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僕には才能があるのか?

今日、昭仁と楽器屋に行って新しいギタ—を買った。ついさっき。この原稿だって大切なのはわかってるけど、早く書き上げて、それを触りたいのが本音。1週間後の大阪城ホールで初披露できるように、そいつのクセやいいところをいっぱい見つけないといけないから。こう思うと僕は道具が好きみたい。ギタ—だって道具。コレクタ—じゃないから、使う数しか持ってないつもりなんだけど、それでも両手に持ちきれないくらいの本数はいつの間にか持ってた。なんでそんなに増えるかといえば、ギタ—という道具はロマンチックだから。楽器という言い方にしてもいい、ロマンチックだ。つまり箸みたいにひとつあればそれで十分というタイプの道具ではないわけだ。
最初、お金を貯めていちばん欲しいギタ—を買う。憧れのギタリストと同じやつ。同じようには弾けないけど、それを持ってるだけで幸せいっぱい。そうそうこの音。そういえば、あのギタリストは違うタイプのギタ—も使ってたよなぁ……。もう1本欲しくなる。やっぱり幸せいっぱい。そういえば、僕もうひとり憧れてるギタリストいるよなぁ……。はい、もう1本。幸せ。ギタ—って、その材質やメーカー他、さまざまな違いが音に出るのは確か。太い音や柔らかい音、暴れる音やきらびやかな音やね。ただそれ以上に、弾くときの気持ちのほうが音には出ると思う。細かいことを気にするよりも、「俺はジミー •ペイジだ」と思い込めたほうが、ジミー•ペイジの音が出る。そんなふうに酔えるギタ—を肩にかけれてたら、もう幸せ。ギタ—を弾き始めて10年間。そんな感じでギタ—は増える一方です。
前置きが長くなりましたが……。今回は「僕には才能があるのか?」です。
3枚目のアルバムのために、詞や曲を家でこつこつ創っているとき。調子が悪ければ、なおさら繰り返される自問自答。僕には才能があるのか?
イチローってすごいよね。メジャーであんなに活躍できるんじゃもん。才能あるよね。僕にもあんな才能があったら、広島カープに入団するのに……。ん? 才能ってなんだ? 生まれるときに宝くじに当たるみたいな確率で授かる超能力か?と考えてみた。
もしイチローがコックさんだったら。もちろん彼は努力家だろうし、目標の高い人だろうから、おいしいもん作るとは思うけど、今の野球ほどの活躍はできるんだろうか? 野球ほど、 そのシチュ エーションを愛せるのだろうか? できるかもしれないけど、できないかもしれな い。もしイチローがバスケットの選手だったら。もし大工さんだったら。作家だったら。野球 の才能は、誰がどう見てもあるだろう。広辞苑の言う……、「さい—のう 才知と能力。ある個人の一定の素質、または訓練によって得られた能力」はね。
つまり、そのすごい野球の才能を持ったイチローが野球をやってるから、才能があるといわれるんだろう。逆の言い方をすれば、あんまりおいしい料理を作れずに、はやらないレストラ ンのコックさんの中に、イチローと同じくらい野球の才能がある人がいるかもしれない。神様は平等だなどと言うつもりはないが、誰にだって才能はあると思う。のび太くんにだって射撃とあやとりの才能はある。彼は小学生なので射撃の才能を発揮する機会は少ないけど。 大事なのは、なんの才能を持ってるか見つけるということだと思う。速く走れたり、面白い こと言えたりってことだけが才能じゃない。歴史に残るような名言が次々と思い浮かぶことじ やない。それが好きで努力できることだって十分才能。ただ、どれだけ才能を持っていても、なんの才能かわかっていないと、それは眠るしかない。
僕はなんの才能を持ってるんだ?もう発揮できてるのか、まだ眠らせているのか……。
「自宅にて」

英語の先生に勧められて英語で書かれた本を読んでいるのは以前ここで書きました。「マイケルジャクソン・ヒストリー」です。
英語学習者向けに使う語彙を限定した本なのですが、それでも四苦八苦してなんとか読み進めています。
マイケルジャクソンの生い立ちやバイオグラフィはある程度知っていますが、関係代名詞や受け身なんかが混じる英文で読む場合は、何度か読み直さないといけないので、あらためて内容をかみしめることになります。
そうして気づくのはマイケルの才能の凄まじさです。
マイケルは幼少期、兄弟たちと組んだバンド「ジャクソン5」ですでにスターになってます。父親にスパルタ式で鍛えられた経緯もあるのでしょうが、やはり持って生まれた何か、というのはあったんだと思います。
「ジャクソンズ」期を含めて、マイケルの10代は成功の名の下に賞賛や喝采と共にありました。徐々に自我も芽生え、音楽性や人間関係に不満を持つようになったと言いますが、もしこれが僕だったら、十分に達成感を得て浮かれていたと思います。
しかしマイケルは20歳を機にして、周囲の反対をよそにソロプロジェクトに着手します。「オフ ザ ウォール」でそれまで彼がやってきたファンク、R&Bを最高到達点まで昇華させ、「スリラー」でその枠さえも取っ払って誰も達したことのない領域まで突き進みます。
これらのレコーディングの最中はレコード会社の執拗なプレッシャーや、それまで共に歩んできた周りの人間の嫉妬や、それから生まれるお節介な助言もあったことと想像します。
マイケルの中には強い確信があったのでしょう。天命と感じていたのかもしれません。
才能を語るときに、マイケルほどいい教科書はないかもしれません。なんせキング オヴ ポップですからね。権力などを背景とせずに人々から王様と呼ばれるのは相当のことだと思います。

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