Ep.1 はじめての診察

2021年10月12日。雨。

ここは自治医科大学附属病院さいたま医療センター。
今月から開設された「乳児・頭のかたち外来」を受診するためだ。

先生の診断は、正直すぐには受け入れられなかった。

「お子さんの斜頭症は重症で、ヘルメット治療の適応になります。
ヘルメットは1日お風呂以外の23時間つけっぱなし、だいたい6ヶ月間の治療です。
現在この治療は保険や高額医療制度は使えず、実費で約50万円かかります。」

帰りの車内、後部座席の妻は泣いていた。

ごめんね。
もっと初めから向き癖を直してあげていたら。
もっとふかふかのマットに寝かせていたら。

ずっとヘルメットなんて辛いに決まってる。
しばらく頭を撫でてあげることもできないかもしれない。
1番可愛い時期の写真も全てヘルメットになる。
外に出たら変なヘルメットと後ろ指さされるかもしれない。

50万円の負担も楽ではないが、
それよりも、かわいそうで、
その場で治療の決心はつけられなかった。

診察を受ける前は、正直、軽く考えていた。

頭の形が悪い赤ちゃんなんて、よく聞く話だ。
でもそれが原因で病気になったとか、
治療しなきゃいけなくなった、
なんて聞いたことがなかった。
現に私の母親は40年近く保育士をしているが、
ヘルメット治療をしている子は見たことないという。

大人になって多少頭の形が悪くても、
増してハル君は男の子、
形を直すのに50万かけるくらいなら
本人のやりたいことに使ってあげた方が有意義じゃないか。
妻ともそう話していた。

ただ、ヘルメット治療は
月齢が早いほど、良い効果が得られるらしい。
特に月齢6ヶ月までに始められるのが理想。
今ハル君は3.5ヶ月。

夏は蒸れて皮膚トラブルが増えるが、
来月から始められれば半年後は5月。
治療は冬から春になるので時期はいい。

まして、今はコロナが蔓延している。
ヘルメットを着けての外出は、
あまり多くないかも。

半年間なんてハル君の人生にとっては一瞬。
やらない後悔よりは、
その後の明るい人生の為に、
やれることをしてあげるのが親の役目なのかも。

決断は早い方がいい。
家に帰ってきて、沢山悩んで夫婦で話し合った。


ヘルメット治療やろう!

半年後、
やって良かったねと言えるように。
こんなこともあったねと笑えるように。
noteに残しておこうと思います。

まだまだマイナーなヘルメット治療。
ネットで調べても情報は少なかった。
悩んでいるパパママの力に、
少しでも役に立つんじゃないかなと思って書いていきます。

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