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大和路うろうろ・興福寺五重塔

五重塔は近鉄奈良駅から春日大社に向かうと必ず通る。子どもの頃から時々脇を通っていたが内部がどうなっているのか関心を持ったことはなかった。今日は、特別拝観をやっていて、他に当てもなかったので入ってみた。

外から見た通りといえばそうだが、ささやかな空間の中心に太い柱。その4方に4体の御本尊、それぞれに脇侍が2体ずつ。
よく知らないが、こんなふうにスタイルが揃えられているのは奈良の古寺では珍しいのではないか。イメージしているよりは時代が新しいのかもしれないと推測してみる。一見四つ子のようにそっくりで、よく見るとどの仏様も個性が際立っている。それぞれに非常に美しい。もしそういうことに詳しければ、どこの国の顔立ちだとはっきり分かるほど、かっちりとした設定がありそうに思える。どうやらわたしには、古寺を見て企画段階や制作の場面を想像する癖があるのかもしれない。
4体はそれぞれにはっとするような人間的な表情をされている。知り合いに似た人がいそうな、かつて誰かのこんな表情が印象的な瞬間があったような、と記憶を探りかけたが、狭い塔の中、行楽シーズンの特別拝観では立ち止まってじっくりというわけにはいかなかった。
西大寺でも経験済みだがここでも足元の羽目板が外してあり、照明を当て中を覗き込めるようになっている。古代建築に興味のある人に、塔の骨組みが分かるよう工夫されているらしい。
狭い空間のことで、背後から「現代の高層ビルもほとんどがこれと同じ工法を使ってる」と聞こえてきた話に、へえーと相槌を打った。

猿沢池でひと休み。
この後は駅の向こう大仏池まで足を伸ばすことにした。

南円堂に橘。よく映える。

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