人生を変えた5人の「HERO」との出会い

ヒロイックニューシネマ

「誰かのヒーローになる」
まだ見ぬ誰かに力強く寄り添い紡いでいくライブドキュメンタリー。

そんなコンセプトを掲げる私の人生を変えてくれた、今の私にとってなによりも大切な存在。

2023年11月17日。
私は、彼女たちと出会った。

はじまり

きっかけは、本当に単純な話だ。

「今度、知り合いが主催するアイドルのライブがあって、もしよかったら来てみませんか?」

私の職場で知人に突然声をかけられた。
渡されたチラシにはこう書かれていた。
「第1回アイドルはじめてLIVE PRESENTED BY.ツギステ」


これが渡されたチラシ

「地下アイドルってやつですか?」
「そう、アイドルの世界を広げたいっていう感じで、はじめての人にも来てもらいたいイベントらしくて。よかったら後輩さんとはるさん2人どうかなって」
「へ~…女の子アイドルのライブは未経験だなぁ。まぁ、その日早くあがれるから…せっかくなんでじゃぁ行ってみます」

そんな会話をした。
正直その瞬間は全く興味がなかった。
興味はなかったが、この人には日ごろお世話になっているし、まぁお世話になっているぶんお返しするのも大切だし、何事も経験か。そうでもなければ地下アイドルを拝む機会なんてないだろう。と思い、また、不仲芸でコンビを組む(本人はえらく不満だそうだが。ちなみにコンビと言い出したのは私ではなく気づいたら周りの人々に言われていたということは主張したい)後輩もたまたま夜に予定がなかったので「じゃぁ、一緒に行くか」というノリで参戦を決めた。

私は割とノリと勢いでものを決める癖がある。
何事も経験。とりあえず行ってみよう、やってみよう。
そこから賞賛するなり、否定するなり。
まずは実体験をしてみよう。

その性格による決断が自分の人生をここまで変えることになるとはその時は微塵も思っていなかった。

運命の日

11月17日。
仕事を終え、後輩と共に職場を出た。

「一応サイリウムは持ってきたけど使うのかなぁ?」

私も曲がりなりにも平成の世を生きたオタクだ。
サイリウムはもちろん持っている。
ただ、まったく未知の世界である「地下アイドル」のライブに行く。
誰が何色なのか、むしろ誰が出るのか。
一切なにも知らない。予習すらしていない。
果たしてそれで本当に振るのだろうか。
地下アイドルのオタクは、同じオタクでもアニメオタクの私とは違う種類のオタクで粗相をしようものならつるし上げられるのではないか。
そんな恐怖心も少しはあった。
ちなみに、背も高ければ腕も長い後輩は「人に当たるし邪魔」という理由で今もサイリウムは持たない主義だ。
そんな考えもあるのか、なんて他愛もない話をしながら渋谷へと向かった。

ちなみに余談だが、早く着いたので渋谷のParcoでノリと勢いと己の誕生日プレゼントと称してViVienne Westeoodの名刺入れを買ったのが懐かしい。


知人と合流して、後輩に購入を頼んでいたチケットを出してもらい、ドリンク代もまとめて払ってもらい箱に入る。
今となっては慣れた動きでできるが、当時の私は「ドリンク代とは?」のレベルで箱でのライブは未経験だった。
故に後輩に全任せのスタイルだった。
今はなんと、1人でチケットも取れれば1人でドリンク代も払える。
なんなら600円をきちんと用意して箱に向かうオタクへと成長している。
箱への道はいまだに迷うことが多いので、とても早く現地につくが。

ライブハウスに入った第一印象は「狭っ」「ステージ近っ」というなんとも失礼極まりない印象だった。
私の中の直近のライブ参戦といえばアリーナやホールツアー系なので、指定席がないというのも未知だった。
とりあえず上手側に場所をとり、荷物を置く。
きょろきょろとしているうちに、知人から株式会社ツギステの代表取締役である橋本さんを紹介され、名刺交換などをした。完全に仕事モードである。
「はじめてですが今日は楽しませてもらいます」
そんな挨拶をさせてもらい、サイリウムを受け取るなどした。

ライブ前に自分のサイリウムを久しぶりに点灯した。
「これめっちゃ色変えられんだよ」当たり前のことを自慢していた。
しかし、これがフラグだった。

「…色変わんないんだけど。。なんで?赤しかつかない」
「どっか変なボタン押したんじゃないんですか?」
「えぇ?年単位で使ってないから壊れてるのかな。。赤しかつかない。ここ押したら変わるはずなのに。全然変わらん。直して!」
「知りませんよそんなの。別にあなた推しなんていないでしょ」
「このままじゃ赤しかつかない人じゃん。赤推しじゃん。赤い人いなかったらどうすんの。いろんなかわいい子の色振りたいじゃん」
「適当にふっとれそんなもん」

