菅政権、これからが本番だ

 菅首相が1月7日に緊急事態宣言を発して、日本のコロナとの闘いは新段階に入った。緊急事態宣言の発出にいたる経緯では、Go to トラベルの休止をめぐっての迷走や首都圏の知事達の要請への対応などについて曲折があったが、宣言を発した以上は、何としてもコロナ感染状況をステージ4からまずステージ3まで引き下ろし、コロナ禍を収束に向かわせなければならない。

 コロナ問題は政治家にとっては鬼門かもしれない。英国のジョンソン首相はコロナへの本格対応が遅れて英国を大混乱に巻き込んだ。トランプ大統領はコロナ蔓延直後、数週間もコロナを軽視し専門家を無視しつづけた失策が大統領選挙敗北の要因となった。安倍前首相退陣にいたる人気低落もコロナ対応の不徹底さが遠因になったように思われる。

 菅政権は74%という高い支持率のもとに発足したが、12月には42~43%台まで、そして直近の調査では41%まで落ちた。支持率の大幅な低落は軽視できない。きたるべき総選挙の決断など大きな政策の裁量余地が狭まるおそれがあるからである。

 菅首相の緊急事態発出の記者会見は、菅氏らしく生真面目実直に、飲食店の就業時間短縮と人々の外出自粛を呼びかけ、企業にテレワーク拡大を要請し、時短店への補償金の増額と感染者受け入れ施設には病床当たりの支援大幅増額を約束した。しかし何か物足りなさを感じたのは筆者だけではなかったのではないか。

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