これからの「正義」の話をしよう

高校3年生かな?コロナが蔓延している中で、国ごとに異なる様々な政治の在り方を目の当たりにするが、正義ってなんなのかを道徳的、倫理的にこの本なら教えてくれるかなと思って手に取ってみた。

作者のサンデルは、宮台真司も語っているように共同的自己決定主義者である。様々な思想を題材に批判を繰り返すが最終的に行き着く先がこれだった。功利主義でも、実力主義、平等主義でもなく、共同的自己決定主義。多元化し、価値観が多様化した社会だからこそ自分とは異なる他人を理解しようとする心、人格を尊重することが大切であり、共同体のための決定が自分にも利益をもたらす。
共同体意識が空洞化した中で自粛期間が続くと周りへの意識も薄くなってしまうが、共同体の利益を第一に行動することが求められている。また、アフターコロナの世界でも、地球全体での最適な行動がより一層求められる。

まさに今読むべき一冊だった。男女関係なく人格を尊重すること、現代を生きるには共同体の利益を第一に生きることの大切さが最も響いた。
個人的に押せたのが、ロールズの平等主義の正義論で、才能がもたらした報酬は共同体の利益として扱うべきだという思考が、鬼滅の刃に出てくる炎柱の杏寿朗のお母さんが「弱き者を助けるのは強き者の使命です」って言っているのと似てるなって思い感慨深かった笑

以下メモ
4月10日 これからの「正義」の話をしよう
正義の捉え方
功利主義、リバタリアン、実力主義、アフォーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)、善良な生活(アリストテレス)、進歩主義
カント: 自由とは自ら定めた法に則り、自律的に行動すること。尊重とは人格を究極の目的として扱うこと。道徳的か否かは動機によって決まる。義務意識から生まれた行動のみ道徳的な価値を持つ。
ロールズ: 無知のベール、平等主義の正義論。才能がもたらした報酬は共同体全体の利益として扱う。
アリストテレス: 正義は目的因(目的、目標、本質)に関わる。また、名誉、称賛の美徳は何かに関わる。政治の目的は善良な生活を市民に送らせること。その為には、適格な役割をその人に与える必要がある。
サンデル: 人は社会に埋め込まれた存在であり、共同的自己決定主義=共和主義の文脈で正義を解釈しなければならない。社会には物語がある。
多元的な社会では最善の人生は人によって異なる。また、道徳的・宗教的心情も異なる。だからこそ相互的尊重が必要で、異なる意見を聞き、議論することが大事である。道徳に関与する政治は公正な社会実現につながるはずだ。
道徳的責任
自然的義務: 普遍的
自発的責務: 個人的 契約的
連帯的責務: 個人的 強制的

過剰すぎる偏りは良くない。どれも利点、欠点があり、道徳的心情に基づいた動機や自主法律に則り行動することが大事。また、現代社会は多元的社会であり、様々な道徳的心情、人格を持った人間がいて、そうした人と連帯感を持って生きることが善良な生活形成につながる。異なる意見を否定してはいけないし、人格を尊重していきたい!

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