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「女性画家たちの大阪」展に絡め 優しい嘘の上手い人のおっかさんだった人…から~の婆ァ傾城

大晦日に鍋物の支度をしながらテレビをつけて金爆の出演を待っていたら
流れてきたのは中条きよし氏の「うそ」
あ、勇さん♪(「必殺」の勇次役)とテレビの前に立ち止まり
髷姿の面影を思い浮かべながら(うちの方では週2回「必殺仕事人」が再放送されている)相変わらず色っぺーなぁと眺めていると
♪ あなた残した悪いくせ 夜中に電話かけるくせ~ と、続けて2番も。
おおこれは懐かしいブログを始めるきっかけとなった
ドラマ妄想創作同人時代に大うけしたかの方のパロディ画像を思い出すワと
テロップの歌詞も目にしつつのじっくり鑑賞。

♪あー 一緒になる気もないくせに
 あー 花嫁衣裳はどうするの
 おれは着物が好きだよと
 あついくちづけくれながら
 冷たいうその つける人~

花嫁衣裳は着物が好きと熱いくちづけしながらの見え透いた嘘…
(ひぇーっ、エロい、なんてエロいんだー!)
締めくくり…あ、ダメ押しの如くタイトルの「うそ」!
(想像するだにエロシチュのチュー!
 筋金入りの色男!!)

関係性やパーソナリティに名称や病名がついていてもおかしくなさそうな昨今だけど、
女性の側もだまされていてもいい?! それは何のプレイ?! とか突っ込みたくなったという…w

昔から歌詞が入ってこないタイプで、好きな曲の基準は時代感やドラマチック性など伝わってくる雰囲気が最優先、一番と二番をごちゃ混ぜにしてても何ら気にならないというか、
むしろ作詞って内容より韻を踏んだりしてきこえてくる音を重要視した言葉の組み合わせだったりするんじゃないの?ぐらいにしか思ってないのだけど、
脳内に映画のように展開される場面表現に昭和歌謡の神髄に触れた?
(子供の頃きいてもなんとも思わなかったし、更に聴覚より視覚に訴えられる場合がほとんど!)

す、凄いワ昭和歌謡…!と同時に
さ、さすが勇さんの系譜!と感心することしきり
(あ、違う、子孫でも何でもないんだけどw)
おっかさん山田五十鈴だし!
(あ、違った継母だったわw)
母さんも色っぽかった~てか、粋だったわよね、とも。

と、ここまでが前置きw


暮れも押し詰まった29日に中之島美術館に行ってまいりました。
お目当てはこちら。

大正元年(1912)に20歳で文展に入選した島成園を中心にした女性日本画家をテーマにした展覧会。
わたくし的にはほぼ、大好きな成園さんを鑑賞しに行ったようなもので、
松園、蕉園、成園の「三都三園」大好き♪

20歳の頃、一番最初に存在を知るきっかけとなった作品が「伽羅の薫」
https://www.instagram.com/p/C1UFTrOMKD6/ (画像 公式インスタ)

あまりお好みではないし、生涯製作した作品中では本流から離れた異端の作のように思えるのだけど、
恐らくポスターなんかに採用される確率が一番高いんじゃないかと思われる強烈な異彩を放ったもの。

これを見て思い出されるのが有吉佐和子氏の小説「香華」を舞台化したのをテレビで観たときの
山田五十鈴氏演じる郁代。
主人公朋子(星由里子)の母親。

「香華」は明治の末から昭和にかけての女の一生を描いたもので、
原作では紀州の小地主の家に生まれた朋子の生い立ちから始まるのだけれど、
舞台では実家や婚家から離れ奔放に生きる母親郁代と、
10歳で母親から地方の遊女屋に内芸者として売られた朋子がそこの座敷で再会する場面から。
母親らしからぬ自分のことしか考えない性格で生来の衣裳道楽。
東京暮らしでの再婚相手との不和を経て、憧れるように自ら娼妓になることを望み、
偶然娘が下地っ子として住み込んでいる店へ。
時代がかった大仰な源氏名を用意し、歌舞伎の華魁のような絢爛たるいでたちで艶然と微笑む様は周囲を感嘆させることに。

朋子は11歳で郁代は30歳くらい?
年齢的に配役にかなり無理があるような気がしたのですが、朋子はその幕中ずっと客席に背を向け、
暗転直前で初めて「おかあさん…?!」と振り向く演出だったかと。

そこからの舞台の記憶は断片的なのだけど、
小説で一番印象に残ったシーン、いえ言葉が「婆ァ傾城」
郁代の独特のセンスで見事に仰々しく作り上げられた、場末には凡そ似つかわしくない美しさは
人々を瞠目させ一時は大評判をとるものの、
ある時格子の外の人垣から「よオよォ、婆ァ傾城」との掛け声が。

朋輩の田舎女郎たちは笑い、嫖客たちも口々に「婆ァ傾城」と笑いながら立ち去っていくなか
平然と座り続け、
娘も異様なものであったかもしれない美しさを感じたというキャラ。
(物語の時代設定は成園さんと同じ頃なものの、書かれたのはずっと後の昭和後期)


解説によるとこの絵は成園が自身の母をモデルに
年増の太夫の「傷ましい濃艶さ」を描いたものとのこと。

役者の場合実年齢とはかけ離れた役を演じることが多々あるものの、
それらしく見せる、その世界に観客を引きずり込むのが演技力というものかと。
そんなことを差し引いてもこの郁代という役は
ご自身の生き様ともやや重なるものがあるのではと思わずにはいられないのだけれど、
自ら当たり役を定めた「五十鈴十種」の一つなのだとか。


勇次とりくさんが仕事人として加わったシリーズの初期の頃に
りくさんが、勇二が連れ帰って介抱していた女性に少々嫉妬する場面があったりしたのですが、
あんな色男との一つ屋根の下なんて堪りませんことね。