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[ゼルダの伝説 スカイウォードソードHD感想]刮目せよ、伝説が始まるぜ!

↓前のやつ


発売!スカイウォードソードHD発売!!

先月ブレスオブザワイルドにドはまりしてから「あ、俺ゼルダシリーズ好きだったんだ…」と気付き、発売を今か今かと心待ちにしてたんですが、これが期待に違わぬ面白さだった…!

同じシリーズといってもオープンワールドのブレワイに対して本作はいわゆる古き良き箱庭ゼルダとジャンルが異なるため、今更昔からのゼルダを楽しめるかな…という懸念も少なからずあったんですが、これまた寝食を忘れるレベルでswitchを起動することに。

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ここまでハマった理由として、剣での戦いを重視するこれまでにないアクションがクッソ面白かったというのもありましたが、それだけではない。
長く続いたゼルダシリーズにおける原初の物語として構成された、過去作への繋がりを感じさせるファンサービスの数々。太古の昔から廻る縁により醸成されたエモーショナルなシナリオ。そして色褪せぬ謎解きと、そこには確かに箱庭ゼルダとしての、作品の垣根を超えた「歴史」がありました
あ、例によってネタバレしかありません。あしからず。


信じられないほど面白かった剣戟アクション

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スカイウォードソードを語るにあたって、剣での戦闘を外すことはできないでしょう。
そもそも、剣と盾や道具を用いてきたゼルダシリーズの伝統の中で、剣のアクションは少なくとも3Dシリーズにおいては徐々に進化してきた系譜でした。
剣を振る、回転切りといった基本的な動作の時のオカリナに始まり、風のタクトでは攻撃の隙を付くことで大ダメージを与えられるカウンター攻撃を実装しアクションのメリハリを生んだ。そして続くトワイライトプリンセスではカウンター攻撃をはじめ「盾アタック」や「居合切り」などの奥義を任意の操作で発動できるようになったことによって、64時代から連なる剣でのアクションは一つの完成を迎えたといっても良い。

で、このスカイウォードソード。トワイライトのように豊富な奥義はないものの、なんと上下左右・斜め方向・突きと9方向からの斬撃(+倒れた敵へのとどめ)を繰り出せる、シリーズでも類を見ない「剣戟アクション」の突き詰め方をしているのが本当に凄い!特にコントローラー(HD版ではプロコンでも出来るけど)の振り方によって斬る方向が変わるのがまさしく「自分が戦ってる!」という手に汗握りゲーム体験に繋がっているのが、これまでのシリーズよりも臨場感を引き起こさせているんですよね。

これの何が面白いかって、敵も武器を持ってるからただ闇雲に斬るだけでは簡単に防がれてしまうので、敵の構えを見切って攻撃を繰り出す「静と動」の流れが戦闘に組み込まれている構造になっているのが上手い。アクションのなかに緩急のリズムが自然と生まれて、緊張感を呼び起こされるのが楽しかったなぁ…。


これにも様々な応用があり、「上段で構えて敵のガードを上向きにしたところで、がら空きの胴を切り払う」「敵のカウンターを誘発させるためにあえて避けられる方向から斬る」など、高度な読み合いがなされるのもまたアクションのマンネリ化を防いでて、最後まで飽きることなく没頭させられました。

雑魚を除けばボス級の敵は「ダンジョンで拾ったアイテムを駆使して戦う」、これまでのゼルダの原則に沿ったものが大半なのでゼルダらしさも失われてないバランス感覚もまた良い。まぁ剣で戦うギラヒム(作中で何度も戦うボス)はもうちょい強くても良かった気がしますが。
…なんて思ってたら、終盤で無双ゲーもかくやといった大量の敵の波状攻撃!さらに小細工なしの真剣勝負2戦などという激アツ展開!!!特にラスボス戦、とどめの一撃を決める瞬間は思わず「いけぇぇぇぇ!!」と叫んでしまった。最初の一発は必ず避けられる仕様になってるのがまたニクイんだよなあれ…。

実家の味 箱庭ゼルダ

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剣のアクションが真新しいものの、いわゆる謎解きに関してはゼルダにおける王道中の王道です。時に頭を抱え腹を立てながら次々に増えていくアイテムを駆使してギミックを突破していく、シリーズ恒例の快感は損なわれることなくそこにありました。

今作は冒険の舞台が拠点である「スカイロフト」以外だとフィローネの森、オルディン火山、ラネール砂漠の3種類しかないため手狭な印象を受ける上にストーリー上3回も巡る羽目になるのがおつかい感を増強させるマイナスポイントはあるものの、「増えたアイテムで以前行ったところを更に開拓する」旧来の探索が自然な導線で舗装されてるので、これはこれで親切だったのかも。

3回も巡るとは言いますが、ただ似たダンジョンを攻略させられるのではなく新たな遊びが用意されているのがまたニクい。特に2回目の攻略は「サイレン」と呼ばれる、敵との接触を避けながらアイテムを集める探索に重きを置いたミニゲームに挑戦するんですが、これが緊張感あって楽しいんですよね。さすがに3回目ともなるとやや飽きが出てくるものの、「フィローネの森が水に沈んでる」などロケーションに大きな変化があるのが面白かったなぁ。でも火山の3回目は装備を全部取り上げられた挙句に敵に見つからないようスニーキングする、風のタクトにおける魔獣島じみたことさせられたのは絶対許さんからな!!!!!!


