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物語『少年駅伝夫』の思い出

小学校の頃からずっと心に残っている『少年駅伝夫』という物語。駅伝夫は、主要道路沿いに設けられた駅へ人や荷物を運ぶ仕事をする人達。時代は違いますが、日本昔話では馬子として登場しますね。
物語の舞台はスウェーデン。どうしても町へ行かなければならないという旅人を主人公の少年が橇で送り届けるのですが、吹雪で道を見失ってしまいます。でもこの少年、子供ながらに生活の知恵が身についているのか、仕事への責任感からか冷静に対処するんですね。無理に先を急がず、橇をあったかい寝床にして夜を明かし、翌朝無事に旅人を送り届けます。あらすじにするとそれだけなんですが、当時の自分と同じぐらいの子が、吹雪という極限状態で自分の責任を果たしたことに、が~ん! となったのです。

それだけだったら数十年後の今もこれほど心に残るとは思えないのですが、当時の小学校の図画で「物語の場面を絵にする」という課題が出て、僕は感動のままに『少年駅伝夫』の吹雪の場面を描いたのです。
担任は時折クラス全員の前で絵を掲げて評を入れたりしてたのですが、僕の『少年駅伝夫』には一言「未完成」
冗談じゃない。完成してない絵を出すもんか。運動会の絵も「意味不明」って言われたし、僕の絵はダメなのだと思い込みました。

今ならこういう先生は問題ですかね。でも傷つきはしましたが、当時も今も別にどうってことないと思うのです。下手なのは悪いことじゃないのです。上手くなろうとするのか、諦めるのか、決めるのは自分です。絵は、今はあまり描いてないですが好きですよ。童話もそうですが、人の評価はどうあれ、やりたければやりますし、好きなら続けます。いちいち人の発言の揚げ足を取るような昨今ですが、どうなんでしょうね、ああいうのって自分に対する自信のなさも理由の一つだと思うんです。それなら自分を作っていけばいいだけのこと。他人を咎めて謝罪させたところで、形だけのものです。ああいう形で人は変わりませんね。

『少年駅伝夫』に話を戻すと、長らく本で読んだのか、テレビアニメで見たのか分からなかったのですが、このほどアニメだったことが分かりました。「まんがこども文庫」というアニメ番組でした。今回のヘッダーはそのアニメの1シーンです(いいのか。上げて)。絵を描いた場面でもあります。ただ僕の絵は白い背景に白い雪を塗ってましたから、未完成と言われても仕方ないですね。下手というより絶望的にセンスもないのかも。
当時は「まんがこども文庫」だけでなく「まんが偉人物語」や「まんが日本絵巻」、もちろん昔話や名作劇場もやってましたし、そういうアニメをよく見てました。
『少年駅伝夫』は下の本に収録されてるようなので、読んでみようと思います。

担任の先生ですが、僕の作文を読んで笑ってくれたことがありました。何も言ってくれなかったけど、文章は認めてくれたのだと今でも思ってます。

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