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和裁職人の加工料金のこと

先日東京和服裁縫協同組合 日本和裁士会東京支部から宣言が出された

小紋というのは着物の中で最低加工料金
なので工料の目安になる
ここから付け下げ、訪問着、振袖、留袖…と高くなっていく

和裁職人の工料問題はもうずいぶん前から言われているので今更感もあるんだけど

でももうかなり危機です
若い職人が育ってない
専門学校は激減
技能士試験も内容がゆるくなったり
受ける生徒数も激減してます
当然と言えば当然
だって「食べていけない」から

一般の人は仕立て代いくらが妥当だと思われてるんだろう

まず一人前に仕事が出来るまでだいたいですが10年くらいかかります
修行中は和裁所などで仕事教えてもらいながらとても安い賃金で働かされます
必死になって試験を受け、やっと資格がもらえます
そして個人事業主としてポイッと社会に放り出されます(個人的感想)
自分の縫った着物を持って呉服屋などをまわります
仕事をくれるお店などが見つかれば良いけど見つからずやめた仲間も多いです
なので仕方なく和裁所にそのままいさせてもらい安い工賃のまま…という職人も多い

工賃の平均は多分2万いくらでは?と言われてます
着物を縫うのにかかるのは早くて3日
時給にすると千円以下だったりします
東京キモノショー和裁職人大賞で星とか取ってても関係ないです

わたし個人の話をすると
取引先の呉服屋に「職人大賞受賞しました」と伝えたらそれはそれはとても祝福されました💮
「工料上げて下さい
あの…最低賃金切ってるんです」と伝えると無言…
なんでー?🥹

なのでちょっとネットで「職人の日当」と検索してみる
建設業関係の日当がばーーーっと出てくる
見習いとかベテランとか色々なのだが
1人親方っていうのが1番近いかなと調べると…


だいたい2万以上?
まあ2万として和裁1人親方は
2万×3日=6万

そうです
東京和裁組合の宣言の5万は全然高くないのです
なのにその半分くらいで多くの和裁職人は働いている
和裁職人を目指そうとする若者が激減なのは当然なのです🥲

だから数十年上げられなかった工料を今見直さなくちゃならない!
とわたしが声高々に言ったところで何も変わりません(*_*)

せめてこのnote見てくださった方だけにでも厳しい現実をわかってもらえたらと
つらつら書いてます


そもそもわたしが和裁職人を目指したのは
・縫い物が苦じゃない
・「職人」という響きになんとなく憧れがあった
・いわゆる昭和の「女の適齢期」に振り回されない
・時間も休日も自由
などが理由で自然に和裁かな?と思ったところに「和裁は反物の1割もらえる✨」という伝説で決定

結果やっぱり伝説だった
本当にそんな時代はあったのだろうけどわたしが一人前になった頃には消えていた
正確に言うと今もあるのだがなんせ高額商品が売れない!
なので「反物の1割」はあってないようなもの

でもそれって着物高級路線を突っ走った呉服屋、百貨店の話
高級じゃなく普段着も同じ着物なのだ
どの着物を仕立てても食べていけなきゃならないのです
職人が消えてしまう前になんとか現状をたくさんの方に知っていただき改善したい
したい
したい
という宣言です(やっとタイトルにたどり着いた💦)

今日はちょうど年に一度の東京キモノショー初日です🎉
優秀な仲間たちが表彰されます
みんなおめでとう㊗️
がんばってる職人がみなふさわしい報酬を得られるようになって欲しい
いや、そうしなくちゃ
イカンのです


長ったらしく拙い文章読んでいただき大変感謝しますm(_ _)m

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