童話『ヘイゼルとぼく』後編
『たかし君が鉄ぼうから落ちた。
「あぶない!」と思わずさけんだものの、何も起こらなかった。たかし君は大好きな家族。守るべき大切な人なのに、わたしが持っているはずの力は出なかった。なぜ? どうして? もし打ち所が悪かったら、たかし君は大変なことになっていたのに。わたしには本当にそんな力があるのだろうか?
「ヘイゼル! ヘイゼル!」
名前をよばれてわれに返ると、たかし君は鉄ぼうの上でうれしそうにしていた。
「ぼくはやったよ! できたんだ!」
わたしが考えこんでいる間も、練習を