作_はれのそら

VR世界で起こった感動の物語【声劇 台本】

先日、台本を監修していただいたでんじぃさんの為に作った台本です。前回のアドバイスを元にしているので、読みやすいはずです。(多分)

でんじぃさん

規約

こちらです。

登場人物

・老人男のアバター(文中以下老と表記)
・少女アバター(以下、女と表記)

本編

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某ソーシャルVR(注 バーチャルアバターを使用して交流を図るサービスの事。有名な物だとVRCやcluster,neosVR,ambrなどがある)内の野原っぽい所
老人が座っていて、少女が老人の周りをうろうろしている。

老:のぅ、若い人。
女:何よ?
老:そんなにせかせかするんでないぞ。さっきから、わしをじろじろ見て、フレンド登録したら、急にグルグル回って……ゆっくりしましょうぞ。
女:ゆっくり!?
老:一歩進んで二歩下がるのじゃ。
女:進んでないじゃないの!
老:フォフォフォ。
女:なにわろてんねん。
老:笑ってるんじゃないじゃ、ただあざ笑ってるなのじゃ。
女:こいつ……。こんなの普通でしょ、VRCって、色々やれる事があるんだから。リアルと違って、移動の制限だってないじゃないの。
老:ほうほう。
女:楽しくて仕方ないの!サヨナラリアル、入らっしゃい、VR!!!あなただって、そのつもりでここに来たんじゃないの?
老:わし!?フォッフォッフォ!
女:何がおかしいの?女子に笑うとかないんですけど!!
老:わしは……見ての通り、よぼよぼのじーさん。余生をここでのんびりと過ごすだけですじゃ。
女:……って、のんびり老人ロールプレイをしてるだけでしょ。
老:フォッフォッフォッ。
女:あなたのネームを見て、ピンときて、フレンドになってちょっと調べたら……わかったの。あなた、半年前に話題になってたベイさんでしょ。
老:……
女:あなたのアバター、ホントにすごかったじゃない。コンテストでも、今回も上位入賞して。
老:今回は5位。それも、初回大会からいたから、審査員からのお情けなのじゃ。
女:ここに来るだけで大変だったあたしに比べたら、ベイさんは十分すごいって!?
老:そのお情けも、きっと技術とかの話しじゃないのじゃ。だって、わしは……。

しばらく無言。

女:でも、快挙だって。だって、あなたは……
老:14歳でアバターを売り上げた、期待のモデラーだから?他の同年代に比べてすごいっていうの?大人に比べたら、話題性だけで技術もほとんどないような僕に。
女:すごい!!
老:嘘つくなよ。まだまだ作りが甘いし、20歳過ぎたら、ただの人だし。なにより、最近の大会の事、君も知ってるだろ、僕よりも年下の子が一位になったじゃないか。もう、僕は用済みなんだ。だから、わしは隠居を決めたのじゃ。
女:ふざけるな!……ごほっごほっ。
老:大丈夫かい?なんか、ボイチェン越しでもせき込みがひどい。。まるで……
女:……なら、言ってあげる。あなたね、まだまだこれからなんだからね。人生で浮き上がったり、落ち込んだり、大病患ったり、好きな人と夫婦になれても、どんなに好きでも死別することだってある。なんでもありな余命を、ことごとく遊び倒してもいける。
老:?
女:今の技術じゃVRができない子供だっている。そういう大好きな孫の為に自分で学んでる、悪戦苦闘してVR入りしている扶養者だっている。若い時ってのは、挫折なんて後の大きな楽しみにすぎないんだって!!あたしが保証する!
老:保証……扶養……あなたもしかして。
女:まあ……なんだ、今は落ち込んでるからいい。休む時も大切だ。だけどね、もう一回歩き出せる。やれるんだって。少年は大志を抱くもんなんだよ!年齢とか地位とかそういった事じゃなくて……まるごと信じてやれって。なんでも出来るし、試せるんだってことに。
老:……なにを?
女:自分自身をだよ。

女は一人になる。

女:お、行ったか。全く、年寄りじゃないのに年寄りの恰好すんじゃねえっての。孫がここの話しが聞きたいって言ったから、頑張ってきたっていうのに……今日びの若者はあんな感じなのか。80越えたわしが一芝居打って、なんとか立ち直らせてやったわい。まさか、わしの所のむこ殿の親類とは。そういえば、あの子を抱き上げたり、お年玉も渡したわ。ほんと、広いバーチャル世界なのに、狭いもんじゃの。

老:あ、ちょっとちょっと!あなたにお礼言ってなかった!励ましてくれて、ありがとう!それと……
女:びっくりした!!!……何?
老:あなたも、まだまだこれからでしょ。少年だって出来るんだ。あんたもこれからだろ!
女:!!
老:自分で自分の可能性決めてどうするんだ!まだまだこれからなんだ。僕に年齢で言い訳するなっていうのなら、あなたもだ。
女:……やだな、涙腺が弱いのかね。ああ、そうだとも。これからさ。
老:だろ?だからさ、お願い。
女:何だ?
老:来年のお年玉、もうちょっと増やして。


(了)

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