きゃりーぱみゅぱみゅは日本語だ

日本語を母語としない外国にルーツをもつ子どもたちに、日本語の補充授業をしている。国語教育には携わっているが、日本語教育は素人に近く、資格も持っていないので、市販のテキストを見ながら手探りでやっている。日頃意識しない日本語の特徴に気づくことが多くたいへん面白い。

きゃりーぱみゅぱみゅは、ドラえもんが道具を取り出すときのように言うと言いやすいという説がある。そして実際に言ってみると本当にそうである。

日本語の教科書の最初のところに、拍について書いてある。日本語を母語とする者は、おそらくその拍について意識することがほとんどないとだろう。
基本的に、かな一文字で一拍。長音(のばす音)、撥音(ん)も一拍。促音(っ)も一拍。拗音(きゃ等)は「き」と「ゃ」を合わせて一音である。日本語を母語としない人が「べんきょ(勉強)します」「いて(行って)きます」とぎこちなくなるのは、言葉を正確に覚えていないのではなく、のばすところやつまるところの拍をきちんととらないからであろう。

さて、きゃりーぱみゅぱみゅであるが、言いにくいところはぱみゅぱみゅの部分である。「ぱみぱみ」ならどうだろう。これは言えるのである、簡単に。「ぱ」と「みゅ」が合わさるととたんに口がもつれてしまう。「み」ではなくその次の「ゅ」に引きずられる。混乱してしまう。「ぱ」のとき「みゅ」のこと(特に小さいゅ)を意識し過ぎるから言えなくなるのだ。

ドラえもん風に言う、これは日本語の拍を意識して言うということである。「ぱみゅは「ぱ」と「み」と「ゅ」ではなく、当然「ぱみ」と「ゅ」でもない。日本語の正しい拍の取り方では「ぱ」「みゅ」の二拍である。これを意識して言うとぱみゅぱみゅはこわくない。ドラえもんの真似をしなくても手を叩きながら「ぱ、 みゅ、 ぱ、 みゅ」と言ってみるといい。高速で手を叩けば高速でぱみゅぱみゅと言えるようになるのでためしてほしい。マサチューセッツも「ま、さ、ちゅ、う、せ、っ、つ」である。(ただし日本語としてのマサチューセッツであるが。)

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