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祝・60周年記念!「青池保子展」


梅雨明けした…?と思しき酷暑の候、こちらへ行って参りました。


「漫画家生活60周年記念」とか。
以前京都の国際マンガミュージアムでの展覧会に行ったのはつい数年前のことのように思えてるけど
その時は「漫画家生活50周年記念」だったとのことで、
一緒に行ったTちゃんとは期せずして今回もご一緒~。

毎度のことながら漫画家の展覧会などに行くと驚かされるのはカラー原画の美しさ。

もちろん雑誌の印刷されたページも当時は飽きずに眺めていたものの
原画はより一層細密でこんなに綺麗だったのかとため息ものでした。

展示はデビュー時からスタートして
当時の女史と少女漫画界の変遷をざっくり知れるようになっていて
最初の10年間の両者の変貌ぶりにあらためてびっくり。
昭和40年と50年ではその後の半世紀を超える変化があったように感じられるのですが、
そう感じられるのはわたくしだけ?

ターニングポイントと思われる「イブの息子たち」は当時の読者であった子供としては(正確には中学生になってから友人から借りて読んだ)普通に受け容れてた訳で、
時代を象徴する画期的な作品だったということは
半ば歴史として捉えられるようになった今になって気付くこと。
(爆笑コメディではあったけどオブラートに包まれた黎明期の腐女子御用達のトレンディ・コミック?!)

続いてスペイン・イギリス海軍、スペイン中世史系作品に進み、何度か会場をぐるぐる。

「アルカサス」は最後は死ぬのが判ってるのとお休み期間が長かったために脱落してしまってましたが、
四半世紀前のスペイン旅行に大きくかかわっていた作品で、
女史がご自身の旅行マンガで紹介されていたホテルに泊まったり
セビリア王城や庭園、町を巡る際には主人公に思いを馳せたりしたものでした。

グレープフルーツ誌にスペイン中世の人物のイラストも連載されていましたがこちらも廃刊でそれっきり。

初めてみた「アルカサル‐王城‐」後半のカラーページの表紙には時祷書にみられるような色彩や構図が見られ、美しさに釘付け・・
というかわたくし大好物なのでしょうね。
他にも緻密なペルシャ文様のタイルを背景にしたものがあったり、
それらがまた古色然としているのではなく女史らしい透明感が放たれてる辺りが特徴的で素晴らしかったです。

お腹一杯になってごちそうさまと思ってTちゃんを探していたら第二会場発見!
代表作エロイカや最新作修道士系が…と思ってたけど、
あ、これはひょっとしてドイツ系の部屋なのかも?!

「特別休暇命令」やLaLa誌の「Z」のダーク系な表紙も嘗めるようによく眺めてたものです。
(伯爵だとあまり食指が・・でも今は伯爵の大らかさがじわじわと解るようになり癒されてるかも?
因みにロレンスも和める存在で少佐とZは見ていてちょっとハードでしんどいこともw)

思えば名画や名勝地について教えてもらったのもこの作品でした。
クラナッハの絵やスペイン、チュニジア、メテオラ等々
チュニジアは多分一生行けそうにないけれど、治安が落ち着いたならぜひ行ってみたいものです。

ああ間違いなくわたくしの嗜好を育み構築していった人生に影響を及ぼした世界なんだわと改めて実感。
(そういえば第二外国語は独語。この作品が動機で選択した女子学生が増加した説当該者w)

絵柄やカラー頁の世界観の変化等好みの時期の山と谷がありそうな気もするのですが、
大きな画面のカラーはやっぱり美しい、そして「アルカサル」を読了したい、セビリア行きたいなぁと思った展覧会でした。


折角なので常設の小磯良平展の方にも。
美術館の庭にアトリエが。


内部がすでに西洋画ような。

やっぱり目を引いたのは昭和前期の和服の婦人画でした。
日本人を描いていてもどことなく西洋の香がし、漂うハイソサエティ感。
ベースはフランス留学にあると思っていたけど、これは阪神間モダニズムなのだと今頃気づいた次第。
(ちょっと検索したら「細雪」の連載時の挿絵は画伯だったとか。アトリエは神戸の山手や住吉に)