HIGASHI TOKYO RIOT PART18

事実を事実のまま 完全に再現することは
いかにおもしろおかしい
架空の物語を生み出すよりも
はるかに困難である
（アーネスト・ヘミングウェイ）

これは事実談であり……この男（MUNE）は実在するッ！！

朝イチで取ったチケットがなんでいちばん後ろなんだろう

―私の高校（愛媛）の先輩でラバーソール履いてる人はいなかったですね。
MUNE　やっぱヤンキーっぽい感じですか？
―そうですね。それこそ短ランにボンタンのような。
MUNE　ヤンキーの人ってとにかく髪型をキメるでしょ。ヤンキーっぽくてバンド好きな人はBOØWYとかあっちの方向に走っちゃって。ちょっとストリート感出そうとするとMINKSみたいになっちゃって。
―うちの故郷は、BOØWYやビー・バップのトオルみたいな髪型が主流でした（笑）。
MUNE　そういう人たちも確かにいましたよ。でも常に「そういうのとは違うよ」って意識はもってました。だから、高校の時は小遣いのほとんどをCDとTシャツに使うようになってましたね。酒飲まないでしょ、高校生って。
―そうですね、飲まないですね（笑）。
MUNE　だから友だちと家で集まっても、駄菓子屋で買ったもの食ったりとかそんな感じなんで、お金なんか遣わないんですよ。のど乾いたら公園で水飲んでましたしね。
―あはははは！
MUNE　いま思うと信じられないですけど（笑）。

―バンドのTシャツも続々と出てきたりするじゃないですか。
MUNE　バンドのTシャツはライブ行くと欲しくなるんですけど、ライブはそんなに行ってなかった気がしますね。ライブハウスとか行くようになるのって、高校卒業してぐらいなんで。高校の時からライブハウス行ってれば、いろんな人脈もできたんだと思いますけど、基本的にはホールに4、5人で見に行って「COBRA、日本武道館最高だったな」とか言って。
―COBRAの武道館行ってるんですねー。
MUNE　行きましたよ。渋公とかも行ったし。ラフィンとかも行ったなあ。
―チケットって取れるんですか？
MUNE　うちの近所だと浅草と北千住にぴあがあったんですけど、北千住のほうが行きやすいんで、朝早く行って、北千住の駅ビルが開くのを待って。前日にもう申込書を書いておくんですよ。
―すぐ出せるように。
MUNE　そうそうそう。で、よーいドンでダーッと走って提出して。そしたら取れましたね。
―おおー。
MUNE　ファンクラブに入れば、早く買えるとか確実に買えるとかってのをあまりよく理解してなかったから、一般の俺らにとっては狭き門でしたね（笑）。
―いまにして思えば、ほぼファンクラブで販売しますよね（笑）。
MUNE　朝イチでチケット取ったのに、なんでいちばん後ろなんだってブーブー文句行ってましたね。なので常に後ろの方で見てました（笑）。あと、汐留にPITっていう巨大なテント小屋みたいなのがあって。そこには4、5回行った気がするなあ。
―何を見に行ったんですか？
MUNE　レピッシュとかアンジーとか。あとROGUEが出るやつとか。
―いいライブご覧になってますね。
MUNE　ジュンスカも行った気がするな。聖飢魔IIも行ったかな。いや、聖飢魔IIは厚生年金会館か。
―その合間にプロレスもあるわけですよね。
MUNE　そうそうそう。プロレスのほうが行ってた気がするな。
―そういうときにグッズとかはあんまり買わないんですか。Tシャツとか。
MUNE　そこまで金がなかった気がするなあ（笑）。あと売り切れてるとかしてて。だから買った記憶がないな。
―ファッションの調達はまた別のところで。
MUNE　そうですね。あとはそのバンドのTシャツを着て、いちファンとして溶け込むのがいやだったというのもありましたね。みんなと同じのを着ることになるじゃないですか。それはあんまり好きじゃなかったですね。