「赤しかつかない」「赤推しじゃん」
それが後に運命を決めることになるとは思いもしなかった。

私のHEROとの出逢い

開演時間になった。
はじめに、橋本ゆきさん・桜のどかさん・しふぉんさんが登壇し開催主旨を説明する。

アイドルは夢を追いかけて、全力でステージに立つ。
アイドルをやってよかった。と思って生きてほしい。という理念を語ってくれた。
初めての人でも、サイリウムをたくさん振って応援してあげてほしい。と。

これは完全に余談というか、自分の過去なのだが。
私は実は学生時代ラジオDJの卵だった。
一時期は、ある場所で毎日のようにプロのDJの元でラジオを学び、テレビ中継のやり方を学び、放送が終われば私の写真を撮りに来てくれたお客さんと会話をする。
「今日も来てくれたんですね!」「ありがとうございます!」
「今日はどうでしたか?」「楽しかったですか?」
「また待ってます!」

今思い返すと、特典会に近いことをしていたな。
もちろんアイドルの足元にも及ばないが。
だが、少なくとも当時の私は多少「芸能界」を意識していた。

だから彼女たちを応援してほしいという気持ちはわかるものがあった。

「それではステージをお楽しみください!」

3人がステージ袖にはけていく。

私は赤しかつかないサイリウムをとりあえず点灯することにした。
そうして運命の瞬間がやってきた。

今思うと、上手側にいて、赤のサイリウムをつけている。

私。GJすぎるな。

ヒロイックニューシネマのステージがはじまった。
SEが流れ、彼女たちが登場してくる。

きらきらふりふり衣装のアイドルが笑顔いっぱいで出てくると想像していた私は正直面食らっていた。

黒い。
なんかSEかっこいい。

M1. イニシアチブガール
M2. 核
M3. rainy days and
M4. ネバーエンド

振り返ると、なるほど。初心者に向けたセトリだった。

イニシアチブガールはじまり。

明日菜の口上からはじまる。
手拍子を促され、打ってみる。
ちなみに明日菜の第一印象は「後輩が好きそうな子」だった。
それは間違いではなかった。

「イニシアチブガール!」
明日菜の掛け声とともにフロアが沸き上がった。
今となれば仲の良いファン仲間が一生懸命MIXをしていたが
当時の私は「うわ、すご!?これが地下か!」と圧倒されていた。

ちなみにその時に見たのがジールさんだった。
私が最初に認知したヒロシネのオタク。
いまではおじると呼ぶ仲である。

イニシアチブガールでフロアが沸き、私も楽しい気持ちになっていた。
そして出逢ってしまった。

推倉ましゅに。

どのタイミングだったか今では忘れてしまっているのが悔やまれるが。
指さしでファンサをもらったのだ。

ましゅ曰く「めちゃくちゃ笑顔で見てくれていたのが印象的で、ファンサ苦手なのにがんばれた」とのこと。

そのファンサをもらった瞬間「好き」という二文字が脳内を占領した。
あの赤髪の子めちゃくちゃかわいい。きれい。
全員歌うますぎない?というか、楽しい!!

華希リンの伸びやかで力強い歌声
叶田明日菜の表情の豊かさ
桜子カフの指先一つまで完成された踊り
芹香ナノのかわいい顔からのネバーエンドはじまりのギャップ
そして推倉ましゅのすべて

楽しい。アイドルのライブってすごい。
こんなに距離が近いんだ。いい意味で全方向から殴られている。

そう思いながら変わらない赤いサイリウムを振り続けた。
ちなみにその時ましゅが赤担当なんていうのはもちろん知らなかった。

2曲目「核」

私は元々バンギャであり、ヴィジュアル系音楽を好んで生きてきた。
そんな私に「核」が刺さらないはずがない。
これに関しては、トッパーでプレッシャーもあっただろうに2曲目に核を持ってきた運営さんには感謝をしたい。
核はじまりでぶちかますのも好きだが、中盤で核が来るのが私は大好きだ。

気づけばあっという間に4曲が終わった。

おそらくその間にたくさんメンバーからそれぞれファンサをもらっていたはずだ。もう一度あの日を見てみたい。

メンバー曰く「でかいオタクっぽくなさそうな人とその横でめちゃくちゃ笑顔の女の子のセットは目立つ」そうだ。
これはほかのアイドルさんにも言われたことがある。
この凸凹コンビがこんなところで役に立つとは思っていなかった。
今では二人とも立派なアイドルオタク。

ヒロイックニューシネマのステージが終わった。
自分が想像していたアイドルのライブと真逆のステージを見た。
拳をあげて「うぉい!」とバンギャ声で叫ぶと誰が思っていただろう。

