FILE4 逃避 012
「人が死ぬところを見せてやろうか?」
両肩をすごい力でつかんで、そいつは私を引き寄せた。すぐ目の前に、そいつの顔があった。まっすぐに私を見据える両の目は、私の目を通り過ぎて、私の内側をのぞき見ていた。位置的にはあっているはずの視線が合わないことにも恐怖を感じ、私のなにをのぞき見られているのかと思うと、ぞっと冷たいものが身体を駆け回った。
ひきずられて、暗いところへ連れて行かれそうで、こころの底から恐怖が込み上げてきた。
「ほら、あの部屋へ行くぞ。血にまみれた、あの僕らの部