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奇跡なんて起きなかったよ/関西シクロクロス 桂川

後ろに、マツケイが見えた。
だいたい10秒くらい、俺が先行している。
1周目の真ん中くらい。

キャンバーや180度ターンが連続してスピードも落ちすれ違いも多いコース後半は、前後の選手が近くなり、レースしてるぜって感じが強くなる。

マツケイ。チームポンガであり、エスキーナレーシングのチームメイト。俺より後ろで走るような走力ではないはずなのに。

さらにその後ろに、bikin!樋口さんの姿も見える。スタート位置と、園田さんの後ろを利用させてもらってそこそこうまく上がったぶんのリードだ。

ほんとは同時出走のU17ツグナリ選手と柊太郎選手との競り合いを楽しみにしていたのだが、若いふたりはあっという間に前へ行ってしまっていた。かなんわあ。

2周目も、マツケイとはほとんど同じ位置関係。

3周目、4周目、まだ同じ。ほんとはレースなんか走っていなくて、俺が通過したときだけ顔を出してるのではないか?と疑うくらい。

去年は勝って昇格した桂川。今年は真ん中くらい、かな。よくわからんけど。準備も足りないしそうそう奇跡なんて起きそうにもなかった。

位置はぜんぜん違うけど、やることは一緒。ミスをしないように注意を払いつつ、攻める。高低差をなるべく利用して力を抜きながら、出し切る。コースのあっちやこっちで、かけてくれる声を推進力に変換する。

後ろばっかり意識してもしょうがないので、スキを見つけてひとつ、ふたつ、順位を上げる。

終わってみるとラップタイムは尻上がりに上がっていた。一人旅だった先週の阿波も十分に追い込んだつもりだったけれど、段違いにしんどい。そして、レースはしんどいほど面白い。

パッキパキに乾き切り貼りついた喉からハスキーボイスを絞り出して、健闘を称え合う。はるか先にゴールしていた若者と。チームメイトと。久しぶりに会うライバルたちと。

奇跡なんて起きなくても、この景色だけで十分だ。

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'18-19 関西シクロクロス カテゴリ:C3A
21位/40人出走
写真は 久しぶりのパイスーパイセン イケッチ そろそろ!なエイタさん renshuukanさん 他たくさんいただきありがとうこざいます!

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