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令和3年大田区議会第3定例会の代表質問 2021/9/16

令和3年第3定例会の代表質問(25分) 2021/9/16

エール大田区議団の平野春望です。
代表質問に入る前に、わが会派の故北澤順子議員に謹んで哀悼の意を表させて頂きます。故北澤順子議員は病を押して最後まで議会の質問準備をされていました。そのご意志をしっかりと受け継いでいきたいと思います。心よりご冥福をお祈りいたします。

それでは質問に入ります。
① 大田区の職員体制について、まずは新型コロナウイルス感染拡大における保健所体制の強化について、伺います。
新型コロナウイルス感染症は、デルタ株の急速な感染により、7月に入った頃から陽性者数が急増し、陽性者が入院できず、自宅待機になることが増えました。8月に入り、大田区でも自宅療養者が2000人を超える日が続き、その対応に、区の保健所職員も追われるような事態になりました。
その中でも区職員は大変な状況に対して、応援体制を組みながら、全庁一丸となって対応して頂いたことに敬意を表します。しかし、一方でこの状況が長引けば当然現場の職員も疲弊していきます。そして、保健所に電話がつながらないことや、入院や医療機関にかかれない区民から多くのご相談があったことは忘れてはいけないことだと思います。
 
こういった状況を対応するために、例えば墨田区は新型コロナウイルス感染症が発生する前は感染症担当職員が10人でしたが、2020年4月から人材派遣会社からの保健師や他部署からの応援で順次増員して、現在は100人体制になっていると聞いております。

そもそも保健所は感染症対策だけでなく、難病や精神保健に関する相談、薬事・食品衛生など様々な専門性の高い業務を行っています。特に母子保健の分野は虐待のサインの見落としが無いように、保健師の目配りも必要ではないかと思います。区もアウトリーチ型の支援を拡充する中で、今後も保健所や保健師の役割は益々重要になってくるのではないでしょうか。

そこで伺います。令和元年度、令和2年度と令和3年度の保健所の職員体制は強化されてきたと認識しております。しかし保健所の仕事は多岐に渡り、区民の不安を解消するためにも、これからも更なる保健所機能の体制強化、増員の必要性があると考えますが、区の見解をお答えください。

また、先ほどの保健所の体制も含む、区の職員体制についてです。
年々激甚化する災害により、避難所の開設など区職員の災害時の業務は増えています。そして区は正規職員の不足を非正規職員、2019年から会計年度任用職員の活用で対応しています。しかし会計年度任用職員については、災害時の対応を出来ないわけではないが、採用時に明示しないといけないことや、また短時間勤務や兼務をしているので災害時の対応は難しいと聞いております。
感染症対応の保健所の職員体制もですが、年々災害が増え、激甚化する中で、適切な職員定数について考えるべき時期に来たのではないでしょうか。
7月の総務財政委員会でも報告があった、令和4年度から令和5年度の大田区職員定数基本計画によると、令和五年度には職員定数が4135人に対して、現員数が4132人になり、このような状況を避けるために職員の現員数を削減した場合、行政需要に対応するための人員が確保できない事態が予想される、ともあります。
 人口減少社会で人材不足が始まる中で、こういった事態をさけるためにも、今後条例の職員定数の見直しを検討すべきである、と改めて要望しておきたいと思います。

② 次に、大田区版地域共生社会について、伺います。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大にともない、今年に入ってから東京都では、
緊急事態宣言が出ている日数の方が多く、人が集まる大きなイベントは中止になったり、あったとしても参加しにくい状況になっています。その中で一人暮らしをしている方で真面目に外出を減らして、自粛要請を守っている方ほど、特に孤独や孤立を感じやすくなっていると伺いました。私も一人暮らしなので相当、一人の時間が増えました。

先日の日経新聞に2022年度内閣官房の概算要求として孤独・孤立対策として1億8千万円を計上するという記事がありました。政府もコロナ禍で問題になっている孤独・孤立への対応を重要施策として掲げています。国として自殺防止の取り組み、相談支援、居場所づくりなど今も区の施策でやっていることもあると思いますが、横の連携をとってしっかり対応していこうという考えが伺えます。大田区としてもこういった孤独・孤立対策に横串を入れて、連携をとって対応していくことは重要と考えます。

