#57 学会・研究会は発表しなくてもとりあえず聴きに行くのが良い

なぜ学会参加をすすめるのか

学会や研究会には、自分が発表しなくても、特別興味のある発表者がいなくても、とりあえず聴きに行くのが良い(特に論文をこれから書くあるいは書いている学生は!)。改めてそう思った1日だったので、忘れないうちにまとめておこうと思う。

※まとめた内容のみ読みたい場合は目次からどうぞ。

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学会のイメージ?学部生にはあまり縁が無いし分からないと思う。実際私も、造園学会のデザインコンペの発表で参加したのが初めてだった(当時B3)。その時は研究発表の方には参加していないので、実際のセッションに参加したのはM1になってからだったと思う。

なので、今回の投稿での"学生"はB3以上を想定しています。

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今日は査読なしの研究発表会を聴きに行ってきた。私の専攻では、造園、都市計画、土木の景観部門が一番身近な学会だ。しかし修士の研究はそれらの分野からはだいぶ離れてしまったので、心理的距離が遠い状態だった。プログラムを見ても前ほど興味が湧かなくなっていた。今回もわざわざお金払って行かなくても良いかなと思っていたけれど、友人も発表することだし、まあ行ってみるかくらいの気持ちで会場に向かった。

しかし行って聴き始めたら、予想外に面白い。半日、3セッション(1セッション100分)でiosのメモがすごい長さになった。

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冒頭にも書いたけれど、(研究に対してモチベーションのある)学生はとりあえず聴きに行った方が良い。その理由3点を簡単に書いてみる。

1.今どんなことが研究されているのか

今何に着目した研究が多いのかを知ることは、その分野を知る第一歩だと思う。もし自分は今回発表しないからという理由で参加しなければ、自分の研究が時代遅れだったり的を得ていないことにいつまでも気づけないかも知れない。

また同時に、今後の研究の一手をどこにするかと言うことに関しても、全体の動きを見ていなければ当然的確な判断をすることはできない。特に学生は研究の蓄積という意味では大学等の研究者たちには敵わないし、そういう人たちみたいな勘も働かない。

だからとにかく、情報収集のためにも足を運ぶべきだと思う。知らなかったら何も始まらないし、生まれない。

2.どんな人がいるか

学会に参加すると、要は同じ分野の研究をしている人が集まるわけだから(しかも大体毎年同じメンバー)、その分野独特の雰囲気が感じられる。そこで、どこ大学の誰先生が来ているとか、どの人とどの人が仲が良さそうだとか、そういう研究者同士のつながりがなんとなく外から見ていてわかる。

またセッションの質疑応答でも、誰が何を発言するのか、またそれに対して誰がどう反応するのか、そういうことに注意して聴いていると、研究者同士のつながりはより良く見えてくる。

そうすると、論文検索する時などに誰の名前で検索するか見当がつく。数人知れば、芋づる式に?と言っていいか分からないけれど、誰先生系統の研究かも見えてくる。

同じ会場にいるすごい先生たちとは直接関わりを持つことはないかも知れない。でも、そういう参考にしたい人の発言や発表の仕方など、見て学べるところはたくさんある。
それに、今まで知らなくても、面白そうな人を見つけたらその場で検索してみたら意外な事がわかっる場合も多い。

例えば自分がよく論文を読んでいる先生と一緒に本を書いていたとか。

どんな世界でも人のつながりを知ったり、その中に入っていくことは、なにかのきっかけになる。それがちょと先の将来だったとしても。

3.研究へのヒントとモチベーション

ヒントとモチベーションをもらうという意味で二つ要因があると思う。

①研究発表
目的に対してどのようなアプローチで研究したのかと言った手法、また研究のフレームワークは内容が関係なくても参考になる場合がある。

今回もある人の発表を聴いていたら、分析方法で参考になる部分があって、聴きながら自分の研究に当てはめてみたりしたし、

とてもわかりやすく年表をまとめている発表では、自分だったらここをこの項目に当てはめて…みたいにアレンジした表を思いついて書いてみたりもした。

途中から話半分で思いついたことを裏紙にバーっとメモしていくのがとても楽しい。


面白い発表には2種類あって、一つは内容自体が新鮮で情報をついメモしてしまうもの。もう一つは上に書いた、アイデアが降ってくるものだ。

前者はこれから取り組みたいことへのヒントとモチベーションをくれるし、後者は今の研究へのヒントとモチベーションをくれる。

②学会で知り合った他所属の人
普段同じ研究領域の話をする人は、大学の研究室か同じ専攻の他研究室の人に限られる。しかし学会に来ると、以前そこで知り合った友人や研修先で出会った先輩や研究者などと久しぶりに再会することができる。

お互いの近況を聞いたり、情報交換ができる数少ない場所だと思う。そこでその人たちの活躍や取り組んでいることを聞くと、自分も頑張ろうとか負けてられないなとか(別に勝負ではないけれど)少なからず刺激を受ける。

個人的にはバカみたいな話を友達とするのも楽しいけれど、なんというか、他の場ではちょっと鼻にかかって聞こえるような意識高めの会話を気兼ねなくできる人達との会話も時には必要だと思う。

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今回色々な具体的な研究からも、発表者や再開した人たちからも刺激を受けたので、細かいことを書き始めたらきりがないのでこの辺で。

さいごに、今回気づいたこととして、今活躍している研究者たちは毎年欠かさず、途中経過の報告でも何かしら発信している、ということがある。何年かに一回目にする人たちは、自ら発表するときしか来ていない。あんまり偉そうなことをいうつもりもないしこれはただの個人的な考えだけれど、やっぱりそこが差がつくポイントなんじゃないかと思う。

同じように書くのには多少無理やりなところがあるかもしれないけれど、

仕事はとりあえずでいいから、ざっと形を作って見せて、フィードバックをもらった方がうまく行くことと似ている思う。

私自身は発表してないし、所属研究室によってどれくらい学会発表を重視するかは違うのでなんとも言えないけれど、毎年参加するという最低限のことを続けるだけでも得られるものは大きいと思う(発表しなくても何かしらのフィードバックは得られるということ)。

だから躊躇わずに聴きに行くのをおすすめする。

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あるセッションで、研究手法について発表していた人がいて、そこで紹介されていて本。こういう本もっと早く知りたかった。



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