで送った。

実際に送ったテキストの一部

細かい要望にも関わらず、快く受けてくださり再度MIXファイルが送られてきた。あんなめちゃくちゃなテキストファイルを送ったのにも関わらず、完璧だ。

最終納品前のチェック用ファイルを置いておくので、是非Youtubeにアップロードされている歌と聴き比べてみてほしい。

MVイラスト作成

音源の用意が終わったら次は動画作成だ。
デーモンロードのMVを見る限り1枚絵で構成されており、表情差分が5パターンあるという感じだった。
背景は有り難いことに本家様から配布されているので、必要なのはキャラクターイラストのみとなる。

どなたかに依頼するか悩んだが、構図もそんなに複雑じゃないので自分で描くことにした。
絵を描かなくなって久しけどまぁ大丈夫だろう!と思っていたら危うくお蔵入りするところだった。

後で編集しやすいようデカいサイズでひたすら描いていく。
本家のキャラクターは厳密には真正面向きではなく若干斜めっているように見えるが、私の画力ではバランスが崩壊するので基本的には対称定規を使って描くことにした。

ここで絵描きあるあるだが、私のような下手くそお絵かきマンは絵に時間をかけすぎると目の魔法が解けて「何かバランス変だな…?」現象が起こる。
長年絵をまともに描いていないことによる体力低下と、ゲーム配信で絵を描く時間が取れないこともあり2週間近く同じ絵を描いていた。

作業をしようといざキャンバスを目にする度に「何かバランス変だな?」現象が私を襲う。私は意識が低いインターネットお絵かきマンなので、普段ならお蔵入りさせている。
何故ならバランスを整えようとすると最初から描き直しがザラに発生するからだ。
最初から描き直しなんてしたくない。せっかく時間をかけて描いたのだ。
でも妥協して世に出したら絶対後で後悔してしまう。ここまで描いたのにお蔵入りはさせたくない。
その想いだけで毎日妥協せずにひたすらちまちま描いていた。

本当は作業風景や経過をXや配信で見せたがったが、自分の性格上少しでも世に出したら満足してしまうのでとにかく我慢した。
孤独な戦いだった。世の中の絵描きたちは凄いのだ。私には2週間も楽しんで同じ絵を描き続けるなんて不可能だ。

作業は苦労することがわかっていたのでタイムラプスを録っていた。
本当はとにかく細々と苦労と葛藤を実況したいところだが、誰得すぎるのでここにタイムラプスを置いておく。
Xにもアップしたがあんな倍速じゃ私の苦労は伝わらねぇ!
とはいえnoteもファイルサイズに制限があるのでかなり倍速になるのだが。

そんなこんなでイラストの完成。

パターン1
パターン2
パターン3
パターン4
パターン5

動画編集

動画編集は自分でやるつもりだったのだが、残念ながら私が持っている動画編集ソフトにはデーモンロードMVに使用されているエフェクトが無かった。
無料ソフトでもどうやら再現できるようだが、今からソフトの勉強やエフェクトの作り方を学ぶのも骨が折れるので素直にココナラを利用することにした。

募集をかけると、数時間後には8件くらいのメッセージが飛んできた。
内容やサンプルを見て今回はかるきさんへお願いすることにした。

募集には「曲名」「本家Youtubeのリンク」「こちらで用意できる素材」などを記載したが、実際内容を確認した上でメッセージを送ってきたと思われる人は8件中2件くらいだった。

編集データは爆速でその日の深夜には完成品が届いた。

満を持して完成動画投稿

予想していたより動画が爆速で上がってきたので、事前になんの予告もできていなかったが、私自身早く世に出したかったのもあり翌日の夜にアップロードされるようYoutubeの予約を行った。

Xにも予告用動画を上げるべく、X用の短い動画を作成した。
最後のクレジット音ハメはこだわり編集だ。

深夜に作業しすぎて私が午前中に起きられそうもないので、Xの予約投稿機能を使い就寝した。

動画はPM7:00に投稿された。(告知はPM8:00だった)

感想

長年やりたいことリストに入っていた「歌ってみた投稿」が叶い、ホッとすると同時に動画投稿のハードルの高さを痛感した。

仕事で録画したビデオを編集してYoutubeにアップしたりすることは経験があるものの、歌ってみた動画となると音源の用意だけでなく動画編集やイラストの用意も必要になってくるのでわけが違うのだ。

とはいえ、やってみると欲は出てくるもので「次はもっとこうしたい」「こんな曲をやってみたい」と思うもので。
次はいつになるかわからないが、是非また歌ってみた動画をアップしてみたい。

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