ハーレー着てましたね

―高校生の頃は、カラスズボンにラバーソール。
MUNE　そうそうそう。
―で、リストバンドにイヤーカフで。髪型はどうしてたんですか。
MUNE　うちの母ちゃんが美容師だったから、家でやってもらって。レピッシュのマグミの髪型がいちばん好きだったんで、「マグミっぽくしてくれ」
って頼んでましたね。横をこう刈り上げて。でもあれって立たせてセットしないとダメなんですよ。だからいつもやってもらったあとに「違うな」って思ってました。「これはマグミじゃない」って（笑）。
―レピッシュはかっこよかったですねー。
MUNE　レピッシュはユニコーンより人気あった気がするな。ブルーハーツ好きだったらヒロトみたいに坊主でよかったのかもしれないけど、ブルーハーツはそこまででもなかったんで。
―聴いてはいたんですか。
MUNE　聴いてはいたけど、なんかちょっとやさし過ぎちゃって。はずかしいなーって思ってましたよ。
―あはははは！
MUNE　だって「僕パンクロックが好きだ」なんて言いたくないじゃないですか。
―言いたくないですね（笑）。
MUNE　そうそうそう。

―そのファッションはいつくらいまで続くんですか？
MUNE　高校卒業してくらいからは、POGOとかRYDERSが好きになって、黒いズボンを捨てて、デニムの細いのを履くようになって。足元はエンジニアブーツ履いて。
―ラバーソールじゃなくなったんですね。
MUNE　そうそうそう。マーチン（のひもを）結ぶのがめんどくさいからって、エンジニア履いたら、スポッと履けるんで、こりゃいいやって。あと、ハーレーのTシャツとかも着てんですよ。ぜんぜんハーレーとか興味ないのに（笑）。
―あはははは！
MUNE　かっこいいから（笑）。
―ロゴが（笑）。
MUNE　そうそうそう。上野にやたら売ってるんですよ、ハーレーものが。バックルとかもハーレーばっかりなんですよ。あとはドクロか鷲かみたいな（笑）。
―バックルとかもしてました？
MUNE　してましたよ。バックルも５個ぐらい持ってて。
―５個も持ってたんですか！
MUNE　持ってました、持ってました。
―ハーレー着用のお写真とかもあるんですか？
MUNE　ハーレー着てるのありますよ。分厚いサスペンダーに「HARLEY DAVIDSON」って書いてあって。
ーおおー。
MUNE　当時はそれがかっこいいと思ってて（笑）。
―でもハーレーには…
MUNE　もうぜんぜん興味なくて。だからフレッドペリーのポロシャツに、ハーレーを合わせたりとかして。もうなんかムチャクチャな感じで（笑）。
―パンクとバイカーが融合して。
MUNE　で、帽子はニューヨークヤンキースだったりして。
ーわはははは！
MUNE　よくわかんない格好してましたね（笑）。あんまり考えないんですよ、背景的なものは。
―そのハーレーダビッドソン期はいくつぐらいなんですか？
MUNE　19、20ぐらいの時かなあ。でもその当時の写真を見ると、トータル的にはイケてんなって思いますよ。
―いま見ても悪くない。
MUNE　ダサさはないんじゃないかなって。流行りには何ひとつ乗ってないから、色あせてはない感じが自分ではしますね。
―またそこからちょっとずつ変わっていくんですか？
MUNE　ジーパンはエンジニア履いてたときに、ブーツカットを一回買ってみて、「あ、かっこいいな」って思ってそればっかり履いてて。そのうちだんだん裾が広がってっていわゆるベルボトムになって。ベルボトムばっかり履いてた時期もありましたね。
―私が最初にMUNEさんにお会いしたときのイメージはそれです。
MUNE　そうですよね。赤犬のロビンさんも同じような感じでしたよね。リストバンドして、ベルボトムで、ひげ生やして。
―リストバンドもちょっと長めのやつなんですよね。
MUNE　そうそうそう。チャーミーとかLip Creamとかね。


＜HIGASHI TOKYO RIOT PART19につづく＞

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