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友だちの話

最近読んだ本の話でも。
ツアー中なんで移動が多いもので。

「傲慢と善良」辻村深月

です。

婚活をして出会った二人がああだこうだとなっていく恋愛ミステリーです。

傲慢と善良、という言葉は、登場する結婚相談所の女性の言葉で出てきます。
彼女がいうには、現代の人は自己評価が高すぎて=傲慢、であって、同時に人の言葉や環境に合わそうとする=善良である、といいます。
この本来は相反する価値観を、人がごく自然に自分の中に持っている複雑さを描いています。

この小説、徹頭徹尾、意地悪なんです。僕みたいな傲慢な人間にとって。
僕のどこが傲慢か、主人公の架くんが丁寧に説明してくれる感じです。

架くんは失踪した恋人の過去を知ろうと、彼女の出身地(群馬)で彼女を知る人物たちから話を聞きます。
すごいのは架くん。そこで聞いた恋人の過去の話を分析力、推測力が尋常でなくすごい!
架くんはそういう職業の人じゃないんですけどね。
彼女の小さなエピソードから、「これは狭い地域で育まれた見栄ではないか」「人から見たら取るに足らないことでも彼女は密かにプライドを傷つけられたのではないか」という分析力。
そんなに勘がいいなら、恋人が失踪する前になんか気付けただろう、って思うくらい。

僕はこの架くんのある意味、意地の悪い分析が自分にも当てはまって、嫌な気持ちになるのが面白かったです。
意地の悪いと書きましたが、そんな些細な行動や反応を、そんなふうに、そんな深くに読み解かないでよっていうところが多い。

自分の中の触れられたくないところを、ジクジクと説教されたい人は読んでみてください。
この読書感想文は営業妨害になりませんかね?

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1,190字
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