リンクとゼルダの縁に呼応するかのように、過去作をオマージュしたキャラやイベントがあるのも嬉しい限り。ケポラ・ゲポラそっくりな校長やテリーはオオッとなったし、ゴシップストーンとかいうもう何年出てないんだお前みたいなのも含めて、こういうファンサがあるのいいですよね。でもトイレで紙を要求してくる手がムジュラから続投するとは思ってなかったからさすがにめちゃくちゃ笑ってしまった。あんなんズルだろ!!!


伝説の勇者と姫の伝説

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本作は公式から「時系列で最も古い物語」と明言されていますが、そのためかストーリーはシンプルにリンクとゼルダといったメインキャラや魔族、マスターソードにトライフォースなどの要素に焦点が当たりつつ、どこか神話的な趣が散りばめられてるのが良い。

天上の世界「スカイロフト」で暮らしていたリンクが雲の大海原を越えて地上に降り立つ序盤の流れもそうですが、剣に退魔の力を宿すために聖なる炎で剣を鍛えるイベントや、神話の時代から脈々と受け継がれてきた女神と魔族の因縁など、過去作とのつながりといった形で表現されるイベントの壮大さは目を見張るものがあります。

特に、「なぜ神々は自分たちが使えない『全能の力』であるトライフォースを作り出したか」の疑問に対して「神ならぬ者に与えられた希望ではないだろうか」とアンサーが示されるのは、トライフォースの力で過去の呪縛を振り切り新たな世界へ旅立った風のタクトのエンディングを思わせてグッとくるものがありましたね。

もちろんシリーズにおける物語の原点としてはリンクとゼルダがメインなんですが、このゲームのメインシナリオを彩るキャラクターがまたいい味を出しており、特にバドとナビゲートキャラであるファイが凄く良くて、クリアした時に強烈な印象を与えたのもこの二人といっても過言ではありません。

バド

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子分を引き連れたガキ大将!ゼルダに横恋慕するあまりリンクを目の敵にするなど小物臭全開で登場するバドですが、中盤以降の成長・活躍っぷりがなにせとんでもない!

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汚いディズニープリンセス感

その存在感が増してくるのが、行方不明になったゼルダを探すために「なにもない世界が広がっている」と伝えられていた地上と天空を行き来するリンクを不審に思ったバドが後をつけ、ともに地上に降り立つ中盤のイベント。「ゼルダを救うのはこのバド様だ!」と息巻いていたバドが神殿を襲う強大な魔物を前にして震えることしかできず、そしてリンクが懸命に戦う姿を見て「オレには無理みたいだ。お前に任せるぜ!」などと告げ去ったのも束の間、己の無力さを噛みしめて誰もいないところで「何もできなかった!」「オレに何が出来るって言うんだ…」と悔しさのあまり泣き叫ぶ場面で本当に心が苦しくなる…。
これは「勇者と姫」として運命に選ばれてきたリンクとゼルダの物語だからこそ、選ばれなかった者の慟哭がまあ突き刺さること突き刺さること…。

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この哀愁ですよ

ここでバドはいったん表舞台から姿を消し、次に現れるのは中盤。そこにはなんと次に復活する魔物を迎え撃つために大砲を準備している元気なバドの姿が!!このゲーム、「封印されしもの」という巨大ボスと複数回戦うんですが、バドが加入してからの戦闘は大砲のサポートが優秀すぎてもうこいつ無しでは戦いたくないレベル。お前もう英傑を名乗っていいって…。

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リンクと離れている間に色々と思うところがあったのか、これ以降のバドは序盤での横暴な様は鳴りを潜めてとてもいいキャラになってるんですよね。強引な姿勢は決して曲がらぬ意志に強まり、ゼルダを助けようと躍起になる無鉄砲さは他の命を守り見守ろうとする献身に成長する流れが、感情豊かなバドを通して丁寧に描かれるから説得をもって心を揺さぶるんです。というかもうこれ劇場版のジャイアンとかじゃねーかな!?

