フリー素材は「free(自由)」ではない


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 きれいな写真を使いたくても自分では上手く撮れない時や、動画などで良いBGMを流したくても自分で作るのは難しいと思ったときに役に立つのがフリー素材というものだ。フリー素材とは素材とされる作品のうち、作者の許諾により「利用に制限を設けていない」もしくは「制限がほとんどない」とされる素材のことで、代表的なジャンルは「写真(イラスト)素材」「音楽(サウンド)素材」「フォント素材」などである。コストを抑え手軽に使えるという理由で最近では、個人だけではなく大手企業にも利用が広がっていて例えば写真素材は、番組動画のテロップ・ニュースサイトのアイキャッチ・バナー広告などによく利用される。代表的なサイトには「ぱくたそ」や「いらすとや」などがある。僕も「いらすとや」を利用したことがあるが、様々なジャンルにイラストが細かく分類されており、非常にマニアックなイラストがたくさんあったのでとても驚いた。

 しかしフリー素材だからといって、なんでもかんでも自由に使えるというわけではない。なぜならフリー素材にも著作権があるからだ。そもそも著作権とは何なのか。著作権には大きく分けて著作権(財産権)と著作者人格権というものがある。著作権(財産権)とは「自分が生み出した作品で対価を得られる機会を制作者にきちんと保証するための権利」であり、著作者人格権とは「自分が生み出した作品に対する評価・名誉・感情を守るための権利」である。日本では著作権の発生については無方式主義を採用しており、例えばAさんが「犬の絵」を描いた場合、その絵を描いた瞬間にその「犬の絵」についての著作権(財産権)と著作者人格権が自然に発生する仕組みになっている。つまりいい加減にフリー素材を使うと著作権侵害で訴えられて、罪に問われる可能性もあるということである。

 それを防ぐためにもフリー素材のサイトに記載されている利用規約を読み、守る必要がある。例えば利用規約で商用利用が禁止されているとき、そのフリー素材を雑誌や企業のサイトで使ってはいけないし、たとえ個人利用でも商用利用にあたる場合があるので注意が必要である。また、利用規約で画像の改変が認められていないこともある。自分の文章に合うように写真の縦と横の比を変えたいと思ったら、利用規約に違反していないかの確認が必要である。フリー素材の写真に人が移っているときも注意が必要だ。その人の許可を取らずにサイトに上がっている場合もあり、その場合その素材をあげた人だけではなく、使った人も肖像権で訴えられる可能性もある。このようにフリー素材には様々な危険が潜んでいるので、よく考えて使用しなければならない。