良かった新システムとちょっとの「悔しさ」

試合情報

J2リーグ第18節 ヴァンフォーレ甲府vs東京ヴェルディ
@中銀スタジアム 18:00KO
前半1-0/後半1-0 合計2-0
〈得点者〉
(東京V)若狭ー32分・梶川ー52分
(甲府)なし
両チームスターティングメンバーと基本フォーメーションはこちら↓

新システムの導入

ヴェルディは2連敗でアウェイは甲府に乗り込んだ。4-1-4-1の時に長らく抱えていたアンカー脇の守備を解決できないまま、3-4-2-1の形に変更。若狭が右HV、林が久々のスタメン復帰。3-4-2-1は5-4-1(あるいは5-2-3)への可変時のリスクが少ない。それは動きが単純な動きだからだ。また甲府は3-4-2-1のためミラーゲームとなり3-4-2-1初戦としてはマークがハッキリする分、少しラッキーな側面もあっただろう。守備の面はかなり注目であった。
対する甲府は好調を維持して4位。タレントも揃い、ピーター・ウタカ要する攻撃陣は脅威。しかし怪我人も多く、おそらくあまり組んでいないメンバーでの3トップのコンビネーションは未知数だ。
それでは守備と攻撃の2局面に分けて振り返っていきたいと思う。

攻撃

前半の攻撃の形は下図だ。

基本的に1枚目の寛也もしくは潮音がディフェンスラインに落ち、平が左SBのような位置取りをする4-1-5のパターン。もしくは2枚目の奈良輪が左SBのような位置取りをしている4-2-4の形からのビルドアップが基本だ。その後、3-2-5へ変形する。それが下図だ。

甲府は5-4-1のセットディフェンスからスタートするため、基本的にハーフスペース間は固めてくる。なのでサイドからの攻撃が基本だ。有効な攻撃を作り出していたのはWBを引き出してからOHのチャンネルランだ。前半幾度がこれによりチャンスを作っていた。基本的にマンツーマークになるので人が動けばスペースが空く。OHの選手が少し下がればチャンネルが空く。そんな感じである。
もう一つ可能性があったのは裏に抜け出した選手へのロングボールからセカンドボールを回収しショートカウンターのような形。相手が少し前から来たところでこの攻撃をすると上手いことライン間が伸びてかなりチャンスになる。この形はビルドアップが少し上手くいかなくても多少希望になる攻撃なのではないだろうか。

しかし、ヴェルディの攻撃が下手なシーンが乱発したのが5-4-1でセットしコンパクトにしているところに選手間のズレを作る横パスだったりを作らずに、すぐ縦パスを入れてしまいカットされるシーンが散見された。これに関しては改善してほしい点である。もし相手の中盤ラインの選手間が狭ければ脇が空くのでそこを使って欲しいなと感じた。

甲府が67分、佐藤(洸)を投入後4-4-2へ変更したのちは、ヴェルディのパワーも少し落ち、ボールを持たれる時間が増えたが、前がかりになる相手を逆手にカウンターで迫力のある攻撃を繰り返せていた。しかし、決まらなかったことを踏まえると、まだまだ精度は高くないものの、フィニッシュワークさえ上手くやれれば勝ちの数も多くなるだろう。

守備

この試合の守備の形は下図だ。

前線からのプレッシングが基本だ。甲府のボールと逆サイドのWBを捨てて、SBが下がり4-3-3のような形。しっかりと逆サイドには蹴らせないように、パスコースを遮断しながらの守備だ。またCB+2HVの3枚は相手の2OH+CFにマンツーマン。しかし、これの欠点はセットディフェンスやヴェルディの攻撃とも重なるが、人が動けばスペースが空くというものだ。どうしても裏が空いてしまうが、甲府はそこまで高い位置にWBを置かなかったためそのシーンは少なかった。
またミラーゲームでマークがハッキリしているため、ウタカ、佐藤(和)、森にしっかりついていき潰すことができていた。チームに守備の基準点をしっかり持たせることができたのは、随所に感じられた。

ただ少しまだ練度が低いなと感じたのは、サイドに追い込んだにもかかわらず、密集を抜けだされるシーンがいくつかあったことだ。前半10分あたりに右サイドに圧縮したのちに抜けだされてピンチになった。これも改善できる点だろう。強度とマークのつき方の両方に問題のあるシーンだった。

セットディフェンスの場合は基本的にHVの引き出しを狙われていた。マンツーマンのためついていき、裏を空けさせられてしまい攻略されるパターンだ。これに関しては止められなかったと言っても過言ではない。両サイドで同じ攻略をされていた。改善策とすれば、下がったOHに関してはヴェルディのOHがプレスバックしてのパスコースの遮断がベストと考える。
この守備は次節も注目して見たいポイントだ。

67分の佐藤(洸)投入後は甲府が4-4-2へ変更。この後は少し楽になったのかなと感じる。楽になった理由の1つ目は前線は3vs4だがパスコースの制限で数的同意に持っていくことができており、噛み合わせ的に数的劣位でビルドアップ阻害が可能であったこと。2つ目はディフェンスラインが数的優位であること。また少し攻撃の話になってしまうが、甲府がSBも押し込んできたときにカウンターが刺しやすかったことなど、甲府の4-4-2は正直良かったかは微妙である。

ネガティブトランジションに関する事だと攻撃参加を確実にしている純輝の裏が何度も突かれていた。まだまだ守備全体の練度が低いのは仕方ないがミスマッチが発生するチームと対戦する週末はしっかりと準備しなければならない。

まとめ

3-4-2-1のシステムを導入し、守備の基準点をはっきりさせたことで改善された守備。ただこれがミラーゲームによってもたらされたということも忘れてはならない。次節大宮戦は3-5-2であり、中盤の数的劣位が発生する。ここの守備がポイントになるのかもしれない。
タイトルの「ちょっとの悔しさ」に関しては、ロティーナ時代に体得したはずの守備の基本原則さえあれば実現できたかもしれない4-1-4-1での守備ができなかったことだ。結局、ロティーナの守備は「ロティーナ式」としてしか理解されなかったのかもしれない。本来もたらされたものは大きかったのかもしれないが、こればかりは検証しようがない。4-1-4-1を継続できなかったちょっとの悔しさを胸の隅に置きつつ、新生ヴェルディは3-4-2-1で突き進む。これからの試合に注目だ。

最後まで読んでいただきありがとうございました😊

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