言いたいことが言えなくても気にするな

言いたいことが言えずに悩んでいた日々

以前に投稿した記事「内向的な性格に自信を持て」の中で、私は内向的な性格であることについて触れましたが、それに関連して「言いたいことが言えない」という悩みも持っていました。

会社員時代、同僚は部下に対して次から次へと指示を飛ばしていきましたが、私はと言えば「○○さん(部下の名前)はかなり仕事を抱えているから、今仕事を振るのは見送った方が良さそうだな」などと、今思えば余計な忖度をしてしまいました。

このような状態、他の同僚だったら「まだその仕事終わんないの?早くやってよ!」とゲキを飛ばしてハッパをかけるところですが、私としてはそういうことができず、ハッパをかけようとしても「次に○○の作業もあるから、今の仕事、早めに終わらせてよね」とやんわりとした口調でしか言えませんでした。

言いたいことが言えない悩みに、思わぬ答えが

「みんな、言いたいことをズバズバ言っているのに、なんで私だけズバズバと言えないんだろう・・・?」と悩んでいた私は、ある日、とある人に悩みを打ち明けます。言いたいことが言えなくて困っています、と。

すると、その人は意外な答えを返してきたのです。

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「言いたいことが言えない?何言ってんの?あんたは今、言いたいことを言ってるでしょ。問題ないじゃん。」

その答えに、私は思わずポカーンとしてしまいました。

そう言えばそうだ。今、言いたいこと言ったじゃんか。って、いやいや、そうじゃない。言うべきときに言えない、ということだ。質問を変えてみよう。

そこで、私は次のように質問をしました。
「会社員時代、ほかの同僚は部下にどんどん指示を出すのに、私は全然指示が出せませんでした。そう考えると、言うべきときにはきちんと言った方がいいですよね」と。

すると、こんな答えが返ってきました。

「あんたの性格上、部下を踏み台にして上へ上へとのし上がっていくのは性に合わないよね。それとも、あんたは言いたいことをズバズバ言って、部下を踏み台にして、上へ上へとのし上がっていきたかったの?私にはそうは見えないけどなぁ」

なんと!私の本質を突いた答えが返ってきて、ますますポカーンとしてしまい、頭が真っ白になってしまいました。そして、相手の人はこう続けました。

「あんたは、言いたいことの6割言っていればそれで十分だよ。いや、4割でも十分だ。」

そうだったのか!私の悩みがまるごと受け入れられたように感じて、そのときはすっかり安心しきってしまいました。なので、言いたいことを言わなくても良い理由については聞かずじまいでした。

その後、私は言いたいことを言わなくても良い理由を自分なりに考えました。

言いたいことを言わないのが性に合う人もいる

人間、いろいろな性格の人がいます。思いついたことをポンポンと話しながら場を盛り上げる人がいる一方で、日頃から口数が少ない人もいるものです。

口数の多い人から見ると、口数の少ない人は「あいつ、なんであんなに物静かなんだ?」と不思議に感じるかもしれません。私も口数は少ない方ですが、話すよりも聞いている方が楽しいのです。

私はまわりの人が話しているのを、ラジオを聞いているかのごとく耳を傾けていることがあります。

口数の多い人から見れば「もっと話せばいいじゃん」と思うかもしれませんが、本当に話したいときは話しています。ただ、口数の多い人から見れば、「本当に話したい」と感じることが少ないだけの話で、ピンポイントでは言葉を発しているのです。

そんな人ほど、まわりの人から見ると「普段は物静かだけど、ピンポイントで面白いこと言うよね」と注目されることがあります。普段話さないことと、ここぞと言うときに面白いこと言うと、そのギャップがたまりません。

むしろ、普段話さない人が無理に話をすると、スベりまくってまわりの雰囲気が凍り付いてしまうことがあります。口数の少ない人ほど「今、むりやり話すとスベるよなぁ」ということを感づいていることが多いです。

本当に話したくなったら、口数が少ない人でもペラペラ話し出しますから、それでいいのだと思います。

言いたいことを言うのは「価値観の押し売り」に

言いたいことを言うのは「価値観の押し売り」になることがあります。

ただし、言いたいことを言っている本人は、価値観を押し売りしている気持ちなどサラサラなく、「自分の言っていることは正しい」という価値観に基づいて伝えているだけです。

もちろん、正しいと考えていることのほとんどは正しいことが多いものです。

例えば「太陽は東から昇って西へ沈む」というのは正しいことであり、これは変えることができません。

次に、考え方にはよって正しくもあり、逆に正しいとは限らない例えをあげてみましょう。

「結婚適齢期になったら結婚すべき」という考え方については、あくまでも個々人の自由であり、必ずしも結婚しなければならない、というものではありません。

「人は必ず結婚しなければならない」という価値観を信じている人にとっては、適齢期にもかかわらず結婚していない人に対して「おい!早く結婚しろ!」と言うかもしれません。

しかし、結婚するかしないかは人それぞれの自由である、というように、こり固まった価値観を持っていなければ、わざわざ結婚について何か言うことはないでしょう。

言葉を発することということは、多かれ少なかれ自分の価値観を相手に押し売りすることになります。

自分の価値観を相手と共有したい、というのであれば、それはそれでかまいませんし、自分の価値観の押し売りをしたくない、というのであれば、それはそれでかまいません。

むしろ、こり固まった価値観にこだわりすぎない方が、考え方が柔軟になりやすく、新しい考え方を受け入れやすいので、それはそれで良いのかもしれません。

そして、自分の価値観を押し売りしたくなければ、あえて言葉にしてまで相手に言う必要はない、ということです。

まとめ

「言いたいことが言えない」と悩んでいる人ほど、実は言いたいことを言っていることが多いのです。そのため、言いたいことが言えないと悩むことは、単なる取り越し苦労で終わることがあります。

言いたいことが言えない人であっても、本当に話したいときは心の底から言葉が湧いてきます。なので、言いたいことが言えない人は、無理に話そうとせず、言葉が湧いてきたときに話すだけで十分なのです。

言葉がなかなか湧いてこないとき、むりやり話をしてしまったときほど、相手の心には響かないものです。その後、寒~い空気になり、場が凍り付いてしまうのがオチですから。




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