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飛躍の年にしようぜ


たった今、アルバムが出来上がりましたよ。音のほうは今日のマスタリングで完成。昼の1時からスタジオ入ってて、午前5時まで。直接のレコーディングじゃないので、エンジニアの方が作業してて1曲出来上がると確認。ほとんどの時間が待ち。
今日のマスタリングルームにはエンジニアの趣味か、こういう時間を持て余す僕たちへの心遣いか、漫画が結構たくさんあって、僕は今日『はじめの一歩』を24巻から62巻くらいまで読みふけってたよ。ものすごく面白い漫画でさぁ、ボクシングの歌作りたくなるくらい。目指せ アリス!になるけどね。ちなみに「Mugen」のときに24巻まで読んでいた。
この4thアルバムが、リスナーにどんなふうに届くのか、毎回のことながら期待と不安が 入り混じる今の時期。
過去の3枚もそうだったけど、僕たちはアルバムを2月か3月にリリースするっていうサイクルになってるから、自然にアルバムがその1年の活動の指針になる。
例えば去年、2002年は3rdの『雲をも摑む民』を受けて、ライブばっかりの年だった。 逆に、レコーディングが始まる時点で、2002年はライブをたくさんやることを知っていた
から、あのような作品になったともいえる。リンクしている。意識的にも無意識的にも。 『雲をも摑む民』は、他の作品と比べて多少なりとも内向的というか、ともすれば地味とも受けとられかねない内容かもしれない。比較的という範囲でだけど。
でも去年やったツアーは、可能な限り全国をくまなく回り、市民会館クラスの会場で手渡しで曲を届けることができるという規模だ ったので、きっとその1曲1曲がちゃんと伝わるだろうと確信していた。
じゃあ4thはどうだ……、
ということで、今回のテーマは「飛躍の年にしようぜ」です。 僕が何より欲しくて、何より恐れてるのが〃安定〃。
いや、演奏の安定感は欲しいばかりだが……その他のことね。私生活でもバンドの活動でも。 ここでは私生活のことを語ってもしょうがないので、もちろんバンドの活動のほうに焦点を当てていくのだけど。
ポルノグラフィティは4年目。これまでたくさんの人からの愛情で実に充実した濃密な時間だった。これがバンドの財産であることに間違いはない。この財産っていう比喩が示すとおり 使おうと思えば使えるんだよね、財産って。それを小出しに小出しに使っていけば、これまでの4年間の活動をトレースするだけで、しばらくやっていけそうでもある。
でも口で言うほど簡単じゃないのは何事もそう。これまでの4年間は、自分にとっては、未知の世界だったからこそ精一杯の情熱が注げた。もう一度、それをトレースするということは、経験があるから安定はするだろうけど、同じ情熱は無理だろうね。安定って面白くない。だから2003年の目標は「飛躍の年にしよう」にしたんだよね。当たり前すぎるし、あまりにも漠然とした言葉。だから今回のアルバム、それを受けての活動で具体化しようと思ってる。それがとりあえず4thに表れているといいな。
やってこなかったことに挑戦するのにも勇気はいるし、やってきたことを一度壊してみるっていうのにも別の勇気がいることなんだろう。
「自宅にて」

ググってみると、ベンチャー企業が20年続く可能性は0.3% と日経ビジネスに書いてあった。
バンド結成もある意味ではベンチャーみたいなものだとしたら、20年以上続くポルノに就職できたのはラッキーだったと言えるかもしれない。
ただやっぱりロックバンドと企業は存在意義が違うので、続いたことをそのまま価値と捉えるわけにはいかない。
従来の価値観でいうロックバンドとは、安定と逆のものが必要とされる。刹那的だとか、破滅的だとか、そういった常態化できないもの。
燃費良く、丈夫に、人も荷物もたくさん載せられ、そして多少ぞんざいに扱っても文句を言わない忍耐を持っている、などは乗用車に求められる価値観だが、それはそのままレーシングカーには当てはまらないし、レーシングカーに求められる価値観、例えばアクセルを踏んだら3秒あまりで時速100kmに達する加速力は、乗用車にとっては全くいらないものだ。ついでに書くと時速100kmのあと1.5秒で200kmに達するらしい。
もし俺の車にそんな性能があったら、信号が青に変わっても前の車がだいぶ進まないと怖くてアクセルを踏めず、後続車からクラクションの嵐を浴びることになると思う。また、ドライブデートをしても、車内で小粋なトークをするどころか、引きつった俺の横顔に女の子はきっと引くと思う。
話は逸れたが、価値観とはそういうもの。特定のジャンルに特定の価値観がある。安定はロックバンドには必要とされていないどころか、不必要とさえ言える。
その意味だけでいうと20年という時間は安定を示す長さで、ロックバンドになりたい!と思ったあの頃の自分の思いに対して、こんなに続けてしまって申し訳ないという気持ちも湧いてくる。
しかし、だ。続いてしまったものは仕方ない。
時代は進み、例えば男らしい、女らしい、という価値観も変化して多様性が尊ばれる世の中に、ロックバンドという画一的なものの見方だけでいいのか、という考え方もできる。
あなたらしい、が認められるならポルノらしい、もいいのではないか。そんなふうに自分を納得させることもできる。
「破滅に向かって」というタイトルのツアーをやるのはX JAPANはかっこいいが、ポルノらしくはないし、今更タトゥーを入れて歳をとった母ちゃんを悲しませたくもない。
安定の上にあぐらをかく事は許されないが、ポルノらしくとは何だろうと考えていく時期か。そのために、やってこなかったことは何だろうとか、壊すべきものは何だろう、と考える。

おまけ

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