童話『星の子の冒険』 前編
春の終わり頃のことです。東の空から昇ってきた月の明かりが野原に降り注ぎ、草花の葉っぱが宝石のように輝きました。まるで野原が星空になったようです。もちろん本物の宝石ではなく夜露が光っているのですが、草花は大喜び。
「ほら、大きな指輪みたい」とタンポポがギザギザの葉についた夜露を嬉しそうに見ています。
「私はティアラを載せたみたい」とカラスノエンドウが小さなピンク色の花についた夜露を落とさないように気をつけながら言いました。
花が咲かない草も、花が終わって葉っぱが出始めた木も