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また、成長したバドが「スカイロフトに戻らず、育つ木々を見守るように地上で生きる」とリンクに告げるのがもう最高。中盤以降、リンクとゼルダがなぜ魔物と戦う宿命をもっているのか?とシリーズにまつわる謎が語られますが、リンク達がある意味こうした大いなる運命に縛られているからこそ、自らの意思で己の行く末を定めた力強い「人」としての在り方が強く引き付けられるのでした。


ファイ

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無感情AIナビゲートキャラは人類の夢なんだよ!!どこか神秘的かつ無機質な効果音と共に現れてリンクのことを「マスター」と呼ぶ、マスターソードに宿り勇者を導く精霊。これまでの相棒は妖精のナビィや赤獅子たちのようにマスコット的な外見でしたが、ファイは人型でどこか無機的な印象を受ける造形なのもチャレンジ精神が強いな…となりますねこれ。

実際、ファイは必要なことしか喋らないし「この先に○○がある確率は~~%です」みたいな今時そんなコッテコテなのAI崩壊くらいでしか見なくない!??みたいなキャラ付けですが、制作側もそれをわかっているのかイベントでは女神のお告げを伝えるためにアイススケートもかくやといった舞を披露したり、ちょいちょいシュール気味な愛嬌を見せてきます。
この辺り、前作のナビにあたるミドナがかなりアクの強いキャラで、なんなら利害関係の一致から共闘するナビキャラというかどこかバディじみた関係性だったところからの反転みたいなところもあるのかな…などと思ったり。


ファイがその物語性を最高潮に輝かせるのはやはりラストシーンの、魔族の怨念の権化である「終焉の者」をマスターソードに封印し、シリーズお馴染みのあの台座に納める場面でしょう。

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「剣の精霊は、勇者が使命を完遂すれば剣の中で永遠の眠りにつく」。そんな相棒に別れを告げるリンクへ、ファイは初めてマスターではなく「リンク」と呼びかける。

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こういうのズルいんだよな~~~~~~!!AIキャラがクライマックスで感情に目覚めるのって全人類好きなやつでしょ…いやこの辺の性癖はかなり宗教的対立が激しいことは承知だけど俺は好きなんだよ。

まして、「いつかまた あなたの魂と共に…」の一文がどうしようもなく胸を揺さぶる。スカイウォードソードはゼルダの伝説における始まりの物語でありここからリンクとガノンたち魔族との果てしない因縁が幕を開けるのですが、歴代勇者の多くの手に「マスターソード」が握られていくことに意味を持たせているのがただただ最高…。ラスボスである終焉の者はその断末魔に「我の憎悪は…魔族の呪いは…悠久の時の果てまで輪廻を描く」「女神の血と勇者の魂を持つ者共は永久にこの呪縛から逃れられぬ!」と呪いを吐きますが、勇者と魔族との戦いがある時代にマスターソードは、ファイは共に在る。“この”リンクとファイとの物語が終わっても、どれだけ時空を隔てても途切れぬ縁を示して物語が締めくくられるのが、原点に位置する作品として100点満点でしょ…。


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「ブレスオブザワイルド」にもマスターソードはもちろん登場しましたが、ファイは登場せず、そしてリンクをナビゲートすることはありませんでした。しかし、ゼルダとの思い出の中、満身創痍となったリンクへ縋るように泣くゼルダの姿が描かれるシーンで……


ファイの効果音が流れてる!!!!ブレワイをプレイしていた際、この効果音はここでだけ流れたのが妙に記憶に残っていたんですが、スカイウォードクリア後に改めて見返したら思わず声出ちゃった…。スカウォリンクとブレワイゼルダとの共通点を考えると、もしかしたらファイの声を聞くことができるのは「トライフォース」を全て揃え得る者だけなのかもしれません。しかし、たとえマスターに声が届かないのだとしても、それでも勇者の魂に変わらず添い遂げ、いつの時代も共に強敵と立ち向かってきたファイの姿を幻視して…俺は泣いた。


おわりに

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ブレスオブザワイルドでは広大なフィールドを縦横無尽に駆け巡り、点在するダンジョンを攻略するといったオープンワールドとしてのゼルダを存分に味わいましたが、新しいことに挑戦しながらも古き良き伝統の箱庭ゼルダを完遂したスカイウォードソードもまた良いものでしたね…。ジョイコンを使って「プレイヤーの体験」に強烈に繋げるゲーム性も相まって、かなり唯一性の高いゲーム体験となりました。
幼馴染の少女を助けようと冒険する中で己の定めを知るストーリーラインもかなり王道で楽しかったし、「時空石」をはじめとして時を超えるギミックがシナリオでも生かされていたのが、2つの世界や時代を行き来した神トラとか時オカからの進化といった感じで感心しましたしね。

そういえばゼルダ無双(ハイラルオールスターズの方)はギラヒム出てくるみたいですね。えっギラヒムいるの!?!??そんなん絶対に面白い(多義語)やつじゃん……

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