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空気に馴染む

新幹線の路線が増えたのか、新幹線のスピードが前より上がったのか、ライヴ先が東京近郊以外のところでも当日入りのところが増えてきました。
古いタイプのツアー人としての僕は寂しいところもありますが、時間を有効に使えるというありがたさもあります。
コロナ禍の昨今は、なおさら効率的に移動していました。
もちろん会場に入ってから、ウォーミングアップとリハーサルの時間は十分に取れるように、です。
さっときて、いいライヴやって、さっと去る、なんかかっこいい。
なんて思っていましたが、今回のツアーでは新しい発見、というか再発見がありました。

今回のツアーには移動日があります。一度東京に帰るほどではない日程ではライヴ先から直接、次の会場のある街に移動するという日です。
すると自然に前の日からその街の空気を吸うことになるわけです。空気だけでなく食べ物やお酒も。
そういう時間があることで、自分の体がちょっとだけその土地に馴染んでいく感じがします。もちろん気のせいなんでしょうけど。
ライヴ当日も、いつもより早く会場入りができます。
僕以外の人たち、スタッフはせっせと仕込みをしていますから、ちょっと迷惑そうな顔をされながらも、長い時間会場で過ごすと、なんとなく馴染んでいきます。その場に。

ワインが好きな知人に教えてもらいましたが、自宅にあるいいワインをレストランに持ち込む場合、少なくとも数日前にはお店に届くように送るらしいです。
ワインの場合は輸送中にビンの中で舞い上がった澱を落ち着かせるためなんですが、これだってその場の空気に馴染ませるためと言い換えることができなくもありません。そうすると美味しいからです。

ライヴの時もそうで、その場の空気に馴染んでいたら、舞台袖から本番のステージへ向かうとき案外すんなりと足が進んだりします。
気のせいでしょうけど、気のせいって大切です。

「ある男」 平野啓一郎

を読みました。今回は感想文とかじゃないです。

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以前「マチネの終わりに」を読みそれが素晴らしくて、その後立て続けに何冊か読んだ作家で、今回久しぶりに手に取りました。
平野さんの作品は、本人の思想みたいなものがセリフによって語られているのかと思わせるほど、登場人物たちが皆、独特の哲学を持っていたりします。僕はこれが好きなんですが。ちょっと小難しい感じが。

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