知人が「すごく楽しんでましたね」と言った。
顔に出やすいタイプではあるが、本当に、心から楽しかった。

「いや、予想以上に良かった。。アイドルらしくない感じが。曲めっちゃ好きでした。あと赤い髪の子めっちゃかわいかった」

そんな感想を述べながら、次のグループも楽しんだ。
ファンサをもらっては後輩に「女に生まれてよかった」と何度も言った。

特典会 はじめまして

全てのステージが終わった。
「これから特典会がありますけど、どうします?初回はチェキ無料とかいろいろありますよ!」と知人が言った。

なるほどチェキを撮れるのか。
ちなみに知人は実は娘さんも来ており、娘さんの推しのグループが出演していたので、そこの特典会に行くと言っていた。

「せっかく行くなら、一番初めのグループのところ行きたいな」
「僕も」

これがヒロシネはじめましての特典会だった。

「どうやってやるの?」
「チェキ券とかあるから、メンバーの名前言って買う感じかな」
「え、あの赤い髪の子の名前は!?調べて!!」

今では「ぐぐれ」とキレられるが後輩が調べてくれた。

「僕は明日菜さんのとこかな。赤い子は推倉ましゅさんだって」
「ましゅちゃん」

推倉ましゅ。名前を何度も忘れないように言いながら物販に並んだ。

自分の番になった。先に後輩に行かせたのでなんとなく買い方はわかった。
「とりあえず、初回の1枚いいですか?」
運営さんに言って初回チェキ券をもらい、ましゅの列に並んだ。

周りの人の行動を凝視して学ぶ。
チェキを撮ったあとしゃべるのか。なるほど。

「誰にしますか?」
運営さんに声をかけられる。
「あ、えっと、赤髪の。推倉…ましゅ?ちゃんでお願いします」
言いながらチェキ券を差し出した。
合っているだろうか。
赤髪のとつけたから例え名前を間違えていたとしてもきっと赤い子のところに案内してもらえるだろう。
後輩は普通に緊張する様子もなく普通に撮ってしゃべっている。
あいつめ、実は慣れてやがるな?そんなことを考えながら順番を待った。

「はいどうぞ、ましゅ~」

今では聞きなれた呼び声とともにましゅの前に案内される。

「こんにちは!はじめまして~!」
「はじめまして…!!」
「ヒロイックニューシネマのポーズあるのでそれで撮りましょ!」

ましゅがポーズを指定してくれて撮影をする。
超至近距離で見るましゅは本当にかわいいと思った。

「はじめまして!お名前は?」
「名前!?えっと、はるかです!」

ちなみに本邦初公開。これは本名だ。
HNなんてものは疾うの昔に捨てたものでとっさに出なかった。
名前を聞かれるなんて想定していなかったのだ。

「今日はどうして来てくれたんですか?」
「知人の紹介で、、」

はじめましてらしい会話をした。

「はるかちゃんすっごくキラキラの笑顔で見てくれてたからアイドル好きなのかなって思った!」
「本当にはじめてで、でもましゅちゃんのかわいさがすごい印象的だったからチェキ並んでみました!」
「え!じゃぁはじめてのチェキ!?うれしい!よかったらまた遊びに来てね!」

そうしてチェキを受け取り、ましゅと別れた。

「チェキ撮っちゃいました」

知人にチェキを見せながら特典会の様子を見ていた。
後輩の姿を探したら再び物販列に並んでいた。

おいまじか?

「え、また撮るの?」
「うん」

なるほど、もう一度並んで撮るということも可能なのか。

「まだ娘並んでるから、また行っても大丈夫ですよ」
「え、じゃぁ…もう一回行ってみようかな」

再び物販列に並んだ。
目的は一つ。ましゅともう少し話したい。

2回目は写メをお願いしてみた。

「また来てくれた!うれしい!」
「もう少しお話したいなって思って…!」

サイリウムを持ってる理由(元々声優のライブなどに行っていた)
赤をつけていた理由(赤しかつかなかった)

など話をした。

楽しい、かわいかった。
そんなとても満足した気持ちで特典会を終えた。

ちなみに特典会中の後輩を見て「あんな笑顔初めて見た」と知人に話したのも今ではいい思い出だ。

そうして私のはじめてのアイドルライブは終わった。

すごく、すごく楽しかった。

「ヒロシネさんはまた見たいな」

Twitterのフォローをしたり、曲をサブスクでDLしたり。
いろいろしながらそう思った。

「また、ましゅちゃんに会いたいな」
「今度はほかの子ともチェキ撮ってみたいな」

「また行こうね」

おわりに

これが私と、私の大切なヒーロー5人との出逢い。
出逢ってから7か月。

今では立派な「赤軍団」の1人として認知され仲間もたくさんできた。

まさかこんなに地下アイドル業界を楽しむ人間になるとは思っていなかったが、この7か月はかけがえのない宝物が増えた。

全通できるほどの財力はもちあわせていないが、一回一回のライブを大切に参戦できる。そして、仲間たちと高みを目指せる。

そんな環境にいられる今に心から感謝をしている。

ヒロイックニューシネマというグループは私に新しい人生を与えてくれた。
まだまだ語れることは山ほどあるが、出会いについてはこのくらいにしておこう。

ちなみに、ライブに誘った知人はまさかこれほど沼に落ちると思っていなかったようだ。

きっかけをくれたことに最大の感謝を送りたい。


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