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おじさん芸人の青春に目を奪われたお話。




――――燦然と輝く赤色の絨毯へ姿を現した、二丁の機関銃。


その機関銃は突然声を揃えて爆発し、粉々になり、宙に舞った。まるで、世の中の面倒な事柄に不平不満や僻みをぶつけるかのように。

恐怖で颯爽と逃げていく人間にも、散り散りになった自分に近寄る人間にも、彼らは容赦なく噛み付いた。


光を掴みかけたある日突然下された、ホームからの事実上の戦力外通告。

空白の15年を経て、ダークホースへと成り果てた彼等は、我武者羅に怒りをぶつける形はそのままに、あの時のまま賞レースの舞台へと帰還し、多くの観客達を虜にさせた。

彼らがそこで見せた漫才は、見た者の神経を大きく揺さぶるものだった。滝のように流れる汗。喉を底の底まで掘り進め絞り出した魂の声がマイクにぶつかる。


その姿はまるで、ロックスターのようだった。




結成25年。滝沢秀一と西堀亮からなるお笑いコンビ、マシンガンズ。彼らは数十年前、『エンタの神様』や『爆笑レッドカーペット』で披露した、世の女性の面倒くさい所に2人で怒るという斬新なスタイルのネタで一世を風靡した。

それから数年経った2010年、上記の番組が軒並み放送終了。そんなファーストチャンスを失った彼らに訪れたセカンドチャンスが、私が彼らを知るきっかけとなった、フジテレビ系列で放送された賞レース『THE SECOND』である。

このnoteではマシンガンズに出会うきっかけとなった『THE SECOND』の感想(というより見たものをそのまま綴った備忘録)と、マシンガンズが起こすムーブメントの凄まじさについてお話していこうと思う。新参者ゆえ、どうぞお手柔らかに。


2023/5/20 THE SECOND〜漫才トーナメント〜

最初にこのニュースが飛び込んできた時、正直に思ったことがある。それは、

賞レースをこれ以上増やして果たして盛り上がるのか

という点である。

全国放送とはいえ、現段階でも数多くの歴史ある賞レースが存在し盛り上がりも凄まじい中で、いざ開催しても盛り上がりが著しいものになり不発するのではないかと思った。今になると、目線も上からで制作者側の本気度合いも知らずによくそんなに幼稚な考えをつらつらと頭の中に浮かべられたなと思う。反省。


今ではとても悔やまれるのだが、用がありどちらも視聴できなかったノックアウトステージ。様子だけでもチェックしようとTwitterを見ていると、流れてくる視聴者の輝く感想の数々。その中で1番印象的だったのが、ノックアウトステージ16→8のマシンガンズとランジャタイの戦いだった。

結成16年目でM-1戦士として昨年まで駆け抜けてきた、THE SECONDの中では最若手となるランジャタイ。その対戦相手にいたのがマシンガンズである。そんな2組の戦いを見た人達の感想で、私は衝撃が走った。

「マシンガンズ、イチウケだった」
「マシンガンズの勢い凄すぎる」
「マシンガンズ、優勝有り得る」


「あのランジャタイを下したマシンガンズ、何者???」


正直、この時はマークすらしていなかった。会場の空気がとても重いと言われていた選考会でもかなりのウケだったというのは小耳に挟んでいたが、ここまで呟かれるウケとは。私はそんな2人のネタが気になって仕方がなかった。

前述の通り、当時あまりこの大会自体に熱中していなかった私は、「マシンガンズ」というコンビの存在と記者会見での2人の様子だけを頭に入れ、5月20日のグランプリファイナルを視聴することにした。



疾走感溢れる、怒りを込めた漫才〜1回戦、準決勝〜


「あいつら(金属バット)には未来があるが、俺達に未来はない」「だからこそ、絶対に勝ちたい」

西堀さんの自虐から溢れる勝利への欲望を感じ取れるこの二言から始まった、第1試合の紹介V。
結成25年の重みとそこから溜まった芸人としての力は、この映像からだけでもずっしりと響くものがあった。


ノックアウトステージ16→8直前のスタッフの「自信は?」という問いかけに対する、西堀さんの「勝てないよ」「(自信)ないよ」という答えにも胸が締め付けられた。この後に組み込まれた、対戦相手であるランジャタイとの抱擁(マシンガンズの結果発表の瞬間、よく聞くと滝沢さんらしき声で「うぉぉ…!!」と驚きと嬉しさが漏れ出たような声が聞こえるのもグッときます。)や記者会見での西堀さんの「報われない者を救済するっていう意味もあるでしょ?(これこそ)セカンドチャンスでしょ。そう考えたら俺達が優勝するのが1番合ってる!!」という意気込みから滲み出るグランプリファイナルに出場できるという嬉しさと、そこに向けての高揚感が、これから始まる2人のネタがこちらも自然と楽しみになっていた。



そんな彼らは登場して早々、「横とか見にくくない!?大丈夫!?」「俺横からでもね、面白いから」と客を巻き込んで場の空気を一気に掴み、2人で世の中の不平不満へただひたすらに怒りをぶつけるというスタイルで、観客を笑いの渦に包んだ。
彼らの声を揃えるツッコミは、私が大好きななすなかにしやハリガネロックに通ずるものがあり、最初のツッコミを聞いた瞬間心を奪われ、そこから私は、マシンガンズが作る怒りの竜巻にのめり込んでいった。

第1試合は、「マシンガンズ」という名を轟かせるスタートダッシュを決め271点と、金属バットと2点差(269点)という僅差で見事勝利。
ネタ中にあった滝沢さんの「ブスが無くすんだよなァ!!」という雄叫びリフレイン。後日、ダイタクのトークライブ「わかってもらえるさ」(2023年8月13日ゲスト出演)で本人が「これがないと負けていた」と述べていた。タイムリミットが迫る中で絞り出した最後の一押しとして、これが2点差という結果に大きく影響したのかもしれない。

本放送を振り返っていて気づいた、点数が出た瞬間の滝沢さんが後ろに膝から崩れ落ちる姿。グランプリファイナル後の様々なラジオ等で話していた「どれだけ相手が強くても、子供の為に1回戦は勝つ」という滝沢さんが掲げていたノルマを思い出し、胸を打たれた。滝沢さんの奥様と子供さんのあの時の心情を是非とも知りたいところ。
「1回戦を勝利で飾りたい」という目標は、西堀さんも同様で、崩れ落ちる滝沢さんの横でぴょこぴょこと歩き回る姿が。金属バットという強敵に勝利した驚きと、僅差で勝ち切った安堵が動きに詰まっていて、滝沢さんと西堀さんそれぞれの感情の出方がとても魅力的だった。


準決勝直前。入念にネタ合わせや水分補給で精神統一をしている三四郎に対し、事務所の先輩であるインスタントジョンソンの「お疲れちゃ〜ん」を見せつけたり、カメラに指を指したりと、賞レース前とは思えぬ程陽気で仲睦まじいマシンガンズの2人の様子が写し出された。先程まで見ていた怒りを露わにする2人とは打って変わった様子に、賞レース視聴中特有の緊張から強張っていた表情が緩んだ。可愛い。
どんな場でもとにかく自由で、何も気にせず賞レースの時間を楽しんでいる2人がとても素敵だと感じた。


準決勝では、2番手で準決勝進出を決め、有り余る時間で行っていたというエゴサーチで仕入れた第1試合の視聴者の感想をネタに組み込むという、これまた今までの賞レースで見たことのないスタイルを序盤で見せつけ、笑いの火を焚き付けた。今回の対戦形式から不利と言われた先攻という立場で、ここまで大暴れできるのかと度肝を抜かれた。

その後披露した、Yahoo!知恵袋に書かれているマシンガンズの悪口に怒りをぶつけるというネタ。このネタの魅力は、取り上げられている悪口が実際に書かれているという点である。創作ではなく、一言一句実際にある質問と返答だからこそ、リアリティと2人の怒りが際立っているなと感じた。

そしてこのネタでは2人が紙を持ち、それに書かれた内容を読み上げるという手法が使われていた。小道具の使用は漫才の賞レースでは御法度だという固定観念を、彼らは大きく覆して見せたのである。

覆せた理由として、審査員が大きく影響しているのではないかと思っている。他の賞レースでは、ベテランの芸人や著名人達が審査するパターンが殆どで、ベテラン→若手だからこその鋭い鞭が飛ぶことも多々ある。
だが、今回の審査員は芸人でも著名人でもない、「お笑い好きの一般人」である。大好きな芸人さん達の運命を自分達が握っているという緊張感、そして大会の審査基準として掲げられていたのは「漫才が面白かったか、面白くなかったか」という事であり、ネタの構成の良し悪し等は審査には必要のない要点だったことから、小道具の紙がスムーズに受け入れられたのだろうと考えた。審査員が一般人という点が、大会全体にとても上手く働いていたし、THE SECONDだからこそ出来る所業だと思った。

そして彼らは、284点という大会最高得点を叩き出し、三四郎に見事勝利。後にギャロップと戦う決勝へ駒を進めた。
3点の数が出た時の西堀さんの「おらぁ!!」という高揚感溢れる雄叫びや喜びが全面に出た跳躍と滝沢さんの嬉しさを冷静に噛み締める姿が、コンビで見事に対極で、見ていてとても胸熱だった。今見ると、3本目のネタがないという焦りも見えなくはないような気がするが、本番を見ていて滝沢さんが「ここまでくると思ってなかったので、3本目のネタが弱い」と発言するまで気づかなかったので、お二方とも肝がよく座っているなと改めて感じた。


2022年の天皇賞秋と重ねる、ギャロップとの歴史的名勝負〜決勝〜


決勝戦、先攻のマシンガンズは開始早々、「事実上の決勝はもう(両者同点となった囲碁将棋VSギャロップで)終わった」「余興だと思って楽しんで」と緊張感を漂わせる観客達にリラックスするよう投げかけ、全体を味方につけていく。

初っ端からアドリブという名の自虐満載の彼らを見て「こんな光景が賞レースで存在していいのか??」と不安になったのも束の間、間を埋める為に交わされる合間の2人のやり取りの心地良さと、1回戦や準決勝でも発揮されていた会場の空気感を察知して笑いに昇華させる能力が鋭く光った。

そして徐々に笑いも落ち着きだした中で、少し間を空けて西堀さんの口から発された「優勝させてくれ」という懇願。賞レース中にそんな本音が漏れ出ることなんて言語道断だと思っていた自分に衝撃が走った。しかもその発言でこの4時間の中で1番といっていいほどのウケを取っている。衝撃で脳がショートしかけていた自分も手を叩いて笑っている。

今まで賞レースという舞台で禁忌とされていたものを堂々と切り裂き、「漫才師」としての生き様と「人間」としての欲望をオーディエンスへ訴えかける姿。それを見た私からは、笑いからなのか感動からなのか分からない涙が流れていた。

こうして6分間の賞レースの舞台を、アドリブと数個散らばったボケで構成された、お笑い界に革命を起こすパワフルでエネルギッシュな漫才で走り切ったマシンガンズ。ネタ終了後、3時間の音楽ライブの熱気を一気に堪能したような熱々の余韻に包まれた。頭痛、ふわふわした脳内、充実感で温まる心、1本の漫才を見て味わったことのない感覚に陥っていた。


そんな余韻にどっぷり浸る間もなく、後攻のギャロップのネタへ。
林さんのフランス料理店の修行話からスタートし、それに毛利さんがツッコミを入れていくスタイル。ここまでは″正統派″のしゃべくり漫才らしい始まり方。

ただ、スタートから少し経ち、異変を感じる。展開が平行線のまま、一向に変わらないのだ。目立ったボケもほぼない状態で1人喋りが続く。そして徐々に話の早さもヒートアップ。毛利さんもツッコミで林さんになかなか介入できない状況に。喋りの勢いが止まらない中、会場のウケもまずまず。

これはマシンガンズの逃げ切り勝ちか…?と思われた次の瞬間、

「パァァァァンッッ!!!!!!!!」

2人の魂の叫びが舞台に轟き、揺れる程の笑いと拍手に包まれた。今までのスローペースは全て伏線で、終了間際に放たれた「パン」という一言で一気に回収。驚異的な末脚でマシンガンズの勢いの波に抗って見せたのだ。

一つの大ボケに全てを賭けた一か八かの思い切った構成が、鮮やかに美しく舞台に花開いた瞬間を目の当たりにし、とても胸が躍った。

体力を厭わず怒りを連射し、ハイペースで先頭を突き進み逃げ続けたマシンガンズと、見ている側も心配になる程の後方待機から最後の数十秒で驚異的な末脚を見せたギャロップが共に鎬を削った決勝戦。


思えば、2022年の天皇賞秋もそうだった。

スタートから一気に先頭に立ったパンサラッサ。ペースは止まることを知らず後続に大差を付け、1000mを57秒4というハイペースで通過した。

最終直線に差し掛かっても、未だ先頭はパンサラッサ。このままパンサラッサの逃げ切り勝ちで終わるかと思われたが、その一方で外から驚異的な末脚を炸裂させ前へ前へと迫ってくる怪物が姿を見せていた。現役最強馬、イクイノックスである。
残り約400mで最後の力を振り絞り先頭の景色を見続けるパンサラッサを捉え、ゴール板を駆け抜ける寸前、イクイノックスは天才の一撃を決め、見事1着に。パンサラッサも2着と大健闘でレースを終えた。

大逃げで先頭を走り続けたパンサラッサと驚異的な末脚で勝利を飾ったイクイノックス。

今回のマシンガンズVSギャロップの決勝戦もまさに大逃げVS大追込がぶつかり合った戦いで、放送終了後このレースの光景が走馬灯のように脳内に流れてきた。競馬のGIという大舞台で感じた感動が、お笑いの賞レースという舞台でもう一度甦ったのである。


準決勝の大会最高得点となる284点、そして決勝で大会最低得点となる246点を叩き出し、芸人として最高の負け様を見せたマシンガンズと、大阪の舞台で鍛え上げたしゃべくり漫才で他を圧倒し、133組のベテラン芸人の中から頂点へ立ったギャロップ。

2022年の天皇賞秋に次ぐ、後世に語り継ぎたい最高の名レースが誕生した、忘れられない1日となった。


大会後、吹き荒れ続けるマシンガンズ旋風


THE SECONDが終わり、大会の余韻に浸る中、ある事が話題になった。

「ん??滝沢さんのビジュアル良くね???」

放送中、自分も確かに思った。自分の顔のタイプとして掲げることが多い、戸次重幸さんや田中圭さんを彷彿をさせる塩顔とストレートパーマがかかった流し前髪。
その見た目とは裏腹に放たれる、バイキンマンのようにハスキーでおじさん感全開の声のギャップ。
正直、タイプである。ただ、滝沢さんは既婚者で子持ち。流石に不味いと思い、人として踏みとどまった。

そしてそんな自分でも少々揺らいでしまう程の衝撃の画像が、大会から4日後の夜、突如として滝沢さんのInstagramストーリーズに投稿された。

滝沢さんInstagramストーリーズ(2023年5月24日)より

「エッ、顔良すぎる!?!?!?!?!?!?ベッド!?!?!?!?!?そんでもってシャツのはだけ具合は何事!?!?!?!?!?!?意図してのそれ!?!?!?!?!?それとも無自覚!?!?!?!?!?!?!?」

誇張なしでこの様である。なんならこれでも抑えている方だし当時のオタクみんなこうだった。(?)

X(旧Twitter)で「滝沢さん」というワードがトレンド入りする中、投下されたこの画像でトレンド維持記録がさらに伸び続けることに。(維持記録8日間。異例すぎる。)

そしてこの話題はマスコミにも、滝沢さんにも届いていた。

滝沢さんInstagramストーリーズ(2023年5月25日)より

この話題がきっかけとなり需要に気付き始めたのか、滝沢さんはSNSに続々自撮りをアップしていく。これもまた破壊力が凄まじい。あまりにもキメキメでちょっとじわじわもくる。それもまた一興。

止まらない滝沢ムーブメントに、ついには相方の西堀さんも乗っかる事態に。滝沢さんとは違った渋いかっこよさで好き。

そしてこの波に乗って西堀さんは「#自撮りおじさん」というタグも作成。

これがマシンガンズが所属する太田プロダクションの先輩である有吉さんを始め、THE SECONDファイナリストやベテランのおじさん芸人、さらには一般のおじさんの皆様も続々と自撮りをSNSに投稿するというもう一つの大きなムーブメントを巻き起こした。

かっこいいのは勿論のこと、「おじさんが自撮りをする」というだけでどこかくすりと笑える。こんなにもオタクが幸せになれるコンテンツを沢山提供してくれるコンビがいるのかと嬉しくなった。

そして少し後には、西堀さんのビジュアルの良さも話題になり、同じくネットニュースに。

滝沢さんのかっこよさが話題の中、密かに勢力を上げ続けていた西堀さんのバブみムーブメント。(今ではちいかわみたいと言われていたりする。確かに口とか表情ぽい。)
イケメンとしても火が付き、滝沢さんの奥様(友紀さん)が自身のSNSに投稿した若い頃の西堀さんに焦点が当たり、ファンの心を一気に掴んだのだ。今のキュートなお顔立ちとは違う、やんちゃでどこか危なっかしくて人たらしそう(?)な見た目。このような男性も凄く好みな自分は、案の定西堀さんのビジュアルにも虜になってしまった。


そして先月、2人のビジュアルムーブメントに大きな動きが。滝沢さんのビジュアルの良さが様々なメディアに届き、本人の前々からの夢であったananに掲載されるまでに。(情報が流れてきた時の高揚感は未だに忘れない。)

「女性誌を一周したい」という滝沢さんの夢が叶うのではと、これからの動きが楽しみになる一報だった。(西堀さんのオファーもあったらいいな。ananでなくともLEONとか。)

それぞれの人気が急上昇し、かっこいいと可愛いが組んだ奇跡のコンビ(ネガ→ポジ#59)として名を馳せ、テレビやラジオ等メディアでの出演が多くなる一方、賞レースという大きな舞台を終えた彼らは、漫才師としての腕も凄まじいものとなっていた。
出演したライブで、前述した2人の顔の良さを活かしたワーキャー漫才なるものを爆誕させていたのである。

「かっこいいでしょう滝沢!!」「西堀も可愛いでしょう!!」という漫才中とは思えない掛け合いや、うちわや黄色い歓声が歓迎されるアイドルのライブのような空気感。こんなにも顔ファンを肯定してくれる芸人がいるのか、と驚いた。

「お笑い芸人にかっこいい、イケメンと言うのは間違い」という暗黙のルールがファンの中で根付いていた昨今、彼らはこれを大きく覆し、「かっこいい」「可愛い」と言ってくれるファンの需要に真摯に応え、ライブに来てくれた客を思う存分に笑わせ、楽しませる「アイドル漫才師」という新たなジャンルを確立させたのだ。
そして「かっこいいだろ!!!」「可愛いでしょう!!!」という問いかけに今まで芸人に対して言えなかった思いをぶつけるかの如くノリノリでワーキャーするファン。舞台全体で作り上げるこの一連の流れは、一種のコントのようでとても楽しい。

筆者はkento fukayaプロデュースの芸人アイドルグループ「ZiDol」を応援しているのだが、似たように「アイドル」というコントを見ている感覚になる。自分の中に潜む「ワーキャーしたい」という欲望を思う存分満たしてくれるこの2つは似て非なるものを感じた。


そして彼らの今の漫才の魅力はワーキャーに応え、客を巻き込む点だけではない。2人が披露する漫才は、そのライブでしか見れないアドリブの掛け合いやパフォーマンスが詰まっているのである。
マシンガンズが出演するネタライブで配信があったライブは基本全て見てきたのだが、どれも全く違う味で何度もリピートして見てしまう中毒性がある。THE SECONDの時の漫才を見ていた時もそうだったのだが、2人の漫才を見ているだけで脳汁が出ているような感覚になる。爽快。

ライブパフォーマンスで特に印象的なのは、囲碁将棋とのツーマンライブ『乱れ打ち』(2023/7/16)で初お披露目となった、サンパチマイクをロックスターのように扱うパフォーマンス。

囲碁将棋Official【公式】様(2023年7月16日のX投稿)より引用。これだけ見たらロックフェスのライブ。かっこよすぎる。

『乱れ打ち』では2人でマイクを奪い合いお互いの文句を言い合うという形だったが、最近だと客にマイクを向けたり、滝沢さんがマイクを独占する中、隣で西堀さんがヘドバンしていたりする流れがあったりと、ライブ毎に違った流れから披露されるこのマイクパフォーマンスを見る度に脳髄が痺れる。

煽りを入れずとも観客をいとも簡単に沸かせることができるのは、彼らの生まれ持ったパフォーマーとしての才能なのかもしれない。

2人が自由に舞い踊り、描かれる漫才は一期一会。だからこそ、一つ一つが見逃せない魅力的なものに映っているのだろう。


終わりに(あとがき)


拙い文章でしたが、ここまでお読みいただいた皆様、本当にありがとうございます。

大会から早3ヶ月。自分の文章力でこの衝撃を纏めようと試行錯誤していたら、いつの間にか8月になっていました。このnoteを綴るに辺り、大会前や大会当時のツイートや映像を見返していたら、書きながら泣いていました。元々涙腺は緩い方なのですが、いつ見ても漫才師の皆さんのかっこよさに涙が出ます。本当に良い大会でした。(第2回も第1回の円盤化も心待ちにしております。フジテレビのお偉い様……)

そしてここまで綴っておいて何だと思うかもしれませんが、地方住み学生の私は、生でマシンガンズの漫才を見たことがありません。お会いするとなると基本東京で、なかなかに遠く行きづらい。
ただ、映像越しで見ているだけでもこれだけ綴れる威力。いい意味で恐ろしい。生で浴びたら失神するのではないかと思う。(皆さん、よく生きてらっしゃいますね…)

2人にお会いするのは勿論、2人の漫才を生で拝見し、その感想をnoteに思うがままに綴れることを夢見て、これからも「マシンガンズ」という最高の漫才師と出会えた事に感謝しながら生きていきたいと思います。





――――いくつになっても、青春は味わえる。

人生に彩りを与えてくれた2人の英雄に、心からの感謝を。


追いかけていこう、そして、照らし続けていこう。この眩い光を。


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