この相談支援、居場所づくり、横の連携という考えで、気になるのが、昨年の第四回定例会の代表質問でも伺った、大田区版地域共生社会についてです。
「地域共生社会」や「大田区版地域共生社会」は、今年の三月に策定された、「おおた高齢者施策推進プラン」と「おおた障がい施策推進プラン」の中に何度も出てきます。社会福祉法の改正も受けて、高齢者、障がい者、子ども・子育て、生活困窮者等を含めた包括的な支援体制を整備するもの、厚労省のHPでは重層的支援体制整備事業というものに当たります。これには「属性や世代を問わない相談支援」「参加支援」「地域づくりに向けた支援」の三つの支援が必要になります。

区は「大田区版地域共生社会」に向けて、昨年より更に深化して進めていると思います。コロナ禍で、その現状はどうなのでしょうか。そして、その中で重要だと感じる「居場所」やコーディネーター機能について、区の見解を求めます。

③ 次に、成年後見制度について、伺います。
昨年末、老いじたく相談会の話を聞かせて頂きました。その中で、相談に乗られている司法書士の方が仰っていたのは、「前向きに老い支度をして欲しい、どう生きるか、どう終わりを迎えるか、前向きになるべく早く準備して頂くのが大事」と話されていました。
また、令和3年4月15日の健康福祉委員会の老い支度の相談会の実施結果報告にあるように、相談内容の一位は相続・遺言、二位は後見です。
先ほどの司法書士の方からも認知症になったらどうするかご相談があって、将来判断能力が弱った時に備えて、本人自らが選んだ人に代わりにしてほしいことを契約する、任意後見制度のご紹介をしたと仰ってました。その一方で区の想定より成年後見制度の利用や周知が進んでいないという話も聞きました。

そして参加した、ある勉強会では成年後見制度の問題点が話されており、
精神障がいの方の後見人を担当した社会福祉士の方からは、個人の責任がつらい、地域で支える仕組みが作れないかという話をされていました。
そして、障がい当事者の方からは、成年後見制度は本人の意思の尊重に関しては障害者権利条約の面から重大な懸念があるというお話がありました。

区の成年後見制度利用促進中核機関では、支援者向けの手引きや、支援検討会議の開催などで権利擁護の視点から支援に取り込むことを後押しする取り組みをしていると聞いていますが、どのような取り組みが行われていますでしょうか。

また、今年の8月からは、成年後見制度等利用促進協議会で権利擁護がされる地域づくりをチームでされていると聞いております。今後、どのように成年後見制度の利用者本人の意思を尊重しながら、権利擁護がされて運営されていくのか、区の見解をお示しください。

④ 次に、区民の声を活かしていく大田区政について。伺います。
区の計画策定についてですが、例えば、おおた未来プランの策定の例でいうと、区民公募委員等により構成される審議会発足。区民アンケート調査をして、その調査結果や審議会の答申を踏まえて作成した基本計画(素案)の公表があり、この素案について区民との意見交換会、パブリックコメントを経て、基本計画の策定という運びになります。
この時、区民の皆様の声をこの意見交換会やパブリックコメントなどで区政に反映されていると思います。またこれ以外も直接各部局にお問い合わせ頂いたり、広報広聴課の区政の声にご意見を頂くこともあるでしょう。

ある会議体や団体の集まり、勉強会に参加した時に、参加者の声が区政に生かされているという実感がない、区民の声を聴いてほしいというご意見を頂きました。

区としても計画策定に対して、パブリックコメントやワークショップなどを通して、様々な区民の意見を聴取していると思いますが、現状はどういった形で区民の意見を区政に反映しているのでしょうか。例えばワークショップの回数を増やして区民意見を聞いたり、じっくり時間をかけて計画や説明会についての理解を求めてはいかがでしょうか。今後さらに区民参画を促すためにも、どういった工夫が考えられるのか、区民の声を生かしていく大田区政について、区長の見解をお答えください。

⑤ 次に、コロナ禍の生活困窮者支援について、伺います。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、企業の経営や雇用の様子は一変しました。
少し前のデータですが、独立行政法人 労働政策研究・研修機構によると、2021年1月の企業の生産・売上額等を前年同月で比較すると、増加した企業割合は 16.8%にとどまる一方、依然として 5 割以上の企業では前年の水準に戻っておらず、飲食・宿泊業では9割以上、サービス業、運輸業、小売業では6割以上の企業で減少となるなど、産業間の差が大きくなっています。

