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卒業を迎えたあなたへ

2024年4月3日。
突然のニュース速報。

『入江陵介 涙の引退表明』



・・・え?


あまりの衝撃に
開いた口が塞がりませんでした。

いやだ。


・・・と思いつつ正直言うと
もしかしたらそろそろかもしれないと、
覚悟はしていたんです。

でも実際その時がきて思いました。



覚悟などできていなかった。

私はこの日が来るのが怖かったんです。



でもその時がついに来てしまいました。




2016年のリオ五輪、

レース後のインタビューで「自分は賞味期限が切れたのかな」と言ったあなたの姿を忘れたことはありません。
聞いていて一番苦しいインタビューでした。

もしかしたら・・・と思ったことを今でも鮮明に覚えています。





でも

あなたは諦めなかった。
前を見ていました。
かっこいいな、陵介くん。

続々と、ともに戦った先輩や仲間たちが次々に勇退されていくなかで

勝つことを諦めず
日本のトップスイマーであり続けました。




でも5年くらい前からは
これだけ長い期間日本代表として戦い続けて、


もう十分頑張ったよ、
そろそろ楽になってもいいよ(上からでごめんなさい)
って思うことが何度もあった。

だけど、



あなたが戦う姿をもっと見ていたくて、

あなたの美しい泳ぎに見惚れていたくて、

あなたが見せてくれる景色にワクワクしたくて、

何よりも

勝って喜ぶあなたの笑顔をもっと見たくて、


もう少しだけ、

あともう少しだけ、そうも思っていました。

あなたに夢を見ていたんです。




ただなかなかそうもいかなくて。

コロナで延期になった東京五輪、
もしかしたらこれが最後かもしれないとほんとに思いました。



でもあなたは
現役を続ける、と言ってくれました。

日本代表になることにこだわりながらも

「自分のタイムが上回る若い選手が出てきてくれる事を楽しみにしたい」
「日本の競泳界が発展するための存在になりたい」

競泳界の未来を考えて
戦い続ける選択をされました。


苦しいことのほうが多いかもしれないのに。
いや、かっこよ・・・
あなたはどこまでもトップスイマーで、日本代表のキャプテンでした。




最後に現地で応援することができたのは
世界水泳2023最終日の4×100mメドレーリレー。

個人種目が悔しい結果に終わり、
いつもよりさらに熱い気持ちで挑まれたと思います。


予選で思わぬ順位になった日本チーム。
不安そうに3組目のレースを見ていたあなたの姿が
いつもより少し小さく見えました。

これまでに見たことがない、
見ていて苦しい姿でした。


タイムで決勝に進めることが分かった時の、

会場の興奮、

そしてあなたの安堵した顔は一生忘れないと思います。

応援してきた15年間で一番興奮しました。
あんなにも苦しくて、興奮して、喜んだ5分間は初めてでした。



決勝はテレビの前で応援しました。
男女ともに6位入賞。


レース後のインタビューでは「楽しかった」と。
一番聞きたかった言葉でした。

私はなんとなく、スッキリしたような気持ちになったのを覚えています。



翌日のSNSの投稿。


あなたはパリ五輪を見ていました。


え?

この人は一体どこまでいくのだろう。
まだまだ世界で戦う姿を見れるんだ!

ワクワクが止まりませんでした。





そして挑んだ2024年3月の選考会。

パリ五輪への切符を掴むことはできなかったけど
あなたの泳ぎは、これまでで一番美しく見えました。

そして竹原選手を抱きしめ讃えるあなたの姿に、
溢れる涙を抑えることができませんでした。

最後まで、
本当に、本当にかっこよかったです。
(竹原選手、がんばれ!)





そして今日のお昼、引退が発表されました。

知った最初は

ムリ。

そう思いました。(ごめんね)

覚悟していなかったわけではない、

でも

もう泳ぐ姿を見られないなんて。



引退を知ってから帰宅までの間、

気付いたらこれまでのいろんなことを思い出していました。


あんなレースがあったな・・・

こんなこと言ってたな・・・

あの大会は悔しかったな・・・

あの時は興奮したな・・・



あれ?

これまでたくさん夢を見させてもらったじゃん。

ずっと、十分すぎるくらい長い間、一緒に戦ってきたじゃん。(おこがましいですが)




本人の言葉を聞かなきゃ!




帰宅してすぐ引退会見を見ました。
(終始泣いてました笑)



正直に「パリで引退したかった」と言ってくれて嬉しかったです。

パリに行けなくて悔しい思いがあること、

ホッとしてる気持ちがあること、

寂しい気持ちもあること・・・


全部全部話してくれました。





あなたが涙で言葉を詰まらせながら言った言葉。

「(これから)水泳がないのが

 嬉しい気持ちもあるんですけど

 寂しい気持ちもあるかなと思います。」


・・・、一緒だ。

もう苦しそうなあなたを見なくていいんだ。

でも、
泳ぐ姿を見れないのはやっぱり寂しいです。

言い出したら止まらない想いがたくさんあるけど、

私は
16年もの間あなたを応援することができて


とても幸せでした。



私は、あなたの泳ぐ姿がただただ好きでした。




あなたは引退会見のことを卒業式だと、

そう言っていましたね。

会見のおかげで、

私も

選手だったあなたから卒業することができそうです。
(もちろんこれからも変わらず応援します!)


見送る場を作ってくれた陵介くんと、

関係者の皆さんに心から感謝いたします。



でも少し経ったら、

パリ五輪が始まる頃には

ちょっと寂しくなっちゃうんだろうな・・・

それは許してね。





会見がなければ

直接あなたの言葉を聞く機会がなければ

言えなかったかもしれません。

一番伝えたかった言葉なのに。


今は心から言えます。




今まで色んな景色を見せてくれてありがとうございました!


18年にわたる長い現役生活、


本当に

本当にお疲れさまでした!

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