新しい資本主義の本来の方向を追求せよ

 岸田政権の経済政策の根幹は、首相が提唱する「新しい資本主義」のようだが、その内容が良くわからない、という声が多い。説明が抽象的で具体性がない。何をどう実現しようとしているのか戦略が見えないという批判が多い。

 せっかく新しい考えを提唱しようとしているのに、これでは残念だ。岸田首相が本来やるべきこととは何か、また、どう表現すれば、国民に伝わるのかを考えてみたい。

 岸田首相は、2021年10月の最初の所信表明いらい、12月の第二次政権の所信表明、いろいろな講演、雑誌投稿、そして1月17日の所信表明まで、多くの機会に新しい資本主義の内容について説明しておられる。

 それらをつうじて次第に明らかになってきている構想は以下のようなものだろう。まず、新自由主義への批判が前提にある。資本主義は19世紀の産業革命の頃に、英国など先進国の経済の基本になった。その頃は資本家が利潤を求めて無制限に労働者を搾取したので、労働者が疲弊し、20世紀にはいって労働基準法や社会保障で資本主義の欠陥を矯正する修正資本主義が説かれるようになった。

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