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童話

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自作童話ですが、習作です。上手くなるためには書くしかなく、投稿生活を乗り切るための土台となる作品を集めました。未熟なものもありますが、ご一読いただければ嬉しいです。
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2022年12月の記事一覧

童話『おたまじゃくしの歌』

『第34回新美南吉童話賞』に応募した作品です。 少し長いので目次つけました。 前半  水の張られた田んぼに雨が降ってきました。おたまじゃくしのおたまは、落ちてきた雨粒がたくさんの丸を描くのを、水の中から見上げています。  ざざー。雨が強くなってきました。するとカエルが次々に歌い始めます。 歌は田んぼ中に広がり、夜空高く、遠くまで響きます。おたまも水から顏を出して、大きく息を吸い込みました。尻尾はまだあるけれど、足は四本生えてきました。水から出て外で暮らす日も近いようです。

童話習作『こん太のクリスマス』

 キツネのこん太は、巣穴から顏を出しました。 「うわぁ、たくさん降ったんだな。どうりで寒かったはずだよ」  森の木も、地面もまっ白な雪に覆われています。森に来て初めての冬です。  白い雪の上を、まっ黒な動物が歩いてきます。きょろきょろと何かを探しているようです。 「あっ、くま太くんだ。おーい」  こん太は巣穴から出て走っていきました。 「やぁ、こん太くん。どうかしたの?」 「雪がたくさん積もってるから、一緒に遊ぼうと思って」 「もうすぐ冬眠するから、たくさん食べておかないとい