過去の記憶(ドラマ陽はまた昇る7話遠野教官の最終指導での会話から)

私がちょうど三浦春馬さんくらいの年齢の時だろうか

人の為に犠牲になる正義感でいっぱいだったころに

正義感からしたことが、周囲には胡散臭く思えたのか

自分で「これは皆さんのことを考えてした事です!」

なんて堂々と恩を着せる傲慢さがなかったせいなのか

自分がひどく悪いことをしたような気持ちになっていた

むしろ、どうしてこれだけしているのに、他の人は気づいてくれないのか

という悲しみの中にいた

そんな自分を今の私は「人の為に犠牲になるなんて馬鹿な生き方だ」

と思っていたし、自分の為じゃないなんて思ってもいた

だけど、それは1つのモノの見方に過ぎないのではとまた思う


実際に私は傲慢だったからこそ悲しみの中にいたのだろうが

やったことは悪いことではない

むしろ、その行為を イメージだけで勝手に周囲が

どーせ、こんな人間だろうと決めつけて、都合よく悪者に仕立て上げることの

方が、ずっと罪深いのだと思う


そして私も、その罪深い行為に ひたすら悲しんでいた

この悲しみに人は手を差し伸べたりもするだろう

もしくは気づかないふりを大抵はする


でも、本当に悪いのは、自分が何をしているのかわかってないことだと思う

要するに、評価が他人基準になっているのだと思う

人の為にしたことも、結局は嫌われたくないからだ


この事実をドラマ「陽はまた昇る」第7話で佐藤浩市演じる遠野教官が

三浦春馬演じる宮田について言い当てている

三浦春馬さん自身が、こういった性格だったとは思っていないが

私は自分の事を言われているようで吃驚もしたし

(私は周囲の顔色を窺ってバカにふるまう方ではないが

SNSでは結構そういう感じがあった)

最も警察官に向いていない性質なのだと断言した


このドラマは、警察学校が舞台だが、案外色んな人間関係の中で

悩む人に向けて脚本が書かれているように思うし

演じる役者によって教官の分析のセリフが変化していたら1つの運命のようなものを少なからず感じる

別に自分の犠牲によって自分に酔いたいわけではないが

周囲の顔色をうかがうようで、何も周囲を把握していないとしたら

自分にとってはまったくプラスではないはず

で、あるにも関わらず、三浦春馬 演じる宮田はこういうのだ

「教官自分を撃ってください自分が死にます」

「教官の為ではありません、自分の為です

こんなやつに撃たれるくらいなら皆の為に自分が撃たれたい」と。


これは「人生は理不尽なものだ」と言い放ち、訓練生にむけて

「過去に卑怯なことをした男の為にお前たちは死ぬことになる」

「どうせお前たちは国から金もらって弱い者いじめするだけのゴキブリだ」

と人質に銃をつきつけながら、また訓練生をひとり殺せと

遠野教官に命じた安西という男が言ったセリフに対しての返事


ちょっとパンチがあるセリフかもしれないが、演出上こう表現されている

私には安西の気持ちは少しも理解できないし、宮田のいうセリフもまた極端に綺麗ごとのようにも響くが

極限状態に置かれた人間のセリフって案外こうではないかとも思われる


そんな宮田を分析した遠野教官が

宮田のことを「君は軽薄で、周囲の顔色を窺い人に嫌われることを恐れ

よく泣き、沈黙を恐れ、無駄に周囲を盛り上げようとする、

でも訓練では いささか安売りしがちな笑顔がみんなを勇気づけた

凶悪事件ではその特性を生かして誰よりも先に行動ができる」

とも分析したのだ

マイナス面が強調されがちだが、それぞれ役割があり特性がある

訓練では蘇生法の仕方も覚えてないほど威勢はよいが勉強不足だった

でも誰よりも先に、問題意識をもち、声を出していた。


この時にそれぞれに教官が伝えたことが、その後

訓練生を動かして事件の急展開が起こるのだけれど

まだ私にはその教官の分析のすごさは分からない

ただ、宮田が「こんなやつに皆が犠牲になるくらいなら

自分がみんなの為に撃たれたい」と言った言葉は

三浦春馬さんの生き方に通じているようで

自分にはない物をもったセリフだと思ったしすごいと思えた


確かに、人間は長く生きていると長いものに巻かれてしまう


三浦春馬さんのさいごに「亡くなってはいけなかった人だ」

という気持ちを持つ人が多かった最初と少し変わり

「この世界(芸能界かな)にいてはいけなかった人だった」なんて言葉も見受けられるようになった


私はそう思わないので、それぞれがどう思うかは自由だと思うのだけど

私は三浦春馬さんがいなかったら、心のどこかで 怒ったふりをしつつも

相手の利益になることばかりを願っている安売りの言葉をつぶやきつづける

周囲の顔色をうかがう道化師のように生きていたかもしれない

そして、そんな自分にすら気づかなかったかもしれない

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