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大和路うろうろ・春日大社(奥の院道)

100円で観光名所をまわれる「ぐるっとバス」に乗るのは初めて。
平日の路線は春日大社本殿前行きに限られるらしい。
参道を歩かずに済んだ分、今日は本殿〜若宮から奥の院道を通って高畑に出ることにした。
生駒の山の中に暮しているわたしにとっても、明るく整備された春日の森の散歩は格別。特に若宮は「神様が座す」という感じが何となくする。誰もいないのに、ひとかどの人物と正対した時のような感じをうける。嫌じゃないけど、姿勢は正しておかなければ吹っ飛ばされそう、といった感じ。霊感なんかないけれど、パワースポットというのはこういうところなのかも、と思う。iPhoneをかざす気にはならなかった。

夫婦大黒社は初めて訪れた。縁結びの神様らしくて、おみくじや水占いなどあり、とても親しみやすい。修学旅行生にも人気の様子。
お詣りは靴を脱いで座敷に上がるらしく、雰囲気に後押しされて畳に上がったのはいいけれど、お通夜や葬式と違い前の人の作法を真似することもできないので困った。正座して手を合わせればまあ及第点かと勝手に決めて、簡単に済ませた。
壁一面に芸能人の奉納したしゃもじの形の絵馬が飾られている。古の大スターから劇団四季一同まで。見ているうちに、自分もやってみたくなった。
自慢ではないが、お守りとおみくじなら若い頃は買うこともあったが、絵馬や奉納の類は経験がない。
ペンを借りても、何から書けばいいのやら、結局先人たちの真似をして日付や名前を書いた程度。形式にとらわれず思い思いの絵馬をしたためていた芸能人たちは流石に違うなあとへんな感心をした。

小さいお社もたいていはお詣りして、終点の紀伊神社もお詣り。急に森が途切れて高畑の住宅街に出る。
単純かもしれないが、春日の森というほの明るい産道を通って、新しくぽんと生まれ直したような気分。
おなじみ空気ケーキ。でいちごのショートケーキを食べて、この日の旅はおしまい。駅前の本屋さんで堀辰雄『大和路・信濃路』という文庫本を買って、読みながら帰った。
10月21日。
この日この本を読んで、日記のような手紙のような紀行文を書いてみたいと思った。このシリーズはその日行った散歩をその週のうちに記録してアップするつもりでいるけれど、今回はそんなわけでひと月ほど過去に遡って書きました。

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