ちいかわ6巻 モモンガの存在のせつなさ

 「眩しいっ…」。モモンガが眼を細めたのは、ちいかわとハチワレの背後から射し込む朝日のせいなのか。労働の後、その報酬で食べる朝定食、満腹と睡眠、ささやかな幸せを「サイコー」と友人と共有する喜び、それを目の当たりにして眩しさを感じたのではないか。
 モモンガはかわいこぶるために、ちいかわの言動や表情をまねている。相手の感情を知るためには、相手の表情をまねてみるとよいということを聞いたことがある。もしかしたらモモンガの中に、ちいかわの表情をまねるうちに、ちいかわが持つような感情が生まれてくることはないだろうか。
  モモンガは、おそらく元はでかつよで、なんらかの方法でモモンガの肉体と入れ替わっている。そのため、モモンガのために泣いている子がいる。そしてモモンガはすこぶる性格が悪くトラブルメーカーだ。だからモモンガ大嫌いという読者も多い。しかし、モモンガを愛してしまっている読者も多い。私がそうだ。
 X(旧Twitter)を読み進めていくと、モモンガにはカニちゃんという友達ができる。モモンガはカニちゃんのことをなんとも思っていないようだが、カニちゃんはモモンガが大好きである。ちいかわの世界には家族の概念がない。だから親子の愛もなく、恋愛や性愛もない。肉体の部分でつながらない魂の愛の世界である。
 モモンガのことを考えるとつらい。カニちゃんや私は、モモンガを愛してしまった。しかし、モモンガは偽りの存在だ。いつかもとに戻るのか。カニちゃんとモモンガが仲良くなればなるほど、私はせつない、つらい。

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