また企業における 2021 年1月の労働者の前年同月との増減の状況をみると、約4分の3の企業がほぼ同じとなっているが、減少した企業割合は 14.9%と、増加した企業割合の 9.8%を上回っており、特に飲食・宿泊業においては5割以上の企業で減少しています。

今回のコロナによる雇用への影響を見ると、多くの部分が、正規雇用ではなく、パート・アルバイトなど非正規雇用等の減少となって表れています。
その理由の一つとして、今回のコロナショックでダメージを受けた業種が飲食・宿泊業などパート・アルバイトの雇用を多く抱えている業種が多かったことがあげられており、実際に、営業自粛に追い込まれた飲食業や、宿泊客が急減した宿泊業の多くの店舗ではパート・アルバイトの稼働を大きく減らしています。

2020年の正規非正規雇用者数をみると、正規雇用では5月以外は前年同月比プラス、非正規雇用は7月に前年同月比131万人減と過去最大の減少幅でした。
こういった新型コロナウイルス感染症の影響による休業や失業で、生活に困っている方に向けて、緊急小口資金等の特例貸付、住居確保給付金、最近では新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援資金という新しい給付金も始まりました。

またこれらの制度の他に従前からの生活保護というセーフティネットがあります。
区の生活保護の動向をみると、令和3年度4月の時点ではコロナウイルス感染症の感染が始まる令和元年の10月とみても受給者数や保護率は減っております。これは特例貸付や給付金がセーフティネットとして機能しているのか、それとも生活に困っている方を適切に補足出来てないのか、判断が難しいところです。

生活保護に関しては、厚労省も「生活保護の申請は国民の権利」とはっきりといっています。困った方は躊躇なく生活保護を使って頂きたいと思います。一方で、働く意欲があるのに中々仕事が決まらない、一年以上仕事をしていなくて不安だ、というような区民には、伴走型の寄り添った就労支援や生活再建を、ジョボタなどを通して進めていくことが重要であると考えます。

そこで質問します。これらの生活困窮者への支援制度についての区の現状と、今後、生活に困っている方が、生活再建ができるための対応について、区のお考えをお答えください。

⑥ 次に、新型コロナウイルス感染拡大における「学びの保障」について。伺います。
従来とは違うデルタ株による新型コロナウイルス感染症の拡大により、大田区内の陽性者数も一気に増え、一時は一日に300人を超す日もありました。その中で、8月27日に大田区立小中学校は二学期の対応を発表しました。そこには9月第一週の短縮授業や二週目からは通常授業としながらも、登校に不安を感じている児童・生徒については、その際、タブレット端末を活用して、オンラインによる学びの保障を行うとあります。このオンライン授業のその後の実施状況と課題についてお答えください。

また、現在、登校に不安を感じている児童生徒については、出席停止扱いと聞いております。保護者の方から、これを出席扱いにして欲しいという声を聞いております。
例えば、江戸川区の教育委員会ではオンラインでも学習成果を確認できれば「出席として認めることも可能」と区立学校に通知しています。担当者は「児童生徒の不利益にならないよう配慮した」とコメントしています。

一方で、児童生徒、特に小学校の低学年などはオンライン授業を自分だけで受けられるか、タブレットの前に一人で座っている事が出来るか不安も覚えます。私も昨年の第四定例会の代表質問では、学校は、勉強をするだけではなく、集団や人との関わりを学んだり、社会性を身に着ける場の一つとして大変重要な役割を果たすと考えていると発言させて頂きました。
しかし、今までと違い、デルタ株の影響もあり、子どもにも感染者が多く出ているこの状況では、児童生徒や保護者の方の不安に寄り添った対応をして頂きたいと考えております。

⑦ 質問します。こういった状況下で、オンライン授業を出席扱いにする、もしくは出席停止扱いでも、進級や進学が不利にならないように、影響がないように配慮して頂きたいと思いますが、教育長の見解を伺います。

以上、様々質問をさせて頂きましたが、コロナ禍で苦しむ区民に寄り添った区政を求めて、エールおおた区議団の代表質問を終わります。ありがとうございました。

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