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ジェットコースター乗る感覚でホラー映画鑑賞

「母と娘」系ホラー鑑賞。
母に抑圧される娘(ティンヤ)の無意識を、卵から孵化するもう1人の自分(怪鳥)という形で描く。鏡の使い方や、繰り返される生死のモチーフがいい効果をなしていた。
身近な鳥と人との距離感に緊張や恐怖を与えたヒッチコック"The Birds”(1963)の模倣だけにとどまらず、怪鳥に髪の毛が生えてきたり、服を着せたりといったこの映画特有のおぞましさが追加される。

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この映画においての母娘の関係は二組の関係に見出せる。
母(ティンヤの母)と娘(ティンヤ)の関係と、孵化させ育てたという意味において、母(ティンヤ)と娘(怪鳥)の関係。
前者は母から娘への攻撃、後者は娘から母への攻撃というベクトルで、なんとも皮肉で複雑な構造。

母と娘の関係において、子供を産むこと自体がエゴと言われてしまったらお終いだけど、その分離点はどこなのだろうと常々興味深いと思うテーマ。

相手を自分の思い通りにすることだけが、好きとか、愛の形ではないのですねと終始思いながらの鑑賞。


ーー追記ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ホラー映画だからこその「おぞましさ」や、母娘の分離の問題は、ジュリア・クリスティヴァの「アブジェクション」の概念で見てみたらとても面白い分析ができそうな